―平成29年度のふるさと納税寄附額が全国トップクラスだったと聞きます。
そのようですね。市が算定した速報値では、対前年度と比較して3.7倍の伸びを記録しました。ふるさと納税額全体の伸びは1.3倍程度と聞いていますので、それと比較しても当市の伸び率はかなり大きかったと実感しています。
―どのような取り組みをしてきたのですか。
ふたつのことに力を入れてきました。ひとつは、登録するポータルサイトの数を増やし、納税者を集める窓口を広げたこと。もうひとつは、返礼品のラインアップを充実させたことです。当市には多くの産業が育っており、生産量日本一を争う泉州タオルのほか、水ナスや泉州たまねぎといった全国的にも有名な農産物があります。そうした地場産品を中心に週にひとつ、返礼品のラインアップにくわえる地道な取り組みを1年半以上にわたって続けてきました。その結果、返礼品のラインアップは現在、1000品程度に広がっています。
―ポータルサイトの取り組みも聞かせてください。
これまで登録サイト数を増やしてきた結果、現在は9つのサイトを利用して寄附を募っています。そのなかのひとつで、平成28年12月から運用を開始したふるさと納税の集客サービスは、寄附額の増加に貢献してくれました。平成29年度の同サイト経由の寄附額実績は、対前年度比で24倍に増えました。
伸び率以外にも、貢献を感じていることがあります。当市では、ふるさと納税の特設サイトを設けており、寄附額に応じてポイントを付与しています。ポイントは返礼品に交換したり、積み立てて交換する時期を自由に選ぶこともできる仕組みも取り入れています。この特設サイトとの連携を提案し、Webマーケティング技術を駆使して誘客に貢献してくれたのが、この集客サービスでした。
ふるさと納税の寄附を起業家支援策にも活用
―そのほかに実感している効果はありますか。
新しい利用者層の開拓です。各自治体がふるさと納税に力を入れるなか、市場自体の広がりは課題だとかねてより感じていました。これに対し、導入した集客サービスでは、新しい寄附層を開拓しています。とくに、企業に勤務する従業員へのアプローチには大いに期待しています。この集客サービスのなかには、企業のオフィスで利用する専用サービスが含まれています。これは提携した各社の総務部門が、企業単位でふるさと納税の利用を自社の従業員に呼びかけてくれる仕組みです。
企業従業員の開拓には、もうひとつ期待している効果があります。この4月から当市では、総務省の方針に沿うカタチでふるさと納税のさらなる活用をめざし、起業家支援を実施しています。市の課題解決に資する起業提案を5部門で募集。その起業家支援を目的にふるさと納税の寄附を募る、という新しいクラウドファンディングの取り組みです。企業従業員への訴求力をウリにしたこの集客サービスであれば、このプロジェクトに賛同してくれる企業や企業従業員から寄附を募るだけではなく、新たな事業提携のようなコラボレーションも生まれるのではないかと期待しています。