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ユニバーサルツーリズム促進事業について・実施事例【自治体事例の教科書】

ユニバーサルツーリズム促進事業について・実施事例【自治体事例の教科書】

観光庁は「ユニバーサルツーリズム」を「すべての人が楽しめるよう創られた旅行であり、高齢や障がい等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できる旅行の提供」としています。具体的には、国籍、年齢、ハンディキャップなどに関わらず、気兼ねなくすべての人が楽しめるように考えられた旅行のことです。ここでは、自治体によるユニバーサルツーリズム促進事業について、実施事例を見ていきましょう。

【目次】
■長野県_長野県ホームページ
■東京都台東区_台東区ホームページ
■高知県_信州型ユニバーサルツーリズムの創造と展開
■鹿児島県_鹿児島県ホームページ
■福島県_UD観光ガイドin三春町

長野県_長野県ホームページ

長野県では「信州型ユニバーサルツーリズム」として、県民の温かいサポートとおもてなしの心で「山も谷も乗り越え・学ぶ」ユニバーサルツーリズムを目指しています。信州型ユニバーサルツーリズムの3大特徴は「人材」「機器」「「地域」であり、地域でのサポート体制の充実、旅行をサポートする個人・団体がそろっていること、サポート機器も充実、さらに通常はバリアであるはずの山や自然は、逆に長野県の観光資源だという点が具体的な内容です。

長野県が目指すユニバーサルツーリズムの方向性は、以下の3つです。

・「しあわせ信州創造プラン2.0~学びと自治の力で拓く新時代~」を掲げ、観光地域としての基盤づくりを目指します。アウトドアや学びといった本来の強みを活かしながら地域の特色的な文化を取り込んだ観光誘客を推進し、世界から選ばれるブランドを形成・強化するとしています。障がい者にやさしいスキー学習旅行の受け入れや国際スポーツ大会の開催を通じた地域ブランド化により、県外からの学習旅行やスポーツ合宿の誘致を促進し、外国人やハンデを持つなど多様な利用者にも対応した登山道などを整える具体的な方策を進めます。

・「信州の観光新時代を拓く長野県観光戦略2018」として、障がい者や高齢者をはじめ誰もが信州の魅力を楽しめるモデルコースの提案や、デュアルスキー、アウトドア用車いすの普及促進により「信州型ユニバーサルツーリズム」を創造することを掲げています。

・「長野県障がい者プラン2018」として、ユニバーサルツーリズムの取組支援や情報発信を行います。ツアーや観光施設、ホテル旅館などのバリアフリー化など、各団体と連携して先進事例に学びながらネットワークを作っていくのが具体的な内容です。

この方向性に基づき「ユニバーサルツーリズム五カ年計画」(案)が作られました。1・2年目は推進会議による受け入れ意識の改革、3・4年目は全国的に活動する諸団体への連携拡大、5年目以降は県民運動への発展を目標としています。

東京都台東区_台東区ホームページ

東京都台東区では、ユニバーサルツーリズムへの取り組みの一環として「おいしい!たのしい!たいとうグルメプロジェクト」を推進しています。台東区内にある老舗や人気の飲食店の情報をホームページ上で見ることができ、世界中から足を運んでもらう試みです。

プロジェクト推進にあたり、台東区に訪れる高齢者の方、障がいをお持ちの方、妊婦の方、外国人観光客の方にとって、バリアフリーな観光地を目指して、バリアフリー情報を取り入れた観光スポット検索を作成しました。バリアフリーマップでは区内の公共交通施設や公園、建築物、道路のバリアフリー情報を調べることができます。

「たいとうマップ」も作成しました。周辺の施設を探したいとき、都市計画情報や認定道路情報を確認したいとき、AEDの設置場所を確認したいときなどに活用してもらうことを想定しています。施設マップでは特定地点からの周辺施設の検索や、作図機能も利用可能です。

また、台東区では東京都で都内の人気エリアを抜粋して、高齢者や障害者の方々でも安心して観光を楽しんでもらうことを目的にバリアフリー情報と観光モデルコースの提供をしています。台東区では上野、浅草、谷中の観光情報を掲載しています。台東区のホームページから見ることができます。

さまざまな国から台東区を訪れる観光客が増えているため「マナー啓発パンフレット」も作成されました。台東区内を訪れる外国人観光客へ向けた、図及び日本語・英語・中国語の併記で観光をする際のマナーが示されたパンフレットです。

高知県_信州型ユニバーサルツーリズムの創造と展開

高知県では、バリアフリー観光の推進に関する検討を進めています。自然資源に恵まれている高知において、誰もが楽しむことのできる高知県観光の実現を目指していますが、そこで参考とされているのが「信州型ユニバーサルツーリズム」です。

2019年2月に第2回高知県おもてなし県民会議バリアフリー観光推進部会が開催され、そこでは長野県観光部による信州型ユニバーサルツーリズムの創造と展開についての情報共有が行われました。

長野県のユニバーサルツーリズムの特徴や方向性、5カ年計画などについての情報共有のほか、旅行プロセスに合わせた配慮という視点が示されました。ユニバーサルツーリズムにはさまざまな主体が役割を果たすことが重要だとして、ハード面・ソフト面のみならず、送り出し側・受け入れ側の視点、交通、危機管理情報、地域のおもてなし、旅行行程、事前情報の提供などが必要です。それらを総合して様々な観点からの配慮が必要だというのが信州型ユニバーサルツーリズムからの提言でした。

高知県では、信州型ユニバーサルツーリズムを参考にするとともに旅のヘルパー制度やバリアフリー観光相談窓口の設置を検討することとしています。

鹿児島県_鹿児島県ホームページ

鹿児島県はユニバーサルツーリズム普及事業として「地域観光資源磨き上げ事業」を掲げています。高齢や障がいの有無にかかわらず、誰もが安心して県内各地を快適に旅行できるような受け入れ態勢の整備やユニバーサルツーリズム関連の旅行商品化を行うなど、ユニバーサルツーリズム先進県を目指した取り組みを展開しています。

主な取り組みとしては、ユニバーサルツーリズム観光地情報(指宿・奄美地区)を作成し、併せて介助者マニュアルを作成しました。また、鹿児島県ユニバーサルツーリズム情報誌を作成し、鹿児島地域、霧島・姶良・南薩地域、北薩・大隅地域、種子島・屋久島・奄美大島地域に大きく分けて観光情報を紹介しています。

福島県_UD観光ガイドin三春町

福島県三春町では、UD(ユニバーサルデザイン)観光ガイドを作成し、ユニバーサルツーリズムに向けた取り組みを行っています。三春町UD観光マップも作られました。

具体的には、ユニバーサルデザインの観点から三春町をまちあるきし、ユニバーサルデザインの視点からの観光ルートを考えるワークショップが開催されました。全4回で、ユニバーサルデザインについての基礎知識を学び、フィールドワークを経て、観光ルートを考え、形にするというものです。

超高齢社会でバリアフリーツアーが注目されていること、旅には人を元気にしてくれる力があることについても理解が進みました。

そこで三春町としては、観光客の声に耳を傾けることの重要性を再認識しています。視覚・聴覚障がい者、車いす利用者などに対するハード整備が必要であること、また、外国人観光客からは英語併記のパンフレットがあると良いなどの声を受け、さまざまなバリアフリーを推進していくこととしました。

様々な立場の人が旅行プランを立てられるように、どんなバリアがあるのか、どんな魅力があるのかといった役立つ情報を提供することがユニバーサルデザインの第一歩だとしています。

〈参照元〉

長野県_長野県ホームページ
(https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoshin/universal_tourism.html)

東京都台東区_台東区ホームページ
(https://t-navi.city.taito.lg.jp/tourism/)

高知県_信州型ユニバーサルツーリズムの創造と展開
(https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/020201/files/2019040100180/file_2019411192220_1.pdf)
(https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/020201/files/2019040100180/file_2019411192220_1.pdf)

鹿児島県_鹿児島県ホームページ
(https://www.pref.kagoshima.jp/af08/30migakiage.html)

福島県_UD観光ガイドin三春町
(https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/239852.pdf)

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