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【簡単解説】スマート漁業について【自治体事例の教科書】

【簡単解説】スマート漁業について【自治体事例の教科書】

ICTを活用したスマート漁業の取り組みが積極的に行われています。スマート漁業は、水産業が抱える問題や課題を迅速に解決するために進められています。ここでは、スマート漁業が、どのような意義を持つのか、さらにその将来像について探りました。

【目次】
■スマート漁業とは
■水産業が抱える課題
■スマート漁業により効率化を向上
■魚海況情報もスマート化が可能

スマート漁業とは

漁業が抱える問題や課題を解決するため、GPSやモバイルなど最先端端末を使用し新たな漁業転換が行われています。IoT機器を活用し、水産業の効率化を目指しているのも大きな取り組みと言えます。

2018年に水産庁により、スマート漁業の実現に向けたIoT技術が推進されました。これまでの勘や経験で行う漁業とは違った効率化を図る新たな水産業の実現に向けた改革がなされています。

漁業者からデータを収集し漁場予測が可能になったのもスマート漁業の大きな成果です。また、遠隔操作で給餌が行われ省力化が実現するなど、現在、水産業では大きな変化を見せています。ドローンやIoTロボットを導入し最先端の技術を採用した漁業の取り組みを推進するなど、漁業者の負担を軽減したスマートな水産業の実現を目指した支援事業が進められています。

水産業が抱える課題

現在、水産業は、資源の増大や生産性の向上、担い手の維持や発展などさまざまな問題や課題を抱えています。沿岸資源に関するデータが不足していたり、手作業による集計により迅速に収集できなかったりするといった問題もあります。さらには、非効率な操業やコスト面での競争力不足など、早期に解決しなければ問題が数多くあるのが現状です。

最も人材不足に悩まされており、担い手を維持するだけでなく、これまで以上に水産業を発展させるために人材の育成や新規参入に力を入れていかなければいけません。とくに若い世代の人材が不足しており、低賃金であることや漁船の居住性の問題から満足な人材を確保できていないといった問題も抱えています。

早急に水産改革を進めるために新たな資源管理システムを構築し、さらに漁業許可の見直しや物流の効率化、漁業産業のコストの引き下げを検討しています。最も重視しているのが、資源管理システムの構築や漁業権制度の見直しです。情報収集を迅速に行うために体制を強化するだけでなく、資源評価対象魚種の拡大や制度の向上にも努めています。また、漁獲報告や漁業権に関する情報を電子化することにより、流通改革の効率化を上げ、操業コストの削減につながるでしょう。

スマート漁業により効率化を向上

スマート漁業の取り組みが積極的に行われることで、リアルタイムで大量のデータを収集することが可能です。また、資源評価や管理もスムーズに行えるため、漁業者の負担を軽減し迅速化を図れるのも利点です。ICTを積極的に活用し、これまで勘や経験で行ってきた漁業を最先端の技術によって転換させました。

現状では、沿岸資源のデータ不足により適切な資源評価や管理が効率よく行われているとは言えません。しかし、ICTを活用したスマート漁業を取り入れることで、迅速かつ効率的に大量のデータを収集することが実現します。水揚げ情報や操作情報のほかにも漁業環境情報などを即座に知ることができるため、水産業の効率化を図ることも可能です。

近年では、最先端技術やデータを活用した漁業への転換も進められています。最新のシミュレーションモデルを用いて操業を効率化させるほかにも、電動自動釣り機の開発や魚群探査のためのドローン開発など、水産業をバックアップするための取り組みが活性化しています。これまでは、漁師による長年の経験や勘から漁業が行われていましたが、先端技術やデータを活用することにより、無駄のない的確な漁業へと転換することに成功しました。

現在、水産業が抱えているさまざまな問題や課題を解決するためにICTを活用したデータ収集や管理は欠かせないものとなっています。漁業のみならず加工流通においてもロボット技術を駆使し、荷さばきや加工を省略する取り組みが行われています。

鮮度保持技術を導入することによって確実な衛生管理に努めることができるなど、ICT技術による加工や流通の省略化、高付価値化は今後もますます需要が高まると予想されています。スマート漁業を取り入れることにより、資源評価や資源管理の高度化が目指せるのも利点です。現在、50種ほどの資源評価の高度技術を200種にまで増加させることを目標としています。沿岸資源に関するデータ不足は、現在の大きな課題となっており、迅速な改善が求められています。

また、漁獲量や操作場所、時期においても手作業で集計や整理が行われているため、より迅速な情報収集が必要です。これらの資源評価や資源管理の高度化を図るためにスマート漁業が推進されています。魚群探知機やデジタル操業日誌といったICT機器を活用し漁船から迅速に情報を収集することが実現できるようになりました。さらに、水揚げ量のみならず魚種名もスピーディーに収集することが可能です。リアルタイムで漁船から情報を収集できるのはもちろんのこと、収集データを活用し資源の拡大を図っています。

魚海況情報もスマート化が可能

沖合や遠洋漁業のサポートにおいては、準リアルタイムで観測のデータ配信を行っているのが現状です。しかし、衛星観測は、沿岸域での観測精度が課題となっており、満足度の高い情報を迅速に収集できません。そこで新たに「しきさい」が打ち上げられました。こちらは、GC解像度の高いセンサーを搭載しているのも特徴です。そのため、より詳細なデータ収集が可能になりました。さらに「しずく」は、天候に左右されない衛生機器となっているため、沿岸域の観測をする際にも高い効果を発揮します。沿岸漁業のスマート化の取り組みが進められたことで経験が少ない漁業者でも漁業到達が実現し、担い手不足の問題も改善へとつながります。

現在、漁業従事者は高齢化が進み、担い手不足も大きな問題です。しかしながら、スマート化による沿岸漁業の作業効率化を向上させたことから、勘や経験に頼らない新たな漁業スタイルを生み出しました。スマート漁業システムは、漁業情報を効率よく収集し効率化を促進しています。さらに最先端のスマート漁業の取り組みとして漁業者のタブレットやスマホ上に7日先までの情報提供を行い、鮮度の高い出漁判断を実現します。水温や塩分、流速などを予測するだけでなく、従来では不可能だった海中での漁具の動きまで可視化することが可能です。高齢の漁業者でも扱える簡易的なスマート機能付きの小型海洋観測装置も開発されました。

また、魚探データを迅速に送信し共有化させる魚群探知機や潮流計用インターフェイスの開発も進められています。現在、漁業のみならず、養殖業現場の生産活動をデジタル化する活動が行われています。2027年までの目標として掲げられているのが、全国の水産業において生産活動がデジタル化されることです。また、有用魚種の水揚げ量を電子的に把握することも目標としています。資源から流通に至るまで積極的にICTを活用し資源管理を進めることで多くのメリットがあります。資源の維持や増大を期待できるため、安定した漁業を実現することも可能です。

さらに良好な労働環境を作り、効率的で生産性を見込める操業を可能にすることにもつながります。安定した漁業経営を継続させ漁業者の手取りが向上するなど、ICTを積極的に活用したスマート漁業は、現在抱える問題や課題を迅速に解決し効率化を図りながら水産改革を実現できることでしょう。

〈参照元〉

水産庁_スマート水産業の社会実装に向けた取り組みについて
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/suishinkaigo2018/nourin/
dai13/siryou5.pdf
)

内閣府_宇宙データ利用モデル事業
(https://www8.cao.go.jp/space/comittee/27-minsei/minsei-dai25/siryou2-1-5.pdf)

水産庁_平成 31 年度水産予算概算決定の概要
(https://www.jfa.maff.go.jp/j/topics/attach/pdf/topics_arc-4.pdf)

 

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