民間企業の取り組み
窓口業務でのDX推進
対面オンラインで申請手続きを完結。カギはマイナンバーカードの利活用
株式会社サイバーリンクス
公共クラウド事業部 公共サービス運用部 課長補佐 杉本 錠司
公共クラウド事業部 公共サービス運用部 課長補佐 高幣 昌典
※下記は自治体通信 Vol.45(2022年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体の窓口業務においては、住民サービス向上や職員の業務効率化のためにオンライン申請が普及するなど、積極的なDXが進められている。そうしたなか、自治体向けにDXの推進支援を行っているサイバーリンクスの杉本氏は「『誰一人取り残さない』というアプローチで窓口業務のDXを進めていく必要がある」と話す。その具体的な方法を、同社の高幣氏も交えて聞いた。
対面窓口とオンライン申請を、組み合わせた最適化が必要
―自治体はいかに窓口業務のDXを進めていけばいいでしょう。
杉本 「誰一人取り残さない」というアプローチで、DXを進めていくことです。近年、窓口にタブレット端末を設置したり、オンライン申請を導入したりする自治体が増えています。こうしたツールの導入は、住民サービスや職員の業務効率の向上に寄与するすばらしい取り組みです。一方で、操作に不安があったり、申請する内容がわからなければ住民が申請行為をやめたりすることが起こりえます。重要なのは、こうした場合にも対応できるDXの推進なのです。
―どうすればいいでしょう。
杉本 ポイントは、「すぐ相談できる」という安心感を住民に提供することです。そのためには、住民がDXの恩恵を受けながら、対面の良さである円滑なコミュニケーションを伴う手続きが必要です。また、そのサービスを住民が庁舎外で利用できれば、さらなる利便性向上につながります。当社は、「オンライン申請だけでは手が届きにくい相談の要素をカバーするため、対面窓口とオンライン申請を組み合わせれば、誰一人取り残さずにDX化できるのではないか」と考えました。それで誕生したのが『みんなの窓口』です。
マイナンバーカードの、電子署名を活用
―サービス内容の詳細を教えてください。
高幣 予約・受付、オンライン会話、マイナンバーカード活用によるeKYC*1・電子署名が可能な自治体専用窓口サービスです。このサービスで、住民は自宅から窓口サービスを受けることが可能になります。まず、住民はWebで窓口を予約し、予約完了メールを取得。予約日時にメールで指定されたURLに接続すれば、自宅と庁舎の職員がリアルタイムで繋がった状態になります。その後、会話を進めるなかで本人確認が必要になった場合は、まず専用アプリで二次元コードを読み取る。そして、スマホでマイナンバーカードを読み取れば、マイナンバーカードのICチップ情報が取得でき、本人確認が可能です。その後、オンライン申請画面または申請書類を画面で共有しながら、職員が代行で入力。こうして、書類を作成していくのです。
―手続きはどのように完結させるのですか。
高幣 マイナンバーカードによる電子署名で完結させます。住民は申請内容を最終確認した後、再びマイナンバーカードを活用し、PDFデータに電子署名を行います。職員が最終確認すれば、手続きは完了です。電子署名による署名検証者は、自治体となります。当社は、公的個人認証サービスにおける主務大臣認定事業者として、技術面でそれをサポートするのです。ちなみに、「JPQR*2」を活用して、公金決済まで行うことも可能です。このようにして、住民が自宅にいながら対面のような窓口対応を実現できるのです。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
杉本 『みんなの窓口』によって、申請業務だけでなく、さまざまな窓口業務を支援していきたいですね。まだ今年の8月にリリースしたばかりですが、すでに十津川村(奈良県)にて実証事業が行われています。また、住民の相談内容を自動的に文字起こしして、相談後の記録業務を支援したり、多言語に対応したりといった機能も今後実装する予定です。住民サービス向上だけでなく、職員の業務効率化にも寄与していきます。
杉本 錠司 (すぎもと じょうじ) プロフィール
昭和44年、和歌山県生まれ。平成13年、株式会社テレコムわかやま(現:株式会社サイバーリンクス)に入社。入社時から、おもに市町村の常駐業務で保守・運用・開発に携わる。令和3年よりDX関連の企画に従事。
高幣 昌典 (たかへい まさのり) プロフィール
昭和54年、和歌山県生まれ。平成17年、株式会社サイバーリンクスに入社。平成25年より現職。おもに市町村の常駐業務で保守・運用に携わる。令和3年よりDX関連の企画に従事。
株式会社サイバーリンクス
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