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高知県四万十市の取り組み
先進事例2024.10.23
人事評価システムの導入①

人事評価システムの「全職員」適用で、全庁規模での育成環境の充実を図る

[提供] ICTコンストラクション株式会社
人事評価システムの「全職員」適用で、全庁規模での育成環境の充実を図る
この記事の配信元
ICTコンストラクション株式会社
ICTコンストラクション株式会社

※下記は自治体通信 Vol.61(2024年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

多くの自治体で行政課題が山積し、一人ひとりの職員の育成、能力開発が重要となるなか、システム導入によって人事評価を効率化し、人材育成の環境整備を図るケースが増えている。四万十市(高知県)もそうした自治体の1つである。同市では、会計年度任用職員も含めた「全職員」にシステムを適用し、全庁規模での評価管理や人材育成に力を入れている。同市担当者2人に、取り組みの経緯やシステム導入の効果などを聞いた。

[四万十市] ■人口:3万1,557人(令和6年8月末現在) ■世帯数:1万6,474世帯(令和6年8月末現在) ■予算規模:382億7,474万円(令和6年度当初) ■面積:632.39km² ■概要:旧中村市と旧西土佐村が平成17年4月に合併して誕生。旧中村市は、今から約550年前、前関白一条教房公が応仁の乱を避けてこの地に下向し、京都を模したまちづくりを始めたことから、「土佐の小京都」と呼ばれている。高知県西南部に位置し、豊富な山林資源と日本最後の清流四万十川、南東部は太平洋に面しており自然環境に恵まれている。
インタビュー
梶谷 卓志
四万十市
総務課 課長補佐(人事担当)
梶谷 卓志かじたに たくし
インタビュー
有田 朱伽
四万十市
総務課 人事係
有田 朱伽ありた あやか

集計作業に要する膨大な時間。目標管理も統一運用ができず

―四万十市が人事評価システムを導入した経緯を教えてください。

有田 当市では、平成28年度より業績評価と能力評価から成る人事評価制度を運用してきました。そこでは、評価結果をその後の能力開発につなげる「育成」の観点を大事にしていたのですが、思うように運用できていませんでした。表計算ソフトで運用していたため、人事担当者は約600人におよぶ正規職員の評価結果を集計するのに膨大な時間と手間を要し、評価結果の適切なフィードバックまでは十分には手が回らなかったのが実情だったのです。

梶谷 人事評価でもっとも重要な要素の1つである「目標設定」に関しても、各職員の目線が合っておらず、部署ごとに難易度が異なるといった課題もありました。統一的な運用ができるよう、人事評価システムの導入を検討しました。

―システム化の検討はどのように進めたのですか。

梶谷 従来の当市の評価制度を変更することなく、そのまま運用できるシステムであること。加えて、職場環境の異なるすべての正規職員が扱うシステムとなることから、わかりやすさはもちろん、LGWANネットワーク内で使用できることなどを条件にシステムを選定しました。複数のシステムを比較検討した結果、それぞれの点で高く評価された人材育成支援システム『ざいなる』の導入を決め、令和2年4月より運用を開始しています。

会計年度任用職員へも適用。庁内全体の人材育成が可能に

―導入効果はいかがですか。

有田 評価結果の集計にまつわる人事担当者の負担は、少なくとも半分以下に軽減された印象です。課題であった目標設定に関しても、システム上で部署間での目線合わせが可能になり、評価者による評価結果の甘辛についても分析・調整できるようになりました。さらに、評価者も被評価者もシステム上で過去にさかのぼってデータを確認できるため、評価の客観性や妥当性を担保でき、納得感がより高まっているのではないかと思います。

梶谷 それだけではなく、令和6年度より勤勉手当の支給が可能になった会計年度任用職員への評価にも活用できたのは大きな成果です。

―詳しく教えてください。

梶谷 当市には約400人の会計年度任用職員が勤務していますが、勤勉手当支給の根拠となる評価をいかに行うかは大きな課題でした。正規職員とは評価の項目や進め方が異なりますが、開発元に相談したところ、『ざいなる』の標準機能を使って運用できることを知りました。所属長と目線を合わせた目標設定・管理が可能になり、客観的で公平な評価を、勤勉手当や次年度雇用の判断材料にできます。これにより、会計年度任用職員も含めた「全職員」にシステムを適用できたことで、庁内全体の人材育成に注力できる体制が整いました。

支援企業の視点
会計年度任用職員の評価問題も、システムによる一括適用で解決を
インタビュー
進藤 香奈子
四国行政システム株式会社
ビジネス推進部 販売推進課
進藤 香奈子しんどう かなこ
香川県生まれ。四国行政システム株式会社にて、令和5年1月よりビジネス推進部販売推進課に配属され、四国エリア自治体への営業活動に従事。

―人事評価をめぐる自治体の課題はなんでしょう。

 今も多くの自治体が表計算ソフトでの運用を続けており、評価結果の集計や分析に多くの時間と労力を割いていることです。繁忙を極めるあまり運用変更に対する不安が働き、システム化に踏み切れないケースも多く見ます。そこで当社では、人材育成支援システム『ざいなる』を提案するなかで、システム化に伴う不安を取り除き、現場の実情に合った運用を可能とするシステムの特徴を紹介しています。

―具体的に教えてください。

 『ざいなる』では、パラメータ設定の柔軟性が高く、各自治体が運用してきた従来の評価シートをほぼそのままシステム上に再現できるので、導入に伴う運用変更を最小限に抑えることができます。このシステムの柔軟性を活かし、今回四万十市がいち早く行ったように、会計年度任用職員など従来の正規職員以外の評価に適用するといった使い方もできます。会計年度任用職員の評価は多くの自治体の共通課題ですが、そうしたニーズを汲み取り、このほど会計年度任用職員向けの「簡易評価機能」も新たに開発しました。こうした定期的な機能追加も『ざいなる』の特徴です。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 当社では、法改正や顧客ニーズへの対応から、年2回のバージョンアップを行っています。その際にも、追加される新たな機能は標準装備とし、オプション料金なく、どの自治体にも利用いただけるよう努めています。ぜひお問い合わせください。

四国行政システム株式会社

設立/平成10年6月 資本金/5,000万円 事業内容/地方自治体向けソフトウェアの販売、ソフトウェア開発、システム導入支援サービス、システム保守サービス、アウトソーシングサービス、コンピュータ関連機器の販売 URL/https://www.gyoseiq.co.jp/group/company/sgs/ 問い合わせ先/087-813-9700(平日 8:30〜17:30) sgs_eigyo@gyoseiq.co.jp

福岡県うきは市の取り組み
人事評価システムの導入②
システム化による運用改善によって、人事評価の「本来の役割」を取り戻す

ここまで登場した四万十市同様、人事評価のシステム化を通じて、人事担当者の業務負担軽減だけでなく、評価者、被評価者の制度理解の醸成や、人材育成環境の整備につなげているのが、うきは市(福岡県)である。同市では、人事評価制度の運用改善によって、「人材育成につなげる」という評価制度本来の役割を実現させようとしているという。ここでは同市担当者に、取り組みの詳細とともに、システム導入の効果などを聞いた。

[うきは市] ■人口:2万7,475人(令和6年8月末現在) ■世帯数:1万1,529世帯(令和6年8月末現在) ■予算規模:208億6,480万円(令和6年度当初) ■面積:117.46km² ■概要:平成17年3月に旧浮羽町と旧吉井町が合併し、福岡県内26番目の市として誕生。福岡県の南東部に位置し、北は朝倉市、西は久留米市、南は八女市と大分県日田市、東は大分県日田市と接する。筑後川の南に広がる平坦部、平坦部と山間部との間にある山麓部、耳納連山に属する山間部に区分される。平坦部は肥沃な水田地帯が広がり、山麓部には果樹地帯が形成され、山間部は棚田などを含む森林となっている。
インタビュー
河原 祐介
うきは市
総務課 人事秘書係 係長
河原 祐介かわはら ゆうすけ

深刻な業務負担から、人事評価の運用改善が課題に

―どのような経緯で人事評価をシステム化したのでしょう。

 当市では、平成17年の合併の際に策定した「人材育成基本方針」に基づき、人事考課を行ってきました。中間評価、期末評価と年度内に2回の評価を実施し、勤勉手当や昇任を判断する際の基礎資料として運用してきました。職員のモチベーション向上のため、今後は昇給や昇格への反映も検討していますが、そのためにはクリアすべき課題がありました。それは従来、表計算ソフトを使っていた人事評価の運用改善でした。

―詳しく教えてください。

 当市の正規職員約250人分の評価結果の整理、集計、管理を1人の人事担当者が行っていたため、評価をまとめる年度末の業務負担は深刻でした。また、評価における経年変化の把握が難しく、所属長間の評価基準にバラつきがあるといった課題も感じていました。そこで、システム化によって運用改善を図ろうと考えたのです。

―システム化は、どのように進めたのですか。

 全職員が使うシステムであるため、使いやすさやLGWAN環境で使える作業性を重視して複数のシステムを比較検討した結果、人材育成支援システム『ざいなる』を選定しました。『ざいなる』は、直感的に扱え、パラメータ設定によるレイアウト調整機能によって従来の評価シートを踏襲するかたちで運用できます。面談記録機能は、事実に基づく公平公正な評価を担保するうえで有効であり、評価の甘辛判定機能や進捗管理機能も業務改善に資すると判断しました。令和3年4月より運用しています。

年間100時間程度の勤務時間の削減に寄与

―導入効果はいかがでしたか。

 人事担当者の立場からは、集計作業の自動化によって担当職員の負担が大きく軽減され、人為的ミスもなくなりました。時間外業務が常態化していた当時から比較すると、年間100時間程度の勤務時間の削減に寄与しています。一方、評価者である管理職層においては、目標設定や指導内容など一連の評価プロセスの可視化によって、人材育成に対する意識醸成が図られているようです。さらに、被評価者である現場職員においては、開発元による充実した研修・サポートによって人事評価に対する深い理解が促され、制度自体の運用改善にもつながっているようです。評価の経年変化も見られるようになったので、「その先の人材育成につなげる」という人事評価本来の役割も果たせるようになると期待しています。

―今後の方針を聞かせてください。

 『ざいなる』の導入によって、納得感の高い公平な評価が可能になったことから、今後はこの評価結果を昇給や昇格などにも反映させていきたいと考えています。また、個々の能力や課題が「見える化」されたので、それを参考に職員のキャリアアップにつなげられるような研修制度を充実させていきます。

支援企業の視点
システムで公平性・納得感を担保し、人事評価の「品質」を高めよ
インタビュー
鶴見 佳子
ICTコンストラクション株式会社
内部情報ソリューション部 HRソリューション課
鶴見 佳子つるみ よしこ
高知県生まれ。新卒で大手精密機器メーカーに入社、オフィス機器関連システムの開発や販売に携わる。その後、平成28年にICTコンストラクション株式会社へ転職。現在まで人材育成支援システムの開発に従事。

―人事評価をめぐる自治体の課題をどう見ていますか。

 「評価の品質」に課題感を持つ自治体が多いようです。評価における公平性や納得感をいかに担保するか。それが、職員のモチベーション向上やその後の人材育成の基礎になると考えているからです。全国で多くの自治体で導入される当社の人材育成支援システム『ざいなる』は、そうした課題を持つ自治体で評価されています。

―システムには、どのような特徴がありますか。

 一番の特徴は、評価設定のパラメータが豊富である点です。この設定を変えるだけで、システムのカスタマイズを必要とすることなく、かなりの機能拡張に対応できます。また『ざいなる』では、ページの階層設計など使い心地のよい画面デザインへの改善により、視認性や操作性を追求しており、利用者画面はもちろん、管理者画面のわかりやすさには特に定評があります。年に2回行われるバージョンアップでは、折々の法改正や顧客ニーズを取り込み、新たな開発機能を実装することで、使い勝手の良いシステムへの改善を日々追求しています。最近開発された会計年度任用職員向けの「簡易評価機能」は、その代表的な例です。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 今後は、分析機能のさらなる強化を検討しており、評価者の評価スキルや職員のエンゲージメントの向上を通じて、『ざいなる』を組織風土の改善にも寄与するシステムへと進化させていきたいと考えています。ぜひお問い合わせください。

ICTコンストラクション株式会社
ICTコンストラクション株式会社
設立

平成23年7月

資本金

5,000万円

事業内容

自治体向け内部情報システムに関するサービス(人事給与、庶務事務、財務会計、文書管理など)および人事評価システムなど、ネットワーク・インフラストラクチャに関するサービス、セキュリティ関連システムに関するサービス、クラウド・LGWAN-ASPサービスなど

URL

https://www.gyoseiq.co.jp/ict/

お問い合わせ先
092-263-7880(平日 8:30~17:30)
ictweb@gyoseiq.co.jp

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