※下記は自治体通信 自治体DX特別号(2021年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
まもなく10年を迎える東日本大震災。あの未曾有の災害を機に、多くの自治体の防災対策はさまざまな面で進化を遂げた。そのひとつが、防水シャッターや防水扉の設置といった建物の浸水対策である。シャッター業界のトップメーカーである三和シヤッター工業の辻󠄀氏によると、「昨今、全国で相次ぐ大規模水害を受け、建物の浸水対策は再び注目を集めている」という。今後、自治体が着手すべき浸水対策について、同社の高島氏とともに話を聞いた。
施設の諸条件を考慮し 、最適な設備を選定せよ
―自治体の浸水対策をめぐる、最近のトレンドを教えてください。
高島 各地で水害が頻発している状況を受け、本庁舎はもとより、災害時に機能すべき消防署や避難所といった施設での浸水対策に力を入れる自治体が増えています。また、土嚢の配備で済ませていた施設への防水板の設置や、突発的な事態に対応できるよう簡易設置型の防水シートの整備など、従来の浸水対策の実効性を見直す動きも見られます。
辻 そうした浸水対策に対する関心の高まりを受け、令和元年11月には浸水防止用設備の日本産業規格(JIS)が制定・改正されました。シャッターやドアといった設備の浸水防止性能について評価基準が規定され、性能に関する「等級」も定められました。この結果、市場では浸水防止用設備の開発が加速しており、利用者の選択の幅は大きく広がっています。
―浸水防止用設備を導入する際に、重要なポイントはなんでしょう。
高島 設置する施設の特性や求める浸水防止性能、想定される浸水の高さといった諸条件を考慮し、最適な設備を選定することが重要です。たとえば当社では、「簡単に、すばやく、安全に」をコンセプトに、シャッターやドア、防水板といった防水商品群『ウォーターガード』を開発しています。
厳格な技術評価を経て、性能が担保された商品群
―どのような場面で、どういった設備が活用できますか。
辻 もっとも一般的なのは、小規模の改修で簡単に設置できる脱着式の「防水板」です。軽量で持ち運びがしやすいアルミ軽量タイプやシートタイプもあり、設置場所の特性や要求に合わせて選択できます。また、施設の正面玄関や地下入口のような開口部が広い場所や、既存のシャッターが設置されているような場所などでは、『防水シャッター』を提案しています。開口幅に合わせて補強中柱を設置することで、高さ3mの静水圧にも耐え、浸水24時間経過後も性能を保つことができます。
高島 ほかにも、庁舎の機械室や設備室といった重要施設には、JISの最上位等級Ws-6に準拠し、もっとも高い防水性や気密性、扉強度を誇る『Wタイトドア』を推奨しています。この商品は津波荷重に耐える強度を確保し、日本下水道事業団が定める条件をクリアしたもので、問い合わせをいただいた多くの自治体関連施設に提案しています。
―浸水対策に力を入れる自治体への支援方針を聞かせてください。
辻 25種類の豊富な商品群を揃えた当社の『ウォーターガード』は、「一般財団法人 建材試験センター」による浸水防止性能試験を実施し、なかでも、『防水シャッター』『Sタイトドア』『Wタイトドア』については、厳格な技術評価を経たもので、浸水防止性はもちろん、操作性や安全性が確認されています。それらの性能は、当社の性能試験センターにおいて実機で体験することもできます。
高島 これらの商品を軸に、当社では現在、提案型営業を強化しています。長年蓄積してきた浸水対策のノウハウを駆使して、自治体の防災対策を支援していきます。関心のある自治体の皆さんは、ぜひお問い合わせください。
辻󠄀 健夫 (つじ たけお) プロフィール
昭和43年、兵庫県生まれ。平成3年、三和シヤッター工業株式会社に入社。商品開発部に。
高島 健一 (たかしま けんいち) プロフィール
昭和44年、東京都生まれ。平成3年、三和シヤッター工業株式会社に入社。設計部門を経て、商品開発部に。
三和シヤッター工業株式会社
創立 | 昭和31年(平成19年に持株会社化により事業会社として設立) |
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資本金 | 5億円 |
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売上高 | 2,104億円(令和2年3月期) |
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従業員数 | 2,939人(令和2年3月末現在) |
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事業内容 | 各種シャッター、ドア、オーバーヘッドドア、住宅用窓シャッター、間仕切、エクステリア、ステンレス製品などの製造および販売 |
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URL | https://www.sanwa-ss.co.jp/ |
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お問い合わせ電話番号 | 03-3346-3011 |