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SDGs未来都市について【自治体事例の教科書】

SDGs未来都市について【自治体事例の教科書】

少子高齢化社会に対する対策はさまざまなものが行われていますが、そのひとつが「SDGs未来都市」です。日本は現在、働き方改革をはじめとする全世代の人が活躍しやすい環境づくりと共に、このような全世代の人が生活しやすい環境づくりも進められています。ここでは少子高齢化社会対策のひとつである「SDGs未来都市」の概要と、具体的にどのような取り組みをしているのか、どのような効果が期待できるのかを説明します。

【目次】
■「地方創生SDGs」の概要
■「SDGs未来都市」の取り組み
■「SDGs未来都市」が目標にする17のゴール
■SDGsを達成するための官民連携プラットフォーム
■分科会で発表されたSDGs取り組みの一例

「地方創生SDGs」の概要

「地方創生SDGs」は2015年の国際サミットで全会一致で採択された「持続可能な開発目標」の理念に沿って、地域での問題解決を行う取り組みです。コンセプトは地方を創生し、地方での人口の減少、高齢化、地域経済の縮小を克服することです。少子高齢化で真っ先に影響を受ける地方都市から改善し、どの世代でも住みやすく、将来性のある街へ成長していける力を養う狙いがあります。

これまで地方の活性化を行う際は、イベントの開催や観光地の整備などが進められてきました。これらは経済効果がある半面、持続力があるものではありません。また地域住民の生活が便利になったり、改善したりする効果は二の次になっています。「地方創生SDGs」は、地域住民の暮らしの基盤を改善・維持するため、地域住民の生活を底上げする効果が期待できます。

「SDGs」には17のゴールと169のターゲット、そして約230の達成度を確認するための評価尺度である指標が設定されています。自治体によって必要な改善策や達成しやすい目標は違いますが、この基準を参考にすることで、的確な方針を打ち出しやすくなります。

「SDGs未来都市」の取り組み

「地方創生SDGs」で設定されているゴールやターゲットを達成するための計画は、それぞれの地方自治体が提案します。これに伴い、内閣府では「地方創生SDGs」の取り組みを公募し、優れた取り組みを提案する都市を「SDGs未来都市」として選定しています。選定されると、⾃治体SDGs推進関係省庁タスクフォースによって取り組みを強化し、支援します。2019年には31都市が「SDGs未来都市」に選定されました。

そして「SDGs未来都市」に選定された都市の中で特に優れていて、他の地方自治体の手本となる取り組みを提案した事業を「⾃治体SDGsモデル事業」としています。これらの中で成功した事例の有益な情報をまとめ、地方創生のモデルとし、関連イベントを通じて国内外へ発信します。2019年の「⾃治体SDGsモデル事業」は以下の通りです。

・福島県郡⼭市 SDGs体感未来都市こおりやま
・神奈川県⼩⽥原市  ⼈と⼈とのつながりによる「いのちを守り育てる地域⾃給圏」の創造
・新潟県⾒附市  「歩いて暮らせるまちづくり」ウォーカブルシティの深化と定着
・富⼭県南砺市  「南砺版エコビレッジ事業」の更なる深化
・福井県鯖江市  ⼥性が輝く「めがねのまちさばえ」
・京都府舞鶴市  『ヒト、モノ、情報、あらゆる資源がつながる“未来の舞鶴”』創⽣事業
・岡⼭県⻄粟倉村  森林ファンドと森林RE Designによる百年の森林事業Ver.2.0
・熊本県熊本市  熊本地震の経験と教訓をいかした地域(防災)⼒の向上事業
・⿅児島県⼤崎町  ⼤崎システムを起点にした世界標準の循環型地域経営モデル
・沖縄県恩納村  「サンゴの村宣⾔」SDGsプロジェクト

「SDGs未来都市」が目標にする17のゴール

「SDGs未来都市」が満たすことを目標としている17のゴールは、2030年を年限としている国際目標です。特徴は先進国を含めたすべての国で実行可能な普遍性、人間の安全保障の理念を反映した「誰ひとり取り残さない」包摂性、すべてのステークホルダーが役割を担う参画型、経済・社会・環境に統合的に取り組む統合性、徹底的にフォローアップする透明性の5つです。これらの特徴を踏まえた「SDGs」の17の国際目標は以下の通りです。

・1貧困 貧困をなくそう
・2飢餓 飢餓をゼロに
・3保険 すべての人に健康と福祉を
・4教育 質の高い教育をみんなに
・5ジェンダー ジェンダー平等を実現しよう
・6水・衛生 安全な水とトイレを世界中に
・7エネルギー エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
・8成長・雇用 働きがいも経済成長も
・9イノベーション 産業と技術革新の基盤を作ろう
・10不平等 人や国の不平等をなくそう
・11都市 住み続けられるまちづくりを
・12生産・消費 つくる責任、つかう責任
・13気候変動 気候変動に具体的な対策を
・14海洋資源 海の豊かさを守ろう
・15陸上資源 陸の豊かさも守ろう
・16平和 平和と公正をすべての人に
・17実施手段 パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsを達成するための官民連携プラットフォーム

「SDGs未来都市」の提案を実現するためには、政府と民間企業の連携が必要不可欠です。SDGsを達成するための官民連携プラットフォームがあります。17のゴールを民間団体や自治体とのパートナーシップの促進、イノベーションの加速に役立てながら、プラットフォームを活用します。プラットフォームの活動内容は、将来的な目標を叶えるための課題発見と解決情報を共有するマッチング支援、プラットフォーム会員限定の分科会開催、国際フォーラムや展示会への出展など普及促進活動の3つです。

マッチング支援は主にイベントやマッチング研究会などで、分科会提案者によるプレゼンテーションと、自治体によるSDGsの取り組み紹介などが行われます。分科会は内閣府や地方自治体が行うこともありますが、NPO法人や国立研究開発法人、企業などが行うこともあります。

このプラットフォームには2019年5月時点で、724団体が会員となっており、地方公共団体である1号会員が274、関係省庁である2号会員が12、民間企業などの3号会員が438あります。これらの連携でSDGsの先駆的取り組みを行うことができ、SDGsが達成できます。さらにSDGs達成後も経済・社会・環境の3方面が持続的に成長する地方創生が実現します。

分科会で発表されたSDGs取り組みの一例

SDGsを達成するために、プラットフォームの分科会では各自治体や団体がプレゼンテーションされた取り組みについて話し合います。分科会で発表される取り組みはさまざまなものがあり、例えば神奈川県で2019年に行われた「SDGs社会的投資分科会」では、地域主導で日本のSDGs課題解決モデルを発進するフォーラムと、社会的投資に関するセミナーを開催することが提案されました。この取り組みにはSDGsの17のゴールすべてが関係しています。

他にも企業によるSDGs勉強会やSDGs計画の取り組み整理ポイントや自治体職員の浸透を促進するコミュニケーションの在り方に関するセミナー、会員協力によるSDGsデザイン開発、NPO法人によるSDGsに有効な資源の現状確認と検討・資源活用のモデルエリアをつくるための企画会議、一般社団法人によるSDGsの取り組み実例報告会などが行われています。

〈参照元〉

首相官邸_地方創生に向けたSDGsの推進について
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/pdf/sdgs_suishin.pdf)

首相官邸_2019年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定について
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/teian/sdgs_2019sentei.html)

首相官邸_令和元年度「SDGs未来都市」等の選定について
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/teian/2019sdgs_pdf/sdgsfuturecitypress0701.pdf)

文部科学省_地方創生に向けたSDGs推進事業募集リーフレット
(https://www.mext.go.jp/sports/content/1413633_05.pdf)

内閣府_地方創生推進室_地方創生SDGs
(http://future-city.jp/sdgs/)

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