「一方的」な情報発信から、個々に応じた内容のものへ
―これまでの情報発信の取り組みを教えてください。
平成22年に「広報戦略室」を新設し、さまざまな媒体を使いわけて市民への情報発信を強化しました。市長が力を入れようと取り組んだものです。それ以来、広報紙やホームページ、メルマガ、新聞、雑誌のほか、Twitter、Google+、FacebookといったSNSも活用し、市政・イベント情報、防災情報、緊急情報などさまざまな情報を届けてきました。YouTubeによる動画配信もしています。
―今回、新たに個別の行政情報発信について実証実験を始めました。ねらいはなんでしょうか。
「一人ひとりの市民のニーズに応じた情報発信」のためです。これまでもSNSを活用した情報発信など全国に先駆けて取り組んできましたが、基本的にはわれわれ行政から市民への一方的なものでした。しかしながら近年、情報量が爆発的に増加し、情報を市民へ確実に届けるには個々に応じた情報提供が必要だと感じたのです。そのためには「多くの人が利用しているLINEを活用することで効果がより高まる」と判断しました。
―具体的内容を教えてください。
「防災」「ごみの日」「子育て」「お知らせ」から、市民が「ほしい」と選んだ情報だけをタイムリーに受け取ることができる仕組みにしました。市民が必要とする情報は、住んでいる地域や家族構成に応じてさまざまです。たとえば、子育て中のご家庭であれば、PM2.5予測情報や光化学オキシダントなどの防災情報、住んでいる地域に応じた各種ごみの収集日、子供の年齢や月齢に応じた子育て情報などが挙げられます。これまでは、それぞれの情報を個別のメルマガで発信していたので、市民は自分が必要とする情報に応じて、複数のメルマガに登録する必要がありました。今回のシステムでは、使い慣れたLINEというひとつのアプリケーションのなかで必要な情報を選択することができるため、利便性が大きく向上しました。
既存の配信システムを、そのまま使うことが可能
―システム構築の際、難しい作業はありませんでしたか。
既存のメルマガのデータを流用したため、当市で新たにデータ化する作業もなく、とても簡単でした。支援企業である電通アイソバーがカスタマイズで対応してくれました。メルマガの場合、ほかのメールに埋もれてしまう可能性がありますが、LINEメッセージは開封して読まれる確率が高いという特徴があります。また、今回のシステムにより、緊急情報はリアルタイムに、ごみ出し情報は自分で設定した時間にメッセージ配信されるため、情報の伝達率にくわえ、適時性も飛躍的に高まったと考えています。