※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
神奈川県が、リース契約満了にともない返却したハードディスク(以下、HDD)のデータ消去作業を請け負った会社の社員により、令和元年11月、作業前のHDDが盗まれたことが判明した。そこで同県は、情報機器からの情報流出防止策を独自に打ち出した。担当者に、具体的な対策の詳細を聞いた。
神奈川県データ
人口:922万2,162人(令和2年6月1日現在)世帯数:420万9,011世帯(令和2年6月1日現在)予算規模:4兆1,944億5,500万円(令和2年度当初)面積:2,416.32km²概要:日本列島のほぼ中央、関東平野の南西部に位置し、北は首都東京都に接しており、東は東京湾に、南は相模湾にそれぞれ面し、西は山梨県、静岡県の両県に隣接している。全国のおもな湖のなかで7番目に高い位置にある芦ノ湖をはじめ、相模湖、津久井湖、丹沢湖、宮ヶ瀬湖など水資源利用のための人造湖があるのが特色。426kmの海岸線は変化に富み、東京湾側京浜地帯は高度に発達した港湾となっている。
技術プラス教育研修で、情報を徹底的に守る
―情報機器からの情報流出防止策の詳細を教えてください。
まず、3つの基本方針を定めました。まず1つ目が、個人情報や重要情報を含む記憶装置については、物理的破壊、または磁気的破壊により情報を消去すること。2つ目が、公開情報を含む記憶装置については、物理的破壊、磁気的破壊、もしくはデータ消去ソフトによる消去措置を行う。そして3つ目が、最初の2つで定めた消去方法を県の管理下で行う。なおかつ、消去措置の作業完了まで職員が必ず立ち合い、確認することで絶対に情報漏えいを起こさない、という方針です。
―3つの方針を受けて、どのような対策を行っているのでしょう。
これも、3つの対策を行っています(下図参照)。特に、個人情報や重要情報を含む記憶装置については、データ消去ソフト、磁気破壊装置、物理破壊装置の3段階措置を実施することで、完全なデータの消去を行います。そして、すべての対策において、2人以上の職員が目視および写真撮影を行うことで、データ消去の確認を担保しています。
―具体的な方法を教えてください。
データ消去ソフト、磁気破壊装置については、アドバンスデザイン社が提供している製品を導入しました。また、物理破壊装置についても導入を検討しています。豊富な導入実績があるのにくわえ、特に磁気破壊装置については、NSA(※)の認証を受けていることがポイントになりました。日本国内ではそうした認証制度がないなか、米国の公的機関から認証を得ており、完全なデータ消去の実施には不可欠な装置です。
なお、磁気破壊装置についてはリース契約を行いました。
※NSA:National Security Agencyの略。米国家安全保障局のこと
―なぜリース契約にしたのですか。
ICT技術は日進月歩なので、それに応じて臨機応変に対応するにはリース契約が最適だと判断したためです。今後は職員へのセキュリティ研修を行い、セキュリティ意識を向上させることで管理を徹底し、二度と県の情報が外部に出ないよう、時代に即した情報管理を実践していきたいと考えています。