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アウトソーシングを活用し人手不足に悩む自治体の課題を解決

アウトソーシングを活用し人手不足に悩む自治体の課題を解決

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アウトソーシングを活用し人手不足に悩む自治体の課題を解決

りらいあコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 中込 純
[提供] りらいあコミュニケーションズ株式会社

平成7年から減りはじめた地方公共団体職員数は平成19年、団塊の世代の大量退職という段階を経て、いっそう減りつづけている。しかし業務量はかつてとそれほど変わらない。むしろ、新制度の導入にともなう手続き業務や自治体に求める住民の要求レベルの上昇などにより、人手不足の常態化をなんとか解消する手立てが求められている。そこで今回は行政事務を効率化するために、かつてないほど必要性が高まっているアウトソーシングについて紹介する。

※下記は自治体通信 Vol.4(2016年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

 総務省の調査によれば、平成27年4月1日現在、総職員数は273万8337人で、平成6年の328万2492人をピークとして、平成7年から21年連続し減少している(「平成27年地方公共団体定員管理調査結果」)。

 一般行政部門に限ってみれば、平成6年を100とした場合、平成27年は77.4%でしかなく、21年間でじつに4分の1近くの職員が減ったということになる。

 現在の自治体行政の業務量が同じであるならば、減少した職員分を補う方法は業務を外部委託(アウトソーシング)するしかない。

 多数の自治体の事務業務を受託した実績をもつ、りらいあコミュニケーションズを紹介。行政事務におけるアウトソーシングのこれからを考える。

プロフェッショナルインタビュー

約30年前にコールセンター事業を開始し、現在は窓口応対、バックオフィスなどのアウトソーシングサービスでも自治体の事務業務を支援する、りらいあコミュニケーションズ。おりしも自治体の現場では職員の減少により、質の高い住民サービスの提供に苦慮しているという。そこで、本企画では効率的な自治体業務の遂行のために民間企業の積極的な活用を提唱する同社代表、中込氏に自治体業務にアウトソーシングをどう活かすかについて聞いた。

アウトソーシングを活用し効率的な業務の仕組みづくりを

―自治体職員の数が減少傾向にある一方、以前にもまして質の高い住民サービスが求められています。そういったなかで、今後も継続した自治体運営をしていくためにはどうすればいいのでしょう。

 職員が携わる事務のプロセスをマニュアル化やアウトソーシングして、標準化・単純化するべきです。職員の数が減っても、全体的な事務の業務量は変わりません。そんな状況で事務が属人化していては非効率。事務にともなう業務のどの部分を職員が遂行し、どの部分をアウトソーシングできるかを決める「事務のプロセスデザイン」を施し、業務を可視化することが重要です。アウトソーシングできるところはアウトソースし、職員は立案や戦略に専念することで、質の高い住民サービスを実現できるのだと思います。

―効率的なアウトソーシングに必要な視点を教えてください。

 細分化せずに、包括的な形で業務をアウトソースすることです。そもそも自治体の事務作業である「電話応対」「窓口業務」「書類作成・発送や印刷も含むバックオフィス業務」は相互に連携しているもの。これを細分化してアウトソーシングするのは、それぞれの担当者間で連絡や申し送り義務が生まれて、効率的ではありません。

 たとえば、全体を指揮する統括責任者を置いて、「通知書が手元に届くタイミングなので、本日はその問い合わせ電話が多いだろう」ということをアウトソーシングしているすべての担当者に通達するだけで、窓口対応も、後方事務も業務予測が成り立ち、スムーズに住民サービスにあたれるのです。

社長もコールセンター業務を経験。現場力維持への徹底した体制

―りらいあコミュニケーションズは自治体にどのようなサービスを提供しているのですか。

「電話応対」「窓口業務」「バックオフィス」のほかに、訪問督促や書類回収を行う「フィールドオペレーション」、この4月からは「多言語サービス」の提供も始めました。先ほど申し上げましたように、事務の業務はたがいに連携しており、アウトソーシングを細分化してしまうと非効率な側面があります。当社が競争入札をする際にはこれらの事務の包括的なアウトソースを提案することが多々あり、こういった形式で採用されるケースも増えてきています。

―なぜ包括的なサービスを提案できるのでしょう。

 昭和62年の設立以来、自治体業務のアウトソーサーとしてさまざまな分野の仕事に携わり、基本的な内容や流れに対するノウハウが、当社には蓄積されているからです。

 長年の経験から、ある通知書を発送した数日後にどれくらいの住民が窓口にいらっしゃるのか、電話での問い合わせはこれくらいあるだろう、などの繁閑を予測し、人員配備を調整します。この調整により繁忙期にはしっかり人を充てて、閑散期には最少の人員で運営する。さらに配備された人員は複数の業務の担当も可能。それにより、人件費の削減にもつなげることができるのです。

―ところで、平成27年10月1日に「株式会社もしもしホットライン」から「りらいあコミュニケーションズ株式会社」に社名変更したそうですね。理由を教えてください。

 当社の自治体支援はコールセンター事業から始まったのですが、以前の社名はそのイメージが強すぎて、さまざまな分野で自治体の仕事をしている最近の事業形態にそぐわなくなってきたからです。アウトソーサーは仕事の質やセキュリティ面などで信頼されなければ仕事を継続できません。そこで「信頼」こそが我々のコアバリューという想いから、英語で「信頼」を意味する「リライアブル」という言葉を核に新社名を考えたすえ、現在の名前にしました。

 当社はつねに高い現場力を維持するために尽力しています。入社後は例外なくコールセンター業務を経験します。私も社長就任前に数週間、コールセンターの現場で働きました。今後も長年つちかった現場での対応力を強みに、幅広い分野で自治体業務を支援していきたいと考えます。

中込 純(なかごめ じゅん)プロフィール

東京都出身。昭和56年、上智大学経済学部卒業後、三井物産株式会社に入社。米国三井物産ニューヨーク本店、エレクトロニクス事業本部、情報産業本部ディスプレイ事業部、ジェイエスキューブ社長、三井物産情報産業本部EMS事業部長などを務めたのち、株式会社もしもしホットライン(現:りらいあコミュニケーションズ株式会社)に出向。取締役などを経て平成26年6月、代表取締役社長に就任。


アウトソーシングを活用し人手不足に悩む自治体の課題を解決

りらいあコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長 中込 純
[提供] りらいあコミュニケーションズ株式会社

※下記は自治体通信 Vol.4(2016年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

外国語対応への支援

平成27年には45年ぶりに訪日外客数と出国日本人数が逆転するなど、訪日外国人(インバウンド)の増加には拍車がかかるばかりだ。こうした情勢のもと、前ページでふれた多言語サービスへの需要は、自治体でも高まっているという。外国語対応の体制構築が自治体に求められるなか、効果的に業務をサポートするにはどうすればいいのか。りらいあコミュニケーションズで多言語サービス事業にあたってきた鮎澤氏に聞いた。

多言語サービスの提供は自治体にとってもはや不可欠の課題

―自治体サービスにおいて、多言語対応の必要性は高まっているのでしょうか。

 増加するインバウンドへの観光案内やガイドサービスの充実は急務です。また200万人を超える在留外国人に対する行政サービスにおいても、多言語対応の充実は今後いっそう求められていくに違いありません。

―人材の確保が難しい問題ですね。

 そうです。外国語が話せる人材を行政の窓口に置こうとすると当然コストがかかりますし、自治体としてふさわしい対応ができる人材確保の難しさもあるでしょう。いずれにしても、言葉の数だけ人手を揃えて多言語に対応していくのは現実的ではありません。

―ではどうすれば対応できるのでしょう。

 安価で効率のよい多言語の通訳機能を当社が提供できます。もともと金融機関の多言語サービス業務をサポートしてきた関係で、現在、9ヵ国語に対応する体制が整っています。そのノウハウを自治体業務にも活かすために、4月に多言語センター(仮称)を横浜にオープンします。

 ここには、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語に対応できる人材が常駐し、自治体のコールセンターに着信した通話を転送してもらいます。問い合わせする方と自治体担当者、多言語のオペレーターによる三者間通話で通訳する仕組みで、今後はタイ語、ベトナム語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、インドネシア語を加えた13ヵ国語に対応していく予定です。

―今後の目標を教えてください。

 多言語センターの充実を図り、定型化された質問に対する一次回答まではオペレーター自身で対応できるようにしていきます。これは外国人からの質問を分析すれば、ある程度は対応可能です。最終的には海外に音声を転送して業務をオフショア化し、平成32年までに外国人が電話に出て対応できるアウトソーシングの体制を構築することが目標です。多言語サービスは電話だけでなくSNSの音声通話やチャットでも対応可能。自治体にとって、取り入れやすい方法で活用していただきたいですね。

住民対応業務の新潮流

自治体の業務を円滑に進めるために不可欠なのが民間へのアウトソーシングである。しかしやり方次第では本来生まれるはずのメリットを引き出せず、むしろ業務が悪循環に陥ってしまうことも少なくない。良質のアウトソーシングを実現するためのポイントを、平成27年度に30自治体・72業務に関わったBPO事業部事業部長の大竹氏に聞いた。

単独型のアウトソーシングから複合型への切り替えが重要

―自治体業務のアウトソーシングの課題を教えてください。

 2つあります。1つめは、電話対応や事務という業務単独や部署単独でのアウトソーシングは多く導入されていますが、それが全体最適なのかという視点が欠けているように思います。つまり、連動する業務を一括チェックすればチェックは1回で済みますが、個々の業務や部署ごとにチェックしていたら、結局は三重四重にチェックしているのと同じことになります。アウトソーシングがかえって、業務を増やしているかもしれないのです。

 2つめは、2~3人で対応するされにくいということです。その理由として、「定型化されて大きな仕事しかアウトソースできない」と自治体で思われていると考えられます。

―課題を解決する方法はあるのでしょうか。

 1つめの課題を解決するには、業務アセスメントを実施し、委託業務全般を一本化して全体を見通せる仕組みをつくります。そして部署ごとで個別に外注していた業務を取りまとめる。こうして複合型のアウトソーシングに変えていくことで、無駄が省かれ、スリムで低コストの自治体業務を実現できます。たとえば、地方創生として、ふるさと納税を実施する場合、職員は特産物の情報収集および商品の決定、目標納税額を設定します。そのほか必要な広報活動、HP作成(デジタルマーケティング事業)、申請書類の印刷・発送、問い合わせ受付、満足度を図るための各種アンケートの実施(コンタクトセンター事業)、付随する事務処理、集客イベント会場の手配・運営(フィールドオペレーション事業)などのスムースな連携が効率化のポイントとなります。りらいあグループはこれらの大部分の機能を有しており、パートナー企業の協力を得ながら構築・運営することができます。

 2つめの課題は、業務をマルチ処理することで解消できます。小さな業務を個別に処理するよりも、多くの部署から1ヵ所に集約すれば作業としては大きくなる。自治体を例にとれば、A市とB市のPCシステムが同じなら、両市に1人ずつのヘルプデスクを置く必要はありません。1人のヘルプデスクが2市の面倒を見てコストを削減すればいいのです。まずは、小さすぎて現状ではアウトソーシングできていない業務を抽出することを、おすすめします。

品質を担保できる民間企業を選択する

―繁閑予測が立たないためにアウトソーシングができないこともあるそうですね。

 どの自治体も共通して抱える課題です。当社には、統計学に基づいて作業量を予測するマーケティングサイエンス研究所があります。コールセンター業務から得られた膨大なデータや過去の事例、市場の動きを踏まえて詳細に算出できるので、それを活かした提案を自治体にすることもあります。

―繁閑予測のノウハウを活かした提案が採用された例を教えてください。

 現在のマイナンバー事業に対して、住民の来訪やナンバー通知送付の不着予測、その後の追い作業の予測などを高い確度で割り出して効率化を図り、コストを抑える提案を行いました。多くの自治体から業務受託をいただきました。

―より良いアウトソーシングを実施していくためのポイントは何でしょうか。

 豊富な経験があり、業務の品質を担保できる民間企業を吟味すべきと考えます。そのためにも単に価格のみでの入札ではなく、プロポーザルによる受託者の選定が必要です。

 民間がもつアイデアやノウハウを活かすことで効率化策を最大化させ、より良い住民サービスにつなげてほしいと思います。

アウトソーシング最前線 : 葛飾区の事例

平成23年3月1日から、「コールセンター業務」「区役所代表電話」「区役所総合案内」をアウトソーシングしています。導入の目的は3つ。①お客様からの問い合わせ先を一本化し、各部門への円滑な取次ぎや、行政手続きの案内および来庁時に必要な情報を提供することで、要件完結までの時間短縮を図る。②区が行う講座、イベント、検診等の案内や申込受付をコールセンターで行うことで、お客様が個々の事業所管課へ問い合わせる手間を省き、利便性を高める。③コールセンターに寄せられた問い合わせ内容を分析し、業務改善に役立てる、です。導入後は、よくある問い合わせや講座受付などに対してコールセンターで回答してもらえるため、事務作業の時間を安定して確保できています。なにより、住民にとって満足度の高いサービスを安定的に提供できていることがうれしいです。

金融本部 金融第一事業部 事業部長 鮎澤 邦幸(あゆざわ くにゆき)プロフィール

長野県生まれ。平成12年に株式会社もしもしホットライン(現:りらいあコミュニケーションズ株式会社)に入社。金融事業を中心に業務設計、運用に取り組む。

公共・ライフライン本部 BPO事業部 事業部長 大竹 厚志(おおたけ あつし)プロフィール

大阪府生まれ。平成11年に株式会社もしもしホットライン(現:りらいあコミュニケーションズ株式会社)に入社。金融事業を中心にBPO業務の開発、運用に取り組む。

りらいあコミュニケーションズ株式会社

設立 昭和62年6月
資本金 998百万円
売上高 742億円(平成27年3月期、連結)
従業員数 正社員:979名 契約社員:1万7,817名(平成27年3月現在、連結)
事業内容 コンタクトセンター事業、バックオフィス事業、フィールドオペレーション事業、海外事業など
URL http://www.relia-group.com/
お問い合わせ電話番号 0120-610-810(平日 9:00~17:30)
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