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先進事例2015.09.07

【七戸町】道の駅しちのへが導入した給電蓄電システム(直流給電蓄電システムの事例)

【七戸町】道の駅しちのへが導入した給電蓄電システム(直流給電蓄電システムの事例)

青森県 七戸町 の取り組み

直流給電蓄電システム 青森県七戸町の取り組み

【七戸町】道の駅しちのへが導入した給電蓄電システム(直流給電蓄電システムの事例)

商工観光課 課長補佐 中野渡 伯貴

地域活性化の拠点となる企画の具体化に向けて意欲的な〝道の駅〟を選定する国交省の「重点『道の駅』候補」に東北六県から唯一、選ばれた七戸町(青森県)の「道の駅しちのへ」。関係機関や民間企業と連携しながら地域の防災拠点化計画の具体化が進んでいる点などが評価された。実際にどのような取り組みが行われているのか。計画の発案者でその具体化に携わっている七戸町商工観光課の中野渡課長補佐に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.3(2015年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

青森県 七戸町データ

人口: 1万6,654人(平成27年7月1日現在) 世帯数: 6,829世帯(平成27年7月1日現在) 予算規模: 102億9,100万円(平成27年度当初) 面積: 337.23km² 概要: 八甲田山山系の東側に位置する。南に十和田市、西に青森市と接する。長芋、にんにくの生産が盛んなほか、東北の馬産地としても有名。「道の駅しちのへ」には町内産で日本ダービーを優勝したヒカルメイジとコマツヒカリの像が建てられている。

毎日使用しながら 非常時にも備えるシステム

―「道の駅周辺防災拠点化計画」(以下、防災拠点化計画)を策定した背景を聞かせて下さい。

 「道の駅しちのへ」の近隣には新幹線「七戸十和田駅」や警察署、消防署のほか大手スーパーが立地するなど、多くの地域住民や来訪者が集まるエリアになっています。そうしたなか、東日本大震災の発生直後は停電により新幹線がストップし、多数の乗客が駅で足止めを余儀なくされたり、防災無線が使用困難になるなど、いくつかの課題が浮き彫りになりました。

 そこで、地域住民や町外からの来訪者に避難場所や災害情報、道路情報などを正確に伝えられる環境整備が重要となり、「道の駅周辺防災拠点化計画」を平成24年度に策定しました。

―計画の目的を教えてください。

「道の駅しちのへ」周辺は七戸町の玄関口で、特別な対応が必要な地域です。そこで周辺に立地する施設・組織の官民連携や防災機能の向上により、災害に強い地域づくりを目指そうというわけです。

 そのため、ここ道の駅においては再生可能エネルギー設備を導入することで、毎日使えて、非常時でも72時間は照明や通信機能を維持できる独立型電源を確保しました。

―環境性能や省エネを図りながら、非常時にも有効な独立型電源システムを導入したのですね。

 ええ。防災拠点化計画の推進にあたり、既存の屋根設置型に、新たに降雪期を想定した垂直設置型を加え、合計20キロワット出力の太陽光パネルを備えたほか、30キロワット時の蓄電池も導入。照明や非常時の情報の受信や発信に必要なIT機器類などを使用するため、道の駅で必要な最低限の電力量、約30キロワット時(昼夜合計)を確保しました。

 こうした独立型電源システムを構築するうえで、重要な役割を担っているのが、直流給電システムです。

2つの補助金で導入費用の大半を賄う

―直流給電システムとは、どういったシステムなのですか。

 直流電力を直流のまま使える給電システムです。通常、太陽光パネルなどで発電された直流電力は、一度交流に変換して屋内に引き込み、さらに電気機器に内蔵された変換装置で再度直流に変換されます。この変換時の電力ロスは5~10%とも言われています。太陽光パネルの性能をムダなく引き出し、非常時に系統が遮断されても問題のない独立型電源システムを構築するには、直流給電システムが必要でした。

 また、環境性能と省エネ効果を最大化するため、照明器具もすべてLEDに交換しました。

―一連の予算の手当てはどうしたのですか。

 その多くは、青森県の2つの補助金で賄うことができました。

 具体的には、「青森県公共施設再生可能エネルギー等導入推進事業費補助金」で蓄電池設備と太陽光発電を、「青森県地域の元気支援事業補助金(復興等支援事業)」でLEDと調光装置を備えた直流給電システムの導入を手当てしました。

―災害で交通網が寸断されると非常用電源を動かす燃料の調達すら難しくなります。自立したエネルギー確保に動いた道の駅しちのへの防災拠点化計画は、今後、さまざまな公共施設にも応用できそうですね。

 太陽光・直流給電システム・蓄電池という組み合わせで、毎日使用しながら非常時に備えることを実現した点が、今回の防災拠点化計画の特徴のひとつ。こうした発想は、確かにほかの公共施設にも広く応用できる可能性があるかもしれません。

 町が所有している電気バスのバッテリーの再利用も含め、今後も災害に強いまちづくりを進め、地域活性化の促進につながる施策や事業を推進していきたいですね。

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