操作性が大きく改善 聞きやすい議会中継が実現
―小林市では「議会改革」に積極的に取り組んでいると聞きます。
ええ。平成25年に「議会基本条例」を施行して以来、さまざまな取り組みを進めてきました。議会情報を広く発信して市政への関心を喚起し、市民の福祉を向上する。この精神のもと、広報・広聴機能の強化に力を入れてきました。
新庁舎の建設にともない、建て替えた新議場にも、基本条例の精神が反映されています。議員同士の顔がよく見える円形構造としたのは、議論を活性化させるのがねらいです。また、従来は大きな段差で区切られていた傍聴席とも一体感をもたせた構造としています。
―実際に運用が始まりましたが、新しい議場の印象はどうですか。
議員同士はお互いの顔がよく見えるので、議論にも緊張感が増した印象がありますね。また、傍聴した市民からも、「議員との距離が近く、議会の臨場感が伝わってきた」との声が寄せられています。最先端の建築技術を駆使し、地元産木材を使った全国的にもめずらしい全木造3階建ての構造も好評で、木材がもつ柔らかみと外光を取り入れた開放感のある設計とも相まって、「開かれた議会」を演出してくれています。
―「開かれた議会」に向けて、議会中継も充実させたそうですね。
新議場の運用に合わせ、各種設備も刷新したことで、従来の議会中継は一般質問のみでしたが、開会から閉会まで庁内モニターやインターネットで完全公開できるようになりました。
とくに、音響システムには、「赤外線会議システム」を採用したことで、カメラやテロップとの連動も容易となりました。操作性が大きく改善されたことにより、観やすく、聞きやすい議会中継の実現にも大きな効果を発揮しています。また、機器を操作する事務局側の負担軽減にもつながっています。
市民に広く開放し市政参画を促すツールに
―どういった経緯で「赤外線会議システム」を導入したのですか。
当初は新議場の建設を控え、「仮議場からの移設が容易なもの」という前提で採用しました。赤外線通信のため配線が不要で、設置場所を選ばず、レイアウト変更も自由にできます。使用する議員や事務局の使い勝手もよかったので、新議場でも採用しました。旧議場で使用していた設備は新議場に隣接した議員控室に移設し、全員協議会などで活用しています。
―今後の議会運用ビジョンを聞かせてください。
議会中継が充実したことで、議員の意識も高まり、議論がさらに緊張感を増してきた印象があります。議員控室のシステムは今後、市民を交えた審議会などにも広く開放していく予定です。一人ひとりの発言を確実に記録できるので、その後の情報公開が促進され、市民の市政参画にもつながるのではないでしょうか。赤外線会議システムを活用し、今後も「開かれた議会」をより一層進めていきます。