民間企業の取り組み
住民窓口機能の強化
「非対面型DXソリューション」で、コロナ時代の窓口体制確立を急げ
エイネット株式会社 取締役 尾上 渉
※下記は自治体通信35号(Vol.35・2022年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
人手不足や業務の増大が指摘される自治体にあって、住民との接点となる窓口機能をいかに充実させ、行政サービスを向上させるかは難しい課題である。くわえて昨今は、コロナ禍の影響で対面での接触に制約が生まれている。そうしたなか、自治体向けシステムの開発を手がけるエイネットの尾上氏は、「住民窓口にこそ、最新の開発成果でDXを推進すべき」と指摘する。その具体的な方法を同氏に聞いた。
人手不足で対応できない支所「密」状態を避けたい本庁
―窓口対応をめぐり、自治体はどのような課題を抱えていますか。
人手不足の問題が大きいですね。合併により役場の集約を進めた自治体は、本庁に人員を集約する傾向にありますから、支所や出張所に配置できる職員の数は限られます。当然、各分野の専門知識をもった職員は少ない。税制や補助金といった専門分野の問い合わせには対応できず、本庁に回ってもらうしかないため、住民の不満につながっているケースは少なくありません。
かりに、支所で対応できる問い合わせであっても、その対応に長い時間をとられては、ほかの対応がストップしてしまい、これも住民にとってはストレスです。新型コロナウイルスの影響で業務が増えているなか、各拠点の窓口対応を強化したくても、人員不足でとてもかなわないのが現状です。
―最近では窓口対応での「密」状態を避けなければいけないという事情もありますね。
その問題も大きいです。本庁に多くの人が押し寄せる状況は、感染対策上、回避したい。そのためには、支所・出張所の機能を強化し、対応できる業務を増やすことが望ましいのですが、それができないジレンマを抱えている自治体は多いですね。
―なにか解決策はありませんか。
ここにこそ、DX推進の開発成果を取り入れるべきです。具体的には、遠隔対応の窓口システムを整備することで、こうした問題は解決できます。たとえば当社では令和3年9月に、17年の販売実績があるWeb会議システムをベースに、自治体向け非対面DXソリューション『CROSS』を新たに開発しました。これは、支所や出張所における窓口対応を本庁やコールセンターに集約し、遠隔対応することで、窓口業務の効率化と人手不足の解消を実現するシステムです。
すでに1,000店舗以上の、金融機関で導入された実績
―どのような仕組みでしょう。
住民は、最初にモニター上の手続きメニューをタップするだけで、本庁の担当者を呼び出すことができます。そこからは、画面越しに直接担当者からの説明を受け、その場で書類の書き方や手続きの方法を相談できるのです。支所側のスキャナーやFAXを本庁の職員が遠隔で操作できるので、機器操作に人手を割く必要もなく、住民はその場で手続きを完了させることができます。かりに問い合わせが複数の課にまたがる場合は、対応完了後に次の部署へ転送することもできます。本来は移動が必要な手続きも、住民はモニターの前にいるだけで済ませられるのです。
―むしろ本庁で手続きするよりも、便利かもしれませんね。
そうですね。住民が操作に迷わないよう、AIロボットを搭載し、住民をていねいに誘導する機能を実装する計画もあります。また、インターフェースの自由度が高く、メニューの背景にまちのキャラクターや市長の顔を映し出すといったカスタマイズも自由にできます。
―導入実績はありますか。
支店集約が進む金融機関では多くの実績があり、すでに1,000店舗以上で導入されています。この9月に開発した自治体向けシステムでは、必要な機能のみに絞り込むことで大幅なコスト削減を図り、小規模自治体でも導入しやすい価格帯を実現できたと自負しています。窓口機能を強化したいと考えている自治体のみなさんは、ぜひお問い合わせください。
尾上 渉 (おのえ わたる) プロフィール
昭和44年、兵庫県生まれ。人材派遣会社、商社、ITメーカーを経て、平成22年4月、エイネット株式会社に入社。平成29年5月より現職。
エイネット株式会社
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