民間企業の取り組み
電子投票の導入
電子投票が注目を集めるいま、期待される液晶ペンタブレットの力
株式会社ワコム
ビジネス ソリューション Japan BSセールス パブリック アカウントマネージャー 天野 祐輔
※下記は自治体通信 Vol.30(2021年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
かつて実施されていた、電子投票がいま新たに注目を集めている。令和2年3月、電子投票のシステム要件が改定されたことで、より選挙に実装できる環境が整いつつあるからだ。そのため、中学校で模擬選挙を行って、その有用性を確認する自治体も現れている。液晶ペンタブレットで模擬選挙の支援を行っているワコムの天野氏に、詳細を聞いた。
専門の投票機ではなく、汎用機でも使用が可能に
―なぜいま、電子投票が新たに注目を集めているのですか。
従来の紙による投票にくらべて、投票・開票作業の精度向上と時間短縮につながるからですね。紙による筆記の場合、文字が判別しにくいケースがあり、開票に時間がかかるうえに、結果として住民の意思が正しく伝わらない可能性もありますから。その点、電子投票であれば、そういった心配もありませんし、人海戦術で開票しなくてもいい。投票所内の機器を増やすことができれば、住民の投票時間も短くてすむので、選挙の全体的な業務効率化が望める。そのため、選挙に実装しやすいように電子投票のシステム要件が改定されたのだと考えられます。
―どのような改定が行われたのでしょう。
大きく変更になったポイントとして、以前は専用の投票機が必要でしたが、「日本国内で流通している」「国内メーカーの保証がある」「LTE回線やWi-Fiなど選挙に関係のない機能はすべて利用できない」などという条件で、タブレット端末のようなツールを使った汎用機の使用が認められたことですね。当社が取り扱う液晶ペンタブレットは、その条件を満たしているため、現在、電子投票での利用検討を進めているのです。
また、当社の液晶ペンタブレットは電子投票に向いているメリットがあります。
―それはなんですか。
まず、画面上のボタン選択だけではなく、紙による投票のようにタッチペンを使って滑らかに記入もできる点です。また、投票したい立候補者名を記入し、該当する名前のみ表示させる方式が取れます。そのため、多人数の場合に起こる画面のページめくりやスクロールをする手間がありません。さらに、ページめくりやスクロールの際、最初のほうに出る候補者の名前が目立つという不平等が生まれないといった点などですね。ちなみに手袋をした状態でも利用でき、コロナ禍でも安心です。
利用した中学生から、好意的なコメントが
―具体的に取り組んでいる事例を教えてください。
天理市(奈良県)と、葛飾区(東京都)での模擬選挙を紹介しましょう。両自治体とも、電子投票に興味をもった選挙管理委員会の協力を得て、市区内の中学校で模擬選挙を行いました。天理市立西中学校に関しては、実際の生徒会選挙で、葛飾区立桜道中学校と中川中学校では、授業の一環にて模擬選挙を実施。天理市立西中学校のアンケートでは、96%の生徒が「やってよかった」、82%が「選挙権を得たら電子投票を行いたい」と回答。葛飾区立桜道中学校では、60%以上が「家族は電子投票に抵抗がないと思う・あまりないと思う」との回答がありました。そのほかのコメントとして、「スムーズに投票できた」「結果の集計が早かった」「名前が出てきて楽だし、間違えにくい」といったような声が聞かれました。
―今後どのような電子投票の支援を行っていくのでしょう。
今後はもっと幅広い世代にも使ってもらい、実際の選挙を見すえた意見をもらいながら運用面での強化を図っていきたいですね。より多くの自治体やベンダー各社の協力を得ながら、液晶ペンタブレットを使った電子投票システムの検討を進め、全国的に選挙事務作業の効率化を支援していきたいと考えています。
天野 祐輔 (あまの ゆうすけ) プロフィール
平成3年、富山県生まれ。大学を卒業後、富士通系の会社で技術職、NTTデータ系の会社で営業職を経験する。令和2年、株式会社ワコムに入社。現在は、公共部門全般で営業活動を行っている。
電子投票は、無効票や按分*1票を減らしたり、開票にかかる経費節減にも効果が期待できます。今後も、中学校、高校などでの模擬選挙を電子投票で行っていくほか、高齢者の方たちなどへのデモンストレーションや説明会を行い、将来的には電子投票を導入していきたいですね。
コロナ禍における投票は、とにかく密にならないことが課題です。そのためには、投票作業、開票作業ともにいかに早く行えるかがポイントになってきます。その視点で考えると、電子投票は有効な手段であり、当市では積極的に検討していきたいと考えています。
株式会社ワコム
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