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高等学校入試DXの先進事例
先進事例2024.07.03

高等学校入試DXと教職員の働き方改革への取り組み

高等学校入試DXと教職員の働き方改革への取り組み
プロフィール
阿部 修二
岐阜県 清流の国推進部 デジタル推進局 
副局長  兼 ぎふDX支援センター 副センター長
阿部 修二あべ しゅうじ
千葉県出身。横浜市立大学物理学科卒。1988年富士通入社。30年間にわたり、行政、電力、通信といった社会基盤システムの企画や開発、運用、プロジェクトマネジメント(PM)等に関わる。2019年に岐阜県職員として転籍。総務部次長(情報化推進担当)を経て22年4月、清流の国推進部デジタル推進局副局長(現職)。

1.はじめに

岐阜県は、日本のほぼ中心に位置し、日本の人口重心*1があります。人間の身体で言えば「へそ」にあたり、「へそ」の地で自治体DXをスピード重視で行うこともあれば、時間をかけてじっくり行うこともある、そんな相反する対応においてもバランス感覚をもって柔軟にDX*2を着実に進めています。

岐阜県のDX指針となる岐阜県DX推進計画は、「県民生活を豊かに・安心に・便利に」というコンセプトのもと令和3年度に策定され、行政のデジタル化、市町村行政のDX支援、各分野のDXを三本柱として、113プロジェクトに細分化し「誰一人取り残されないデジタル社会である岐阜県」を目指しています。

その中に学校の働き方改革プロジェクト(詳細:第4次岐阜県教育振興基本計画 教職員の働き方改革)があります。校務の効率化・簡素化、業務の平準化により長時間勤務、多忙化などを解消し、教員の教材研究や児童生徒と向き合う時間を確保する(本業に集中する)ものとして、社会の未来を作る教育分野に不可欠なプロジェクトです。

一方、令和5年6月に文部科学省から高校入試の手続についてデジタル化の通知があり、東京都、愛知県、三重県、福井県、広島県などで広く導入が進み、令和6年4月にデジタル庁から「高等学校入学者選抜のデジタル化に関する調査研究」のとおり検証が行われたところです。

岐阜県は働き方改革プロジェクトの1つの施策として岐阜県公立高等学校入学者選抜(以下「高校入試」)の手続の改善に取り組みました。全国に先駆け、出願から受検票ダウンロード、得点集計*3、出願者の情報連携といった一連の業務についてデジタル化することでエンド・ツー・エンドの一貫したデジタル化(デジタル3.0/高等学校入試DX*4、以降「フル・デジタル化」)を「WEB出願システム」として実現し、大きな成果をあげることができました。本事例が他団体へ一助となれば幸いです。

2.WEB出願システム概要

1)システム導入の背景と課題

高校入試の手続は、中学校教職員、高校教職員の方々それぞれに非常に手間が掛かっていたことが課題です。中学校では入試の申請書類など紙媒体のチェックと仕分け作業を行ったのち、持参か郵送を行います。その後、高等学校では紙媒体に基づいてデータ入力し、受検票の郵送といったアナログ的な作業を行います。さらに一連の作業は出願ミスなど間違いが起きぬよう神経をすり減らす慎重な作業となっています。

そもそも教職員は慢性的に多忙な状況が続いている中で、高校入試のシーズンに突入すると試験対策・三者面談・調査書作成などの作業により忙殺されます。一方で全国的に出願ミスなどの事故も起きており、同じように作業を続けるのは限界に近づいていました。

この様な状況下において改善の方向性は、本業(教職員しかできない業務)、外部委託すべき業務、デジタル化により効率化すべき業務に細分化し、かつ最適化することで全体の効率化を目指すとしています。

しかしながら、中学校の校務支援データ・高校入試のデータ・高等学校の校務支援データは、出願者の情報で紐づけられるにも関わらず、バラバラに存在していることが、デジタル化の阻害要因になっていました。

こうした状況が続いた背景としては、課題を認知していても具体的なデジタル技術に精通した人材が上手く関われなかったことがありました。

2)システム概要

高校入試の手続は、出願者の情報が複数のシステムを通って進む、大きなワークフローと言えます。出願者の情報が「バケツリレー」のように出願、受検料納付、合否判定などの各バケツに次々とワークフローで引き継がれていき、最終的に入学のゴールのバケツにたどり着いた情報を高等学校の校務支援システムへ流し込み仕組みとなります。WEB出願システムは、ワークフローや高校入試に必要な情報を適切に、かつ効率的に一元的に管理しています。

本システムの機能は、出願者の氏名・住所・願書などの情報管理や願書の申請・受検料支払い・受検票ダウンロードなどの出願者へのインターフェースを担う出願機能、中学校の校務システムから出願者の出欠状況・内申点・調査書などの情報を受け取る機能(中学校連携機能)、高等学校の校務支援システムへ入学後の学籍管理や成績管理などの情報を受け渡す機能(高校連携機能)、WEB出願システム全体の管理者機能からなります。(図-1)

図-1 WEB出願システムのイメージ

毎年約13,000人の出願者と、約1,190人の中学校教職員、高校教職員など職員関係者を支えるシステムを整備するにあたり方針は大きく2つありました。

一つ目は岐阜県の良さである全日制・定時制における併願ルールを踏襲すること。二つ目は優先度を考慮しながらも考えられる限りの徹底した効率化を目指すことです。

一つ目は岐阜県の良さである全日制・定時制における併願ルールを踏襲すること。

第1・2・3志望の同時出願といった併願ルールによる出願申込みパターンは、約2,000通りあり、それを踏襲する必要がありました。

 

二つ目は優先度を考慮しながらも考えられる限りの徹底した効率化を目指すこと。具体的な内容は、以下のとおり利用者の操作性や機能など多岐に及びます。

・独自選抜の併願ルールは、出願時に整合性の自動チェックを行い、かつ間違ったパターンを選択しようとしても、そもそも表示されない様に見せることで申請ミスを防止

・願書の申請から受検票ダウンロード、高等学校の校務支援システムへのデータ連携だけでなく、さらに中学校の調査書などのデータ連携などを行うことでフル・デジタル化

・出願者がシステムを通して自身の合否や学力検査得点をスマホ等で確認できること

・受検料(入学考査料)の納付手段を収入証紙からクレジット、コード決済、コンビニ(現金)へ

・出願変更時は保護者が中学校教師と一緒に出願先高等学校から変更先高等学校へ出向いて変更手続するという煩わしさの解消など

また、画面デザインはシンプルに判りやすくし、かつ出願者のスマホ等画面はスマートデバイスに対応したレスポンシブWEBデザインを採用し、今風なUI/UX (ユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス)を実現する要件としました。(図-2)

図-2 申請画面(スマホ)

3)スケジュール

令和4年度から業務仕様の検討、他都道府県の動向調査などを始め、令和5年度に予算化し、一般競争入札(最低価格方式)により委託業者が決まりました。設計から運用テストまでの構築フェーズの期間は令和5年4月中から12月の約8か月半となっています。(図-3)

図-3 スケジュール

3.課題と対応

プロジェクトの推進主体である県教育委員会の県職員(以下「教育委員会チーム」)において、大きく3つの課題がありました。これらを合理的な判断により自力で解決しつつも、デジタル技術の適用、調達手続、品質評価などの面から、ぎふDX支援センター*5が多岐にわたり支援を行いました。以下に主な支援内容を記述します。

1)調達仕様書の作成 (調達フェーズ)

教育委員会チームは業務を熟知していても、情報システムの調達は初めてであったため、何から始めれば良いか、また調達仕様書はどの様に作成したら良いか戸惑ったといいます。また、システム化方針を達成するために、調達方式は応札業者の企画・提案を受け入れるプロポーザル方式でなく、具体的な業務要件を明記し、価格重視で望む一般競争入札(最低価格方式)としたことでさらにハードルがあがりました。例えば、調達仕様書に記す要件定義は、記載内容にて網羅されているか、または記載内容の記述レベルで応札業者は理解できるか、構築フェーズのリスクをどう管理していくか、他にも開発委託費について財政部門への説明など、入札により委託業者(システム研究所様)が決まるまで調達フェーズの不安点は多かったとのことです。そのため、ぎふDX支援センターにて調達仕様書の作成支援など幅広に支援を行いました。

2)パッケージの岐阜県向けカスタマイズ (調達フェーズ)

高校入試の手続をデジタル化するパッケージは複数ありますが、システム化方針にある独自選抜の併願ルールを実現するなど、岐阜県が期待する効率化を網羅するパッケージは存在せず、パッケージのカスタマイズが懸念となりました。なぜなら一般的にパッケージのカスタマイズは、デメリットとしてカスタマイズ部分の品質低下や費用の高止まりの要因となる懸念があるからです。しかしながら高校入試の手続はバケツリレーの分かりやすい業務であることからカスタマイズの影響は局所化すると考えました。つまり岐阜県の業務要件に合わせたカスタマイズは、システムという道具をより効果的に機能させるために必要な措置と考え、教育委員会チームが必須要件としたパッケージのカスタマイズも躊躇せず踏み込む方向で進めました。

具体的なカスタマイズにより追加した機能は以下の4つとなります。
・中学校の校務支援システムと調査書などのデータ連携機能
・学力検査得点の確認機能
・出願確定後の受検料支払い機能
・受検票発行機能

3)プロジェクト管理 (構築・運用フェーズ)

県職員が利用するネットワーク環境は岐阜情報スーパーハイウェイ(県の光ファイバー網)などで構成され、外部から不正アクセスされる危険を限りなく低くした閉域の内部ネットワークとなっています(α’モデル*6)。そのため構築フェーズにおいて委託業者とメールベースでドキュメント共有となり、非効率となることが予見されたことからぎふDX支援センターにて利用者限定のコミュニケーション基盤(クラウドストレージのコラボレーション機能)を整備し活用しました。

一方、デジタル技術の適用によりオンライン画面操作など運用が大きく変わるため、出願者や教職員の慣れや不安を解消し運用フェーズへのソフトランディングを図る必要がありました。さらにカスタマイズの影響を含めたシステムの利用ピーク時においても適切なレスポンスやシステムリソースとなっていることを検証する必要がありました。これらのリスク対策は、運用テスト期間中に出願体験を行うことで対処しています。出願体験は実際に出願される予定の方、職員関係者の方、約9割の方々(約12000名)が参加し検証いただいたことで、運用や画面に慣れていただくだけでなく、実際の画面レスポンスの結果を見てシステムリソースの増強対策など性能テストとして確認することがきました。

このリスク対策として行った出願体験という運用テストのイベントこそ、岐阜県のWEB出願システムの品質を確保した仕掛けと言えるでしょう。

4.結果・導入効果

前述の課題以外にも、数々の細かな問題はありましたが、導入初年度にも関わらず関係皆様の協力によりGmailへのメール送信不可といった大きなトラブルもなく、1月の出願申請開始から始まった本番運用は3月27日に無事終了することができました。

受検者数は13,329人となり、受検料の支払い方法が収入証紙から複数の納付手段へ変更となり、ほぼ想定どおりの分布となりました。また、ヘルプデスクへの問合せは730件となっており、問合せしてから1時間以内の回答率が89.2%となっています。これらの状況は、Web出願システムが、大きな混乱が無くソフトランディングできた裏付けと捉えています。(表-1、表-2)

表-1:受検料の支払い状況(参考)

表-2:ヘルプデスクへの問合せ状況(参考)

導入効果について、定量的と定性的な観点から述べます。

1)定量効果

(1)労務の削減
システム導入により無くす作業と、効率化する作業の削減時間を積算すると年間:約35,000時間となり、カスタマイズにより導入した機能が何れも作業時間の削減に大きく貢献しています。(表-3)
さらに削減効果は削減時間を費用に換算すると1.5億円/年(約7.5億円/5年)となり、WEB出願システムの導入費用(初期+運用費用)を鑑みても、費用対効果は十分に見込むことができる状況となっています。

表-3 導入効果

(2)業務の削減度合い
令和5年度の本番運用終了後のアンケート結果を記します。業務削減に対して高等学校は全校から肯定的な回答をいただきました。一方、中学校では、システム導入に伴い業務が増えたというところがあります。これは、中学校の校務支援システムに対して不慣れな中学校があったことや外国につながる生徒(外国人生徒、及び日本国籍ではあるが親や自身のルーツや経歴の一部が外国にある生徒)の「出願指導」等において、日本語が分からない外国人生徒や保護者に対する説明があり、当初、日本語以外の英語、ポルトガル語、中国語、タガログ語といった複数言語対応のマニュアルなどの準備が不十分だったためです。今後、習熟度向上により改善点が見込まれるとともに、誤操作につながらないよう配慮した管理画面の工夫などUI/UXのさらなる最適化が求められます。(表-4)

表-4:WEB出願システム導入による入試業務の削減度合 (アンケート結果から)

2)定性効果

できるだけ原文のまま、掲載させていただきます。多くの感謝の言葉をいただきました。

(1)高校教職員からのコメント 
 ・高校現場での大幅な業務量とストレスの削減になった。本校の先生方からは、「入試改革有難う!!」の声が沢山飛び交っていました。
 ・非常にスムーズな運用がなされ、選抜業務の負担軽減のみならず、入学検査の受検番号に欠番がないことなど、ミスの未然防止にもつながる部分もあり、近年の事務的改善において最も効果を感じている。
 ・出願体験などにより大きな混乱もなく実施できた。現場の要望に耳を傾けていただいた県教委の尽力の賜だと考えている。

(2)中学校教職員からのコメント
 ・中学校の進路事務に係る作業及び心理的な負担が軽減され大変ありがたかった。
 ・中学校の校務支援システムとの連携も含めたデジタル化により、事務的なミスが起こる可能性がかなり低くなったと思う。とても分かりやすいシステムだった。
 ・出願体験などにより、具体的にどのようにすればよいのかをイメージできたことが大変ありがたく、家庭も学校も緊張感を持ちつつも安心して本番を迎えることができた。

(3)保護者の方からのコメント
 ・家庭の責任がこれまでよりも大きくなった感じを受け、不安感は増したが、合否発表や得点情報の提供なども分かりやすく、入試を終えてみると、全体として、分りやすいシステムとなっていると感じた。
 ・最もありがたいと感じたことは、「合格発表」の確認がこのシステム上でできたこと。スマホですぐにつながり合否を確認できた。その後、説明会に間に合うように学校に出向けた。また、「学力検査得点の確認」も発表の1時間後くらいには同じシステム上で、スマホで確認でき、とても便利だった。(開示会場の前に受検票を手に並ぶ手間がなかった。)
 ・残念ながら不合格になりました。合格で喜んでいる子の中で自分の子供の悲しむ顔を見なくて正直ほっとした。自分の子が悔しさをバネにできるかなど、いろいろ考えてしまったから。そんな中で学力検査の得点を見て本人の納得性が高まったように感じ取ることができたのは良かった。誰一人取り残されないデジタル社会というのは、今回のような本人の選択が自然とできるやさしい社会であって欲しいと思う。いろいろ考えて対応くださり心から感謝している。
 ・上の子供の時(紙での出願)と比べて、格段に楽になった。受検料のWEB決済システムがとても良かった。コンビニでもOKだったので、これまでのように「収入証紙」を購入しにいく手間がなく、公共料金の支払いの感覚でできて便利だった。振込が完了しないと、「受検票の印刷」に進めないシステムになっていて、感心した。

(4)委託業者の方からのコメント
弊社にて構築しているWeb出願システムは、パッケージ製品でありながら導入自治体様の要項に寄り添った柔軟なカスタマイズ性を強みとしております。
構築にあたっては、本番稼働までの納期や、岐阜県様独自の要項への対応、運用面のご支援など苦労した部分はありましたが、熱心な県教委の皆様のご尽力を頂いたことで、中学・高校の先生方や、保護者を含めた出願者の方々、皆様に喜んで頂けるシステムをご提供することができたことは大変有難く思います。今後も引き続き社会の発展に貢献する企業を目指してまいります。
                   株式会社 システム研究所 内山純也プロジェクトマネージャー

5.おわりに

今回のプロジェクトを通して思ったことが2つあります。

一つ目は教育委員会チームが本当に素晴らしい働きをしたということです。情報システムの構築に携わった経験の無い方々が中心となり、企画の調達フェーズから運用フェーズまで2年でやり遂げるということ、さらに前例にとらわれず考えられる限りの効率化を徹底して行うことが、どれほど大変なことか判りますので賛辞の言葉しかありません。

また、今回は、教職員の働き方改革からスタートしたプロジェクトでありましたが、波及効果として保護者の方にデジタル化のメリットを実感いただいたように思います。このプロジェクトの成功はWin(教職員)Win(保護者)の関係をもたらし感動すら覚えます。昔、プロジェクトXで見た「全ての開発は感動から始まる」という言葉を思い出しました。富士通の故・池田敏雄氏の名言ですが、今回の事例にあてはまります。「チームの全員が具体的なゴールのイメージ(感動)を共有できないとフル・デジタル化(開発)は始まらない」ということです。

教育委員会チームの皆さんが高等学校の教職員の経験者ということであり、システム化の目的である働き方改革を的確に理解し、改善意識を高く持ち、かつ必ず成し遂げるという強い意志と熱意をもって周りを巻き込んだことが成功要因です。この流れの中で文部科学省にご協力いただき、デジタル技術やプロジェクト管理に精通した職員(ぎふDX支援センター員)も巻き込むことにつながりました。(写真-1)

つまり業務に精通し、高い熱意をもって改善に取り組むチームへ、デジタル技術や調達ルールなどの知識を補完する有識者がプロジェクトに加わり一枚岩となって対応する伴走型のプロジェクト運営は成功につながる一つのDX推進スタイルと考えます。

本プロジェクトの構築に携わった県職員、本庁舎の玄関前にて 
右から
教育委員会 高校教育課 中村課長、清流の国推進部 デジタル推進局 阿部副局長、教育委員会 高校教育課 石原教育主管、高田課長補佐兼係長、磯見教育主任
(令和6年3月29日 撮影当時の役職名)

二つ目は、デジタル庁が進めるアナログ規制の効果についてです。国はデジタル社会の実現に向けた「構造改革」を図るため、書面提出など例規で義務付けられているアナログ規制を改革しています。令和5年6月に成立した「デジタル規制改革推進のための一括法」に基づき、都道府県にも「地方公共団体におけるアナログ規制の点検・見直しマニュアル」を発出しています。アナログ規制の点検項目には「書面掲示」「往訪閲覧・縦覧」が含まれており、デジタル社会に向けて「所定の場所に来訪が必要なこと」が問題とされており、岐阜県も点検と対応を進めているところです。

今回の高校入試の合格発表や学力検査得点の確認は、まさに「書面掲示」「往訪閲覧・縦覧」を改善し、デジタル社会に向けて一歩踏み出した状況と言えるでしょう。つまり、検討の着眼点が例規となるか、教職員の働き方改革(高校入試の手続)となるかの違いはありますが、デジタル社会に向けて目指すところは同じということです。保護者の方のコメントを見て、改めてその効果を実感しています。

大きな視点で俯瞰して見ると、学校の働き方改革プロジェクトは、教職員定数の制約、教員給与特別措置法の処遇、学習指導要領の拡充、仕事とプライベートとの線引きなど難しい問題が複雑に絡み合っていますが、高校入試の手続をフル・デジタル化したことは業務の削減に僅かながらも着実な実績をもたらしました。

今後もDX推進にあたり、県民の利便性向上と我々職員の効率化、言い換えるとWinWinとなる取組みを優先的に行うことを心掛け、かつデジタル化のメリットを体感いただく取り組みを重ねていくという姿勢を続けることで、県民の方にも理解いただける、豊かに、安心に、便利な地域を目指して常に成長していく岐阜県でありたい、そう思っています。
                                              以上

*1:人口重心とは
人口の一人一人が同じ重さを持つと仮定して、その地域内の人口が、全体として平衡を保つことのできる点のこと。日本の場合、岐阜県関市。

*2:DXとは
デジタルトランスフォーメーションの略。DXは、組織や企業が、外部環境の大きな変化に対応し、デジタル技術を活用して従来の働き方、文化、組織の変革をけん引しながら、新たな業務モデルやサービスを生み出し、デジタルとアナログの両面で、利用者体験(ユーザーエクスペリエンス)の向上を図ることとされています。さらにデジタル化には、デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(狭義のDX)の3つの段階がありますが、全体を捉えた広義のDXとし、デジタル化と同義としています。

*3:得点集計とは
定期試験や高等学校入学者選抜における採点業務で利用するシステム(デジタル採点システム)で行う業務。
デジタル採点システムは生徒の答案をスキャンして読み取り、生徒の回答内容をAI技術用いて採点したりパソコン上で設問ごとに確認し、採点結果を自動的に集計する機能を提供。


*4: デジタル3.0/高等学校入試DXとは
デジタル庁の資料(高等学校入学者選抜のデジタル化に関する調査研究)にて記載された用語。
「高等学校入学者選抜デジタル化の実施理念」における高校入試の手続においてWEB出願システムと校務支援システムがともに活用済とし最もデジタル化が進んだ状態のこと。
https://www.digital.go.jp/policies/education/2023report#high-school-entrance-exam-research

*5: ぎふDX支援センターとは
岐阜県清流の国推進部デジタル推進局が事務局となりDXに関わる相談をワンストップで受ける組織。
問合せ対象者は庁内の職員、市町村職員、民間企業を問わず、対応はぎふDX支援センター員が自ら対応するだけでなく、既存の相談窓口やぎふDXサポーター(民間IT企業)へ橋渡しなど相談内容に応じて振り分けを担い、ぎふDX支援センター員はDXアドバイザー(外部有識者)約10名、兼務職員約40名にて構成。
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/231469.html

*6: α’モデルとは
業務端末をLGWAN接続系に配置するネットワーク構成(αモデル)に対して、安全性の確認がとれたインターネットサービスへ直接接続(L.B.O.)するネットワーク形態のこと。

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