―共同実験の内容を教えてください。
リクルート住まいカンパニーが開発した見守りサービス「COCOMO by SUUMO」(以下、COCOMO)の共同実験です。COCOMOは、児童や高齢者など、見守り対象者が携帯する直径3㎝ほどのBeaconという小型発信器から発信される微弱電波を定点スポット(センサー)や専用アプリをダウンロードした“見守りサポーター”のスマホがキャッチ。保護者やご家族のスマホにお子さんやおじいちゃん、おばあちゃんの現在地を通知します。定点スポットは町内会や関係機関などの協力を得て、町内約30ヵ所以上に設置しました。
COCOMOを選んだのは秩父市(埼玉県)や目黒区(東京都)などで実証実験を行うなど、信頼できる豊富な実績があったから。町ではこの6月にリクルート住まいカンパニーと包括提携し、7月から町内5小学校を対象にした子ども見守りサービスを開始。9月からは域内全中学校と認知症の高齢者見守りサービスも開始します。
―見守りサービスに期待していることを聞かせてください。
子どもやお年寄りを見守る地域コミュニティの再生に貢献してくれることを期待しています。
毎年多くの寄付があるなど、石井町の住民は郷土愛が強いと感じています。しかし、社会構造の変化で子どもやお年寄りを見守る地域コミュニティの取り組みや意識が昔と比べて弱まっているのも事実。地域の安全・安心を守るために防犯カメラを増設するという選択肢もありますが、COCOMOならそれよりも安価で、プライバシーの問題も守れます。専用アプリで町民がつながり、地域ぐるみで子どもやお年寄りを見守る意識が形成できる点も大きなメリット。私も早速、専用アプリをダウンロードしました。COCOMOの見守りサービスは、郷土愛をより大きく、より強く育み、地域の魅力づくりに貢献するツールになりえると期待しています。
―石井小学校は、町やリクルート住まいカンパニーと連携してCOCOMOの共同実験を進めている石井町の全5小学校のなかで最大の小学校です。共同実験について、どんな期待をしていますか。
保護者から大きな反響があるのではないかと期待しています。
時代の変化の波のなかで小学校にも新しい課題がいろいろと出ています。たとえば「GPS機能つき携帯を学校にもたせて行かせたい」といった保護者からの要望もそのひとつ。「安全確認のために子どもに携帯をもたせたい」という声は、最近多いですね。しかし、小学校では携帯は原則禁止。特別の事情がある場合に限って、登校時に職員室で携帯を預かり、下校時に返すといった対応をしています。
その点、COCOMOならだれでも学校にもってくることができ、“見守りサポーター”が増えればGPSと同等の機能を発揮することが可能です。そのためCOCOMOについて、登下校のほか、塾や習い事の行き帰り、子ども同士で遊んでいるときなど「大人の目が行き届かない状況での安全確認にも役立ちそう」という声も保護者の間から聞かれているようです。
―共同実験がスタートし、どんな手ごたえを感じていますか。
スクールガードなど、本校ではかねて地域の方やPTA、関係機関などと連携して子どもの見守りを行ってきました。そうした従来からの子どもの安全確保の取り組みを補完するICTツールが増えたと感じています。
子どもの安全を守るのは地域の人のつながり。COCOMOはアプリをダウンロードすればだれでも子どもの見守りコミュニティとつながりをもてます。これからも地道なアナログの取り組みを大切にしながら、子どもの安全にとってよいものは学校としても保護者への情報提供などを行っていきたいですね。