ワーケーションこそ日本人に最適な働き方
―ワーケーションを東京の企業に推奨している理由はなんですか。
政府が掲げた「働き方改革」につながるとも考えたからです。実は、厚労省が発表した労働者の意識調査によると、7割の方が「周りに迷惑をかけたくない」、「仕事をためたくない」といった理由から「有給休暇を取れない、取りたくない」と答えています。そこで、テレワークを活用し、仕事をしながら休暇などを取ることができる米国発の概念「ワーケーション」が有効だと考えました。
もちろん、ワーケーションをするかどうかはあくまで個人の自由なので、長期休暇が問題なく取れるならば、堂々とお休みになればいいと思います。ただ、現実的にそれが難しい場合でも、テレワークを挟めば、みなさんが抱えている悩みも解消できて、のびのびと休暇を過ごすことができます。
和歌山県はワーケーションのために最適な環境が整っているので、東京の企業の方々に来ていただき、思う存分、リフレッシュし、生産性も高めていただきたいと考えています。
個人的な取り組みですが、私もワーケーションの実証実験もかねて、一週間の休暇を取って、台湾、マカオ、香港に旅行にいきました。
―自らワーケーションを実践したのですね。結果はどうでしたか。
問題ありませんでした。旅先でも合間に携帯電話をチェックしながら仕事をしていました。じつは、和歌山県は、希望する職員に対して「moconavi」というアプリを提供しています。
インターネット接続環境があれば、これ1台で、メールの送受信からスケジュール管理はもちろん、通話も公私分計で利用できます。グループウェアにも対応しているので、仕事が滞ることはありませんでした。なにより端末に情報が残らないので情報漏えいなどを心配することなく、安心して仕事ができました。
地の利を活かして企業誘致に注力
―和歌山県は県外の企業誘致にも力を入れていると聞きました。
以前から和歌山県は県外企業誘致を担当する企業立地課により積極的な企業誘致活動を行ってきたところ、平成27年の「ふるさとテレワーク事業」を活用し、複数のIT企業を白浜町に誘致することができました。白浜町はネット環境が整っていること、空路、陸路の交通整備がされていること、また観光スポットも多くあることから企業誘致にあたって環境が整っていることなどを評価していただきました。その甲斐もあってでしょうか。白浜町のよさを理解していただき、いまでは白浜町のITビジネスオフィスには10社が入居しており、満室状態。現在、2号館を建設して平成30年度より運営を開始する予定です。
―白浜町への企業誘致を実現させた要因として同町の環境以外にどういったことが考えられますか。
何度も都内に足を運ぶことができたことも要因のひとつと考えています。これを可能にしたのもアプリを活用したモバイルワークを導入していたおかげでした。積極的に東京を訪問することで、都内企業の方たちとの交流を生み、それが結果に結びついたのだと思います。今後は、ワーケーションなどの新しい働き方を研究して、県庁の業務にも活かしていく道を模索していきたいと考えています。