

福岡県春日市の取り組み
人事評価システムの導入
システム化による公平な人事評価が、職員の能力開発の基盤になる
総務部 人事法制課 課長 横山 政彦
総務部 人事法制課 人事担当 主任 渡邊 潤
※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
地方公務員法の改正以降、人事評価制度の導入が義務づけられた自治体では、業績・能力評価を給与や任用の基礎とする制度運用が行われている。しかし、膨大な機密情報を管理し、集中的な業務処理を迫られる人事担当者の負担は大きい。そうしたなか、システムの導入で業務の効率化を図る自治体が増えている。そのひとつである春日市(福岡県)の担当者に、システム導入のメリットなどを聞いた。


会計年度任用職員の登場で、人事情報の管理負担が増大
―春日市における人事評価制度の運用状況を教えてください。
渡邊 当市では、平成21年度と早くから人事管理に評価制度を導入してきました。正職員にくわえ、嘱託職員も評価対象にしていたため、対象者は約800人にのぼります。その膨大な評価結果は、表計算ソフト上で集計し、部署横断の調整会議に諮ったうえで最終確定されていきます。この一連の事務処理作業は、複数の人事担当者が1週間かかりきりになるほど負担の大きなものでした。
横山 これらの人事データは、おもに紙ベースで管理・運用してきたため、異動が起こるたびに情報管理が煩雑になる点も課題でした。また、評価結果は職員の育成にも活かされていますが、紙ベースであるため過去の情報を振り返るのもひと苦労で、評価や育成に長期間の継続性を担保するのも難しくなります。しかも、今年から会計年度任用職員制度の運用が開始されたことで、任用の根拠としてこれまで以上に継続性が重視されるようになり、情報管理の負担が一気に増すことに。従来の紙ベースの管理・運用に、いよいよ限界を感じるようになりました。
―どのように対応したのですか。
横山 作業負担の軽減と情報管理・運用の効率化を目的に、システム化を検討しました。システムの選定にあたっては、多くの管理職が使用するものだけに、まずは使いやすさを重視。そのうえで、自治体の業務特性にあわせ、計数的な評価だけではなく、定性的な評価を盛り込める仕組みも重視し、昨年10月に人材育成支援システム『ざいなる』を導入しました。
自治体での人事評価では、職員の「納得感」こそ重要
―導入の効果はいかがですか。
渡邊 評価者、被評価者いずれも情報入力や資料作成といった評価にまつわる業務負担が減ったと聞いています。特に、人事担当職員の負担軽減効果は大きく、システムの自動集計機能により、数日かけていた評価結果の集計作業がまったく不要に。特別な研修はいっさい行っていませんが、視覚的に見やすいため、どの職員も直感的に使いこなすことができています。
横山 評価者にとっては、過去のデータへのアクセスが容易になったことで、評価結果を効果的に育成につなげられる体制が整ったと感じます。『ざいなる』には、評価結果をデータ化し、評価者ごとの評価結果のバラツキや甘辛などを相対的に分析できる機能もあるので、一定の公正性を担保することもできます。さらに、評価結果にくわえて評価者がコメントを書き込むこともでき、これが被評価者の納得感を高める重要な役割を果たしています。業務が多岐にわたり、成果に対する画一的な評価が難しい自治体では、職員の「納得感」こそ重要。今後はこのシステムを活用し、納得感をベースにした評価を職員一人ひとりの能力開発、人材育成につなげ、住民サービスの向上を実現していきたいですね。

支援企業の視点
評価の負担をシステム化で軽減し、職員のキャリアアップに貢献
※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―自治体での人事評価制度の運用状況をどう見ていますか。
評価制度の整備は進んでいますが、一方で表計算ソフトでの管理や紙ベースでの運用がまだまだ残っています。そのため、評価のたびに煩雑な業務に追われ、得られた評価結果を育成などに活用できていない自治体が多いです。まずは評価業務をシステム化し、業務負担を軽減することをおススメします。
―導入に際しては、どのようなシステムを選ぶべきですか。
評価だけではなく、育成に重きを置いたシステムが必要です。そのうえで、自治体によって育成したい能力や目指す人材像は異なりますので、その違いにも対応できるものが望ましいでしょう。たとえば、当社の人材育成支援システム『ざいなる』は、設定パラメータを調整することで、組織独自の評価基準を設定することができます。そのうえで個々のスキルやキャリアを可視化し、今後伸ばすべき能力やキャリア、受けるべき研修を設定することで、キャリア形成につなげる仕組みがあります。
―今後の自治体支援方針を聞かせてください。
約30の自治体に導入が進む当社のシステムでは、さらなる使い勝手の改善を追求しており、このほど『LGWAN-ASPサービス』の展開を開始し、これまで以上に利用しやすい環境を提供できるようになりました。今後も組織改善に役立てる機能を研究し、お客さまとともに成長していけるよう、さらなる機能強化にも力を入れていきます。システム化により人事評価や人材育成の改善を図りたいみなさんは、ぜひお問い合わせください。
設立 | 平成23年7月 |
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資本金 | 5,000万円 |
従業員数 | 66人(令和2年7月現在) |
事業内容 | 自治体向け内部情報システムに関するサービス(人事給与、庶務事務、財務会計、文書管理など)、ネットワーク・インフラストラクチャに関するサービス、セキュリティ関連システムに関するサービス、クラウド・ASPサービスなど |
URL | https://www.gyoseiq.co.jp/ict/ |
お問い合わせ電話番号 | 092-263-7880(平日8:30〜17:30) |
お問い合わせメールアドレス | ictweb@gyoseiq.co.jp ![]() |
