※下記は自治体通信 Vol.57(2024年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
全国の自治体ではいま、基幹業務システムの標準化と、ガバメントクラウド(ガバクラ)への移行という大がかりな取り組みが進んでいる。そうしたなか、通信事業を手がけるTOKAIコミュニケーションズの米山氏は、次のように指摘する。「将来、帯域不足を起こすことなく、安心してガバメントクラウドを運用できるようにするためには、自治体とクラウドの間の接続方法が重要になる」。それはいったいなぜなのか。同社の岸氏も交えて聞いた。
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
法人営業本部 技術開発事業部 ネットワーク技術部 部長
岸 賢一きし けんいち
令和3年より現職。おもに拠点間通信網『BroadLine』の販売支援業務、各クラウド事業者との接続連携を担う。
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
法人営業本部 中日本事業部 営業三部 営業課 課長
米山 裕之よねやま ひろゆき
令和4年より現職。おもに自治体関連の担当営業として、警視庁や東京・大阪・名古屋など各自治体への訪問営業に従事。
LGWANを使う接続方法は、帯域不足が生じる可能性も
―自治体での、ガバメントクラウドへの移行状況をどう見ていますか。
米山 ここ1年ほどで、移行に向けた具体的な準備に入った自治体が大きく増えました。「令和7年度末までの移行完了」という期限が差し迫るなか、多くの自治体で緊迫感が高まっているのを感じます。しかし、移行における重要要件の1つである、自治体からガバメントクラウドへの接続方法については、複数の選択肢があるにもかかわらず十分な検討がなされていないケースが少なくありません。
―それはどういうことでしょう。
米山 大多数の自治体が、新たにクラウド接続が可能になる「次期LGWAN」を経由する方法を考えています。その理由は、新たな回線を用意する必要がなく、接続コストを抑えられるためです。しかし、LGWANはそもそも帯域が限られるので、多くの自治体が同時に使用する場合や、標準化対象業務以外のシステムをクラウドに構築する場合に、帯域不足が生じる恐れがあるのです。将来、クラウド・バイ・デフォルト原則のもとでクラウド活用が増えていくことを考慮すれば、各社が提供する専用線を調達し、十分な帯域を確保することが必須になると考えます。
岸 そこで当社では、自治体がクラウドの拡張性を最大限に活かし、かつ安心して運用できるよう、複数の特徴をもった接続サービスを提案しています。
1社単独で接続を完結できる
―具体的に、どのような特徴があるのですか。
岸 大きく3つの特徴があります。1つ目は、マルチクラウド接続に対応できる点です。当社の「ガバメントクラウド接続サービス」は政府が認定する4社のクラウドサービスに接続できるため、将来異なるサービスへ切り替える場合でも回線を新たに調達する必要がなく、クラウド運用の拡張性を確保できます。
2つ目は、自治体から「接続拠点」を経由してクラウドに接続するまで、すべての管理・保守を当社1社で完結できることです。自治体側とクラウド側の各接続を異なるベンダーが担うサービスの場合、万一の障害発生時に問題の切り分けが難航してしまう恐れがあるため、この点はサービス選定における重要ポイントと言えます。
米山 3つ目の特徴は、豊富な支援実績に基づく知見や技術力をもっており、高いスピード感で幅広いニーズに対応できる点です。
―これまでにどういった導入実績がありますか。
米山 ガバメントクラウドに関しては、名古屋市の「早期移行団体検証事業」に参画し、「実質2ヵ月半」という短期間での接続と、ネットワーク構築支援に対する高い評価を得ました。当社の実績や知見はクラウドベンダーにも認められており、この点も自治体に安心してもらえるポイントだと自負しています。たとえば「アマゾン ウェブ サービス(AWS)」に関しては、同クラウドとの多様な接続を実現するソリューションを提供し、実績の豊富な事業者に与えられる「AWSネットワークコンピテンシーISVおよびコンサルティング」という称号を国内で唯一*、取得しています。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
岸 当社では、通信回線の接続だけにとどまらず、クラウドネットワークの構築やデータ移行など、幅広い支援が可能です。事業の提供地域も、これまでの東名阪から今後はさらに九州地方に広げていく方針です。ガバメントクラウドの運用に不安や悩みがある自治体のみなさんはぜひ、気軽にご連絡ください。
*出所 : AWS