―いち早く人事評価システムを導入した経緯を教えてください。
江口:平成25年度から国の例を参考に、職員の職務遂行能力や業務意欲などを評価する勤務評定制度を実施してきました。当初は、紙の評価調書に手書きで記入した評定結果を電卓で集計していました。平成27年度からは、そこに目標管理型の「業績評価」を追加。その時点からエクセルを活用し、被評価者から評価者へ、さらに上位の評価者へとメールで送信する流れで運用してきました。
中上:エクセルによる運用では、入力の手間がかかるうえ、正規・非常勤約580人の全職員データを集計するには多大な時間と労力を要します。そのため、分析後に評価結果を効果的に活用し、給与や任用、人事管理の基礎とするには困難な状況でした。さらに、エクセルで実施したとしても最終的には各人の評価調書を印刷して保存していたので、機密性も十分とは言えなかった。そうした理由から、システム化の検討に入り、民間企業のソリューション導入を決めました。
―導入の決め手はなんでしたか。
江口:いちばんの理由は、市で運用していた情報系システム、人事給与システムとスムーズに連携できる構成だったこと。これにより、二重の入力作業を回避でき、費用軽減も図れると期待しました。
中上:また、このソリューションには、評価結果をデータ化し、評価者ごとの評価結果のバラツキや甘辛などを相対的に分析できる機能があります。これにより、職員が求める公平公正な評価を実現し、人材育成のツールとして活用できるとの期待もありましたね。
想いを伝えようとする職員も
―導入効果はいかがでしょう。
中上:被評価者の目標設定から評価者の目標承認までの入力期間を例年6月15日頃から約3週間としていましたが、結局全職員の入力完了は7月末くらいでした。これが、システム導入により約2週間で完了できました。また、各職員の進捗状況を把握できるので、未提出者への催促ができ、評価者はもちろん人事担当者の作業効率も上がり、負担が軽減できました。
江口:このシステムにはコメント記入欄もあるため、これを利用して評価者に少しでも自分の想いを伝えようとする職員も増えています。その結果、人事評価制度に対する職員の納得感や信頼感が高まったと感じています。長期的には評価データを蓄積することで職員一人ひとりの適性をつかみ、適材適所のきめ細かな育成・配置・任用を実現したいですね。
―今後どのようなまちづくりをめざしますか。
江口:人事評価システムを活用し、職員のモチベーション、ひいては住民サービスの向上につなげたいです。自然に囲まれた壱岐市には、日本の渚百選に選ばれた美しい海などを目当てに、全国から多くの観光客が訪れます。そうした方々へのサービス向上にもつなげたいですね。
中上:新鮮なウニ・マグロなどの海の幸、壱岐牛など豊富な食材に恵まれた「実りの島」をPRし、交流人口の拡大をめざすとともに、漁業・農業など地場産業の活性化にも取り組んでいきます。