―ふるさと納税の取り組み状況を教えてください。
平成29年度の当市における寄附件数は約14万2000件、寄附額は約32億円でした。国がふるさと納税の利用促進を目的に行った制度改正で、寄附件数が大幅に増えた平成27年度とくらべても4.5倍以上の伸びです。非常にうれしい状況ではありますが、寄附件数の増加で、返礼品の出荷管理の負担が増すことになります。
―どのような負担でしょう。
まずは、返礼品を提供してくれている協力事業者への連絡です。当市は以前まで、返礼品の出荷依頼を協力事業者に1件1件メールやFAXなどで行っていました。ふるさと納税の申し込みが集中する時期は、証明書発行作業や問い合わせへの対応で1日の業務が終わってしまうことも。そのため、時間のかかる出荷依頼の作業は、大きな負担となっていました。
そして、協力事業者からは、出荷伝票への発送先記入や配送事業者の手配など、「出荷対応に手間を取られる」という声があがっていました。
―そのような負担を減らすために、どういった対策を打ちましたか。
協力事業者への出荷依頼をまとめて行うことができ、出荷状況や、配送事業者の手配にかかる情報などを、一元的に管理できるシステムの導入を考えました。
そのうえで、配送コストを抑えることを考えて、配送業務までをワンストップで行ってくれる事業者を候補にあげました。そのなかから、協力事業者や寄附者へのアンケート結果で、ある民間企業の配送サービスのレベルを高く評価する声が多くあがったため、一括してお願いすることにしたのです。
返礼品の協力事業者にかかる配送準備の手間も軽減
―具体的にどのような業務を行ってくれるのでしょう。
返礼品の発送先、協力事業者、品目などの出荷依頼データを一括してシステムに入力すれば、各協力事業者の対応や配送業務まですべて行ってくれます。私たちとしては、果物などの配送期間が限定される返礼品や、指定日のある荷物を管理する手間が省けます。そして、出荷状況は配送事業者の管理システムで共有できる。かりに出荷日を変更したい場合は、庁内からシステムへダイレクトに入力もできるのです。
さらに、出荷伝票は配送先が記入されたカタチで協力事業者に届けられ、出荷準備が整えばドライバーが受け取りに行きます。そのため、協力事業者からは、「出荷にかかる手間が省ける」と好評です。
―システム導入後の効果をどう感じていますか。
このシステムがなければ、いまの14万件以上の出荷管理は到底できなかったと思います。さらに、出荷管理がいまよりも少なかった時期とくらべても、業務は格段に効率化されました。そのぶん、ほかの自治体と連携したキャンペーン企画の立案など、ふるさと納税の利用を促進する業務に時間を使うことができています。このシステムを活用し、寄附者へ迅速に返礼品を届けるとともに、地域活性化の効果が十分に期待できるふるさと納税の取り組みを、もっと盛り上げていきたいです。