民間企業の取り組み
帳票のデータ化
OCRによる帳票データ化の真価は、全件チェックが不要な仕組みで発揮
株式会社ハンモック 代表取締役社長 若山 大典
※下記は自治体通信 Vol.41(2022年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体でDXが推進される昨今、業務負担軽減の効果的な手法として注目されているのがOCRを用いた帳票のデータ化だ。そうしたなか、OCRに関する研究とサービス提供を30年近く行っているハンモックの代表、若山氏は「OCRの利用は広まりつつあるが、まだ十分には活かされていない」と話す。OCRの効果的な運用について、同氏に聞いた。
全件チェックの必要性が、業務効率化を阻む弊害に
―自治体業務におけるOCR導入の現状について教えてください。
令和2年にコロナ禍での経済対策として実施された「特別定額給付金」によって大量の帳票を早急に処理しなければならない業務が突如発生したことで、自治体におけるOCR導入が急速に進みました。自治体にはコロナ関連を含めていろいろな帳票があるので、それ以降もOCRの導入が検討され続けています。ただ、実際の現場で十分に活用しきれていない印象です。
―それはなぜですか。
以前と比べてOCRの文字認識率は向上していますが、目視検査が必要なレベルの精度にとどまっているからです。特に、窓口の申請業務などは、住民サービスに直結するので、ミスは許されません。Aさんの申請がBさんの申請として受理されたら大変なことになってしまいますから。しかも、OCRでの読み取りは、どこに間違いがあるかわからないので、職員の目視による全件チェックを前提とした運用になってしまう。そうすると、手入力の手間は省けますが、OCRを導入した恩恵を十分に得られているとは言えないでしょう。
―どうすれば、OCRを一層の業務効率化につなげられるでしょう。
全件チェックが不要な仕組みをつくればいいのです。それを実現したのが、われわれが提供する『WOZE(ウォーゼ)』です。一番の特徴は、『WOCR(ダブルオーシーアール)』という特許技術を用いて、高い文字認識率を実現している点です。具体的には、性質の異なるAIを備えた2つのOCRを使って帳票を読み取ることで、精度を高める仕組みになっています。2人の人間がダブルチェックするようなものなので、2つのOCRが同じ文字として認識した場合の信頼性は非常に高くなります。
―2つのOCRの認識が一致する確率を教えてください。
8割ほどです。そのため、認識が一致しない残りの2割を目視検査するだけで、高い精度の帳票データができあがるというわけです。
始めにスキャン画像を分割し、情報セキュリティを担保
―やはり目視チェックからは逃れられないのでしょうか。
『WOZE』では、専用オペレーターによる目視検査までセットで提供しているので、職員が目視検査をする必要はありません。つまり、職員は帳票のスキャン画像をアップロードしさえすれば、2つのOCRと人の目による確認を経た高精度のデータを手に入れられるということです。全件チェックが不要なので、基本的には30分程度で完成データの提供が可能です。
―情報セキュリティはどのように担保しているのでしょう。
アップロードされた帳票のスキャン画像を最初に分割してから処理することで担保しています。たとえば、申込日や氏名、住所が記載されている帳票があるとします。これらがバラバラに切り分けられた画像をもとに処理が進むため、オペレーターは自分が見たものが何を示しているのか認識できないというわけです。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
『WOCR』の部分だけ使いたいといった要望も含め、ニーズにマッチした柔軟なサービス展開をしていきます。それによって、各自治体に最適な状態で使ってもらえればと考えています。まずは気軽に相談いただき、使いやすいサービスを自治体と二人三脚でつくり上げていきたいですね。
若山 大典 (わかやま だいすけ) プロフィール
平成12年に株式会社ハンモックへ入社し、新規ビジネスの立ち上げ責任者を歴任。セキュリティ対策ソフト『AssetView』の立ち上げなどによって事業拡大に貢献。平成26年よりクラウド営業支援ツール『ホットプロファイル』を立ち上げ、売上倍増に寄与した。平成30年4月、代表取締役社長に就任。
株式会社ハンモック
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