※下記は自治体通信 自治体DX特別号(2021年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
住民サービスの多様化による業務の増大や人手不足を背景に、「生産性向上」が長年の課題となっているが、今般の「新型コロナ対応」によって、その必要性をより一層実感する自治体は多い。こうした状況を受け、業務の自動化に着手する自治体が増えているなか、「『データ連携ツール』の活用こそ、最適解になる」と指摘するのは、同ツールのトップメーカーであるアステリア代表の平野氏だ。詳しい内容について、同氏に聞いた。
RPAに対して作業時間は、間違いなく減らせる
―「業務自動化への最適解」と語る「データ連携ツール」とは、どのようなものですか。
自治体業務においては、さまざまなシステム内にデータが分断されており、システムをまたいだデータの利活用に際しては、人手を介してデータの移行、再入力が行われる場面が多くあります。こうしたシステム内やクラウド上にあるデータ同士をスムーズに自動で連携するのが、データ連携ツールです。従来の手入力業務を自動化することにより、作業ミスや多重入力を排除し、生産性を大きく向上させることができます。
―業務の自動化ツールとしてはRPAが知られていますが、違いはなんでしょう。
RPAは、PC画面上の人の操作を自動化するツールであり、人より速く処理が可能ですが、実際の操作を再現するために作業時間の短縮には限界があります。また、操作を再現するためにPCを占有するツールもあり、エラーが発生した際の対応が難しいのも課題です。
これに対し、データ連携ツールはAPI(※)を使ってデータそのものを直接操作するので、作業ステップを大幅に減らしながら、データを短時間で処理することができます。そのため、大量のデータ処理が必要な場合にはRPAに対して作業時間は格段に減らせます。
※API:Application Programming Interfaceの略。ソフトウェアコンポーネントが互いにやりとりするのに使用するインターフェースの仕様
―RPAに比べて作業工数はどの程度削減できるのでしょう。
たとえば、当社が提供する『ASTERIA Warp(アステリア ワープ)』の導入事例を紹介すると、これまで月40時間を要していたSaaS同士のデータ更新作業を秒単位で行ったほか、月数十時間かかっていたExcel内の請求データの抽出、集計、出力などの作業を数分で行った例もあります。
また、RPAとの比較でも、データ加工・チェックの処理時間を90%削減したケースや、RPAで1週間かかっていたCSVの変換・加工・集計処理をわずか数時間で行った実績もあります。
連携先は100種類以上。幅広い利用者が使いこなせる
―連携できるシステムやサービスの種類は、どれくらいの数ですか。
100種類以上にのぼります。昨今、自治体でも専門性の高いSaaSサービスが数多く導入されていますが、それらの多くをカバーしているのが『ASTERIA Warp』の特徴のひとつです。
しかも、システム間の複雑な連携をノーコードで実現できるのも、大きな特徴のひとつです。操作は、画面上に配置されたアイコンのドラック&ドロップと設定を繰り返すだけで開発が可能なため、専門的な技術者のみならず、幅広い利用者が使いこなせるツールとなっています。
―実際の導入事例や活用シーンを教えてください。
中小規模の自治体では、RPA的な利用方法、たとえばExcelデータからシステムへの転記や、その逆にExcelへの転記のような日々の業務自動化に活用できます。一方、大規模自治体では、政府が進める「スーパーシティ」構想の中核として行政・民間・個人の情報をつなぐ「データ連携基盤」のように大規模な活用も可能です。こうした大規模なデータ連携基盤を構築するうえでも、『ASTERIA Warp』は多くの自治体にとって欠かせないツールになるはずです。当社では、民間企業9,000社以上への導入実績で培ったノウハウを提供し、DX(※)を進める自治体を支援していきます。
※DX:Digital Transformationの略。業務をデジタル化するだけでなく、そのプロセスを革新して効率化・高度化すること
平野 洋一郎 (ひらの よういちろう) プロフィール
熊本県生まれ。ソフトウェア開発ベンチャーでエンジニアとして日本語ワードプロセッサを開発。ロータス株式会社(現:日本アイ・ビー・エム株式会社)を経て、平成10年、アステリア株式会社(旧:インフォテリア株式会社)を設立。
アステリア株式会社