神奈川県小田原市における自治体SDGsモデル事業
神奈川県小田原市は、SDGs未来都市に選定されており、その取組は自治体SDGsモデル事業にも選定されています。小田原市の人口は減少傾向にあるものの、高齢者の人口は増加傾向にあり、将来の労働力不足による経済状況の悪化が深刻視されています。そのため、各種取組を受動的な姿勢から、能動的な姿勢に変えることで、持続可能な地域社会モデルの実現を推進していくことが課題として挙げられます。
自治体SDGsの推進に資する取組としては、9つの取組が挙げられており、それが以下のとおりです。
1.豊かな自然や環境の保全・充実
2.課題を解決し、未来を拓く人づくり
3.地域コミュニティモデルの進化
4.いのちを育て・守り・支える
5.「分かち合いの社会」の創造
6.「観光」による地域経済活性化
7.重要なまちづくり案件の適切な実現
8.インフラ・公共施設の維持と再配置
9.基礎自治体としてのあり方の見極め
小田原市の自治体SDGsモデル事業は、「人と人とのつながりによる“いのちを守り育てる地域自給圏”の創造」をテーマに、豊かで安全で持続可能な社会の実現を目指しています。
経済面、社会面、環境面の三側面での取組が挙げられており、それぞれに具体的な取組が掲げられています。
経済面の取組
・伝統的な地場産業の支援と育成
・高技術・高品質のものづくりのPR促進
・有機農業モデルタウンの取組
・「木づかい」のまちづくり
・農産物・水産物の地産地消とブランド化
社会面の取組
・ケアタウンの推進
・地域コミュニティ組織の強化
・スクールコミュニティの形成
・プロダクティブ・エイジングの推進
環境面の取組
・森里川海オールインワンの環境先進都市としてのブランド確立
・地域の環境再生・保全活動の推進
・エネルギーの地域自給に向けた取組の推進
・森林の再生
・里地里山の再生と整備
・水辺環境の整備促進
また、経済、社会、環境の三側面を統合する取組として「“現場での学びと実践の循環”による人材・担い手育成と地域課題の解決」が挙げられており、以下の3つが推進されています。
・現場での学びと実践を循環させる「おだわら市民学校」
・民間企業・神奈川県との連携による「つながりの見える化」
・産官学連携によるSociety5.0の実証研究「風の谷プロジェクト」
福島県郡山市における自治体SDGsモデル事業
福島県郡山市はSDGs未来都市に選定されており、その取組は東北で初めてとなる自治体SDGsモデル事業にも選定されています。
郡山市は少子高齢化の影響から、労働力不足が深刻となっており、今後もその不安が大きくなることが予想されています。さらに大学進学や就職での県外流出も増加傾向にあり、若年層の割合も減少傾向にあります。そのため、郡山市は、人口減少に歯止めをかけ、地方創生を図ることが課題として挙げられています。
自治体SDGsの推進に資する取組は、経済面、社会面、環境面の三側面から設定されており、それが以下のとおりです。
経済面の取組
・新しい産業の創出や新しい市場への進出の支援
・新しい農業の創出や新しい市場への進出の支援(上記とは異なる指標を用いたもの)
・誰もが生涯活躍できる雇用・就労環境の整備
社会面の取組
・すべての世代が健康で安心して暮らせる環境づくり
・生涯を通じた歯・口腔の健康づくりの推進
・介護予防の推進
・高齢者の社会参加の促進
・地域共生社会に向けた取組
・安全、安心なまちづくりの推進(セーフコミュニティ)
環境面の取組
・再生可能エネルギーの活用とエネルギーの地産地消の推進
・地球温暖化への対応と環境保全および環境負荷低減の取組
・公共交通の利便性向上とまちの緑化
・放射線からの安全・安心
・災害からの安全・安心
郡山市の自治体SDGsモデル事業は、「SDGs体感未来都市こおりやま」をテーマに、子どもに優しく、持続可能なまちづくりを目指しています。
自治体SDGsモデル事業としての取組も経済面、社会面、環境面の三側面から挙げられており、それぞれに具体的な取組が掲げられています。
経済面の取組
・産業イノベーション事業(地方創生推進交付金申請予定事業)
・多彩な市民とともに歩む新たな農業プロジェクト事業
社会面での取組
・食生活改善の推進
・糖尿病対策の推進
・がん検診の受診促進
・こおりやま生きいき健康ポイント事業(ふくしま健民カード)
・既存施設を活用した、科学的知見に基づくスポーツ教室の開催
環境面での取組
・地球温暖化対策事業
・エネルギー地産地消推進事業
・既存施設を活用した環境学習施設(仮称 SDGsパーク)設置
また、経済、社会、環境の三側面を統合する取組として「“知の結節点”こおりやま“全世代健康都市圏”創造事業」が挙げられており、以下の2つが推進されています。
・オープンデータを活用した健康づくり・生活習慣病対策、広域医療の分析
・ICTを活用した科学的根拠に基づく保健指導の実施による健康寿命延伸対策の推進
富山県南砺市における自治体SDGsモデル事業
富山県南砺市はSDGs未来都市に選定されており、その取組は自治体SDGsモデル事業にも選定されています。
南砺市は、人口減少による労働力不足や、環境問題による農林漁業の経済状況悪化を改善すべく、「小さな循環と地域デザイン」を基本理念とする「南砺市エコビレッジ構想」を策定し地方創生に臨んでいます。経済、社会、環境のそれぞれに課題を設けることにより、三側面から地方創生を行います。
自治体SDGsの推進に資する取組としては、経済、社会、環境それぞれに詳細な取組を設定しています。
経済面の取組
1.ソーシャルビジネス・コミュニティビジネスによるエコビレッジ事業の推進
1-1.空き家活用型しごとの場創出支援事業
1-2.地場産業とのコラボレーション「クリエイター育成マッチング事業」【モデル事業】
1-3.なんとポイント事業
2.農林業の再生と商工観光業との連携
2-1.オーガニック農業の推進【モデル事業】
2-2.伝統産業のリデザイン「南砺ブランド商品開発支援事業」【モデル事業】
社会面での取組
1.健康医療・介護福祉の充実と連携
1-1.地域の助け合いを育む「地域包括ケアシステム」【モデル事業】
1-2.世界遺産合掌造り家屋の保存、茅場再生【モデル事業】
2.未来をつくる教育・次世代の育成
2-1.ふるさと教育推進事業
2-2.小規模校や複式学級すべての人に教育を「学校間をつなぐ遠隔協働学習事業」【モデル事業】
2-3.エコビレッジ部活動
2-4.桜ヶ池合掌造り家屋「かず良」での人材育成
2-5.新たな暮らし方の提案「エコビレッジ住宅ゾーン事業」【モデル事業】
環境面での取組
1.再生可能エネルギーの利活用による地域内のエネルギーの自給と技術の育成
1-1.森林資源エコシステム構築事業【モデル事業】
1-2.森里川海の連携「マイクロプラスチック、海洋汚染抑制」【モデル事業】
2.森や里山の活用と懐かしい暮らし方の再評価による集落の活性化
2-1.いのちの森をつなぐ次世代人材の育成「森の学校」「森の保育園」創設【モデル事業】
南砺市の自治体SDGsモデル事業は、「“南砺版エコビレッジ事業”のさらなる深化~域内外へのブランディング強化と南砺版地域循環共生圏の実装~」をテーマに、「南砺版エコビレッジ構想」の実現を目指しています。
経済、社会、環境それぞれに対する取組と、統合的取組を推進することで自治体SDGsモデル事業の推進を図ります。
経済:伝統ある地場産業とコンテンツ産業による地域経済の活性化
社会:地域の伝統文化と“南砺らしさ”を正しく継承し、すべての人が健康で安心して暮らせる社会の構築
環境:豊富な地域資源を最大限活用した循環型社会の形成
統合的取組:「“南砺版エコビレッジ事業”のさらなる深化~域内外へのブランディング強化と南砺版地域循環共生圏の実装~」