※下記は自治体通信 Vol.56(2024年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
地域活性化や住民の生活支援などを目的に、多くの自治体が給付金事業を展開している。そこでは、自治体における管理の負担やリスクを抑える観点などから近年、現金以外の支給品に注目が集まっている。そうしたなか、出雲崎町(新潟県)では、プリペイドギフトカードを出産・子育て応援ギフトとして採用。管理負担軽減の効果を感じているうえ、住民からも高い評価を得ているという。取り組みの詳細を、同町の担当者2人に聞いた。
[出雲崎町] ■人口:3,984人(令和6年1月31日現在) ■世帯数:1,665世帯(令和6年1月31日現在) ■予算規模:51億6,000万円(令和5年度当初)
■面積:44.41km² ■概要:新潟県のほぼ中央に位置し、日本海に面した約10kmの海岸線を持つ。良寛生誕の地、芭蕉詠嘆地、江戸時代天領地、近代石油産業発祥地としての深い歴史や紙風船の生産量日本一という産業、自然に恵まれた土地。農村部は稲作に適した土壌で、平成30年産米の1等米比率では県内1位と米の優良産地であり、『出雲崎の輝き』といったブランド米も生産している。
オンラインでも使える点が、導入の決め手になった
―出雲崎町が給付金事業にプリペイドギフトカードを採用した経緯を聞かせてください。
金泉 当町では持続可能なまちづくりの一環として、子育て世帯を中心とした移住者の誘致に長年、力を入れてきました。その具体的な施策の一つとして、もともと出産準備金と出産祝金を現金で給付する事業を展開していました。そうしたなか、令和4年度には国により「出産・子育て応援交付金」が創設されました。当町は、子育て世帯に対する支援をより手厚くしようと、この交付金の活用を決めました。その際には、従来の町の給付金事業との差別化を図ることで支援の多様性を高めたいと考え、現金給付以外の支給方法を検討したのです。
関川 その具体的な方法を調査するなかで関心をもったのが、インコム・ジャパンが提供する『バニラVisaギフトカード』というプリペイドギフトカードでした。
―どういった点に関心をもったのですか。
関川 言わば「使い切りのクレジットカード」として、受け取る住民は実店舗、オンラインを問わず、あらゆるVisa加盟店で利用できる点です。支給品の検討段階において子育て世帯の住民に意見を聞いてみたところ、「インターネットで買い物をする場合にも便利そうだ」という声がありました。こうした声が導入の決め手となり、令和5年2月から、「出産・子育て応援交付金」事業のギフトとして配布を始めました。
現金給付に伴うような、管理負担を抑えられる
―導入により、どのような成果を得ていますか。
関川 期待通り、カードを受け取った多くの住民から喜びの声と、「さっそくネットショッピングで利用した」という反応をいただいています。カードには有効期限があるので、貯蓄に回されず、すぐに使ってもらえるメリットを感じています。配布するカードは、チャージ金額ゼロの「無価値」の状態でインコム・ジャパンから納入し、住民への支給が決定した時点で同社にチャージしてもらい配布するという運用を行っています。そのため、職員は多額の現金を保管したり、個々人の口座に振り込んだりするような管理上のリスクや負担を抑えられています。
金泉 当町は、充実した子育て支援が自治体の魅力の一つとなり、直近で4年連続の転入超過を記録した実績があります。『バニラVisaギフトカード』の導入をめぐっては、職員の負担軽減はもとより、むしろ「出雲崎町の新しい魅力的な事業」を創設できたことが最大の成果だと感じています。
支給品選定のポイントは、職員・住民「双方」へのメリット
インコム・ジャパン株式会社
イシュイング・サービス部 シニア・マネージャー
平井 修一ひらい しゅういち
平成15年、クレジットカード会社に入社し、営業や企画などの業務に従事。平成24年、インコム・ジャパン株式会社に入社。POSAカードに関する事業などに従事し、平成29年より現職。おもに『バニラVisaギフトカード』に関するマーケティング業務を担う。中小企業診断士。
―給付金の支給をめぐる自治体の動きをどう見ていますか。
現金は汎用性の高さから支給対象者に喜ばれる一方で、貯蓄・ギャンブルなどの目的外利用や誤振込の懸念があるため、クーポンなど現金以外の支給を検討する自治体もあります。各々の支給方法には一長一短があり、悩んでいる自治体は多いのではないかと見ています。
―良い方法はありますか。
支給対象者に喜ばれ、自治体も効率的な運用が可能な国際ブランドのギフトカードをおすすめします。『バニラVisaギフトカード』は、利用可能店舗が世界で1億店以上あるとされるうえ、ECサイトでも利用できるため、ある意味で現金以上の汎用性を有します。一方で、有効期限があるため一定期間内の利用を促進し、ギャンブルでの利用も制限されます。また、「無価値」の状態でカードを在庫して任意のタイミングで有効化できるため、現金やほかの金券の給付に伴うような管理リスクを抑えられます。当社はカードの利用動向に関するレポートも提出しますので、施策の効果検証や次の施策検討にも活用できます。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
自治体と対象者「双方」にメリットがある『バニラVisaギフトカード』は、物価高騰支援や省エネ家電購入支援など多様な事業で導入が増えています。今後は、特定の地域に限定してカードを利用できる仕組みの提供を予定しており、地域振興券やプレミアムつき商品券としての活用も可能になります。ご検討の際はお気軽にご連絡ください。