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先進事例2021.06.03
住民の生活習慣病対策①

医学的知見と専用機器で高い効果、糖尿病予防の最新事情

[提供] 日本生命保険相互会社
医学的知見と専用機器で高い効果、糖尿病予防の最新事情
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日本生命保険相互会社
日本生命保険相互会社

福井県越前市の取り組み

住民の生活習慣病対策①

医学的知見と専用機器で高い効果、糖尿病予防の最新事情

越前市
健康増進課 生活習慣病対策室 室長 土井 朋美
健康増進課 生活習慣病対策室 保健師 清水口 葵

[提供]日本生命保険相互会社

※下記は自治体通信 Vol.30(2021年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


糖尿病に代表される生活習慣病が近年、国民病ともいえる広がりを見せているなか、その対策は自治体にとって大きな課題だ。コロナ禍での自粛生活により、住民の日々の運動量が減少傾向にあるなかでは、特に対策の重要性は増しているといえよう。そうしたなか、越前市(福井県)では生活習慣病の予防を狙いとした取り組みを開始し、大きな成果を得たという。その詳細について、同市の担当者2人に話を聞いた。

[越前市] ■人口:8万2,395人(令和3年4月1日現在) ■世帯数:3万1,510世帯(令和3年4月1日現在) ■予算規模:606億644万8,000円(令和3年度当初)■面積:230.70km2 ■概要:福井県のほぼ中央に位置する。市の中央を北陸自動車道と国道8号が縦断し、関西・中京圏などの主要都市や福井市・敦賀市など周辺都市との交通の動脈となっている。また、両路線に交差するように国道417号や県道、主要地方道が横断している。

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越前市
健康増進課 生活習慣病対策室 室長
土井 朋美 どい ともみ

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越前市
健康増進課 生活習慣病対策室 保健師
清水口 葵 しみずぐち あおい

働く世代にはなかなか会えず、継続的な保健指導は難しい

―これまで住民の健康管理をめぐり、越前市ではどのような施策を行ってきましたか。
土井 当市では、たばこゼロ本、運動プラス10分といった5つの行動指針を掲げた「越前市健康21計画」に基づき、市民の健康づくりの実践を啓発してきました。また、当市では「糖尿病の医療費が高い」という傾向は把握していたため、リスクが高い市民のみなさんに対しては、医師会や関係機関とも連携しながら重症化予防に取り組んできました。

清水口 一方で課題も感じていました。特に働く世代のハイリスク対象者に直接お会いすることがなかなかできず、行動変容につながるまで保健指導を繰り返すことが難しいという事情があったのです。そんななか、イベントで日本生命の「糖尿病予防プログラム」を知り、トライアル導入を決めました。

―導入の決め手はなんでしたか。
清水口 ひとつは、スマホやパソコンを通じて、遠隔でも保健師による保健指導を受けられる仕組みです。また、専用のICT機器を使って、血糖値や体重といったご自身のバイタルデータを専用サイトで管理できる仕組みにも魅力を感じました。直接お会いする機会がつくれない忙しい方々でも、それぞれの生活やペースに合わせて、保健指導を継続して受けてもらえるのではないかと期待したのです。

土井 福井県庁をはじめ、多くの自治体で導入実績があることも大きかったです。当市では、HbA1c*1の値が5.6~6.4の国民健康保険加入者を対象とし、希望者30人に対して昨年10月からの3ヵ月間、プログラムを実施しました。

90%を超える継続率、血糖の改善率も60%

―効果はいかがでしたか。
土井 想像以上の改善効果がありました。90.3%の対象者が、3ヵ月間のプログラムを最後までやり遂げ、そのうちの60%にHbA1cの改善が、51.9%に体重の減少が見られました。特に、従来の保健指導では参加者がなかなか継続できないことが課題であっただけに、90%を超える継続率はもっとも高く評価しています。参加者の年齢は40~74歳と幅広かったのですが、日本生命のサポートによってICT機器も無理なく使いこなすことができました。

清水口 また参加者からは、「自分がなにを食べたときに血糖が上がるのか振り返ることができたのは良かった」という声も寄せられました。このプログラムでは、『FreeStyleリブレ』という測定機器を一定期間装着し、血糖の変化をリアルタイムで「見える化」できました。この体験や、そこから得られた知識は、「大変意義のあるもの」という声も聞かれ、アンケートに協力したすべての参加者が、「今後も自身で継続していきたい」と答えてくれたのは、大きな収穫だったと感じています。

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―今後の方針を聞かせてください。
土井 今回の成果を受け、当市では正式に予算を確保し、「糖尿病予防プログラム」の本格導入を決めました。当市では独自の分析を通じて、 「比較的若い世代でも高血糖がみられる」「健診受診者の4人に1人が肥満である」といった傾向も明らかになっています。そこで今年度からは、高血糖と肥満の両方に該当する方々に、このプログラムを実施していく計画です。

清水口 コロナ禍で大きな制約があるなかでも高い継続率を誇った背景には、日本生命病院の保健師がもつ専門的な知見も大きく作用したと感じています。特に、参加者のモチベーションを高く維持するノウハウは、当市でもぜひ学んでいきたいと考えています。


研究者の視点

住民の生活習慣病対策②

90%以上の継続率が示す、医学的に高い改善効果

日本生命病院 糖尿病・内分泌センター 医学博士 住谷 哲

越前市が導入し、その効果を実感した「糖尿病予防プログラム」。このプログラムの開発を医学的な知見をもって支援し、運営にも携わっているのが、日本生命病院だ。このプログラムにはどのような効果が期待できるのか。同病院糖尿病・内分泌センターの住谷氏に聞いた。

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日本生命病院
糖尿病・内分泌センター 医学博士
住谷 哲 すみたに さとる

リモート環境でも、本人に寄り添った保健指導を

―「糖尿病予防プログラム」の意義をどう評価していますか。
 ICT機器を駆使し、リモート環境でも保健師による保健指導が受けられ、生活習慣の改善に取り組める、というのがこのプログラムの最大の特徴です。コロナ禍での自粛生活にも対応できることは、このプログラムをこれまで以上に価値あるものにしていると言えます。外来診療に携わる立場から見れば、コロナ禍の影響は今後、確実に出てくるものと予想されます。ほとんどの人には、自粛生活による運動不足や食生活の乱れが悪影響をもたらす懸念があります。その意味では、「糖尿病予防プログラム」導入の重要性は、ますます高まっていると考えています。

―これまでの実績に対する分析結果を聞かせてください。
 これまで自治体でのトライアルを通じて、1,000人以上の対象者がプログラムに参加してきました。その結果を見ると、70%以上でHbA1cの改善が見られています。また、プログラムの継続率が約90%に達しています。継続率は、このような介入研究*2の成果を測定するうえで重要な要素となりますので、高く評価しています。この数字はコロナ禍でも特に下がってはいない点にも注目しています。

 
―こうした高い効果が得られている理由はなんですか。
 まずは、ICT機器を活用することで、リモート環境でも、保健師から本人に寄り添った保健指導を受けられる仕組みです。このプログラムでは、24時間の血糖変化をリアルタイムでモニタリングできる測定器のほか、体重や血圧の測定値もスマホで簡単に収集し、保健師に送信できるため、生活改善の心理的・物理的ハードルを大きく下げることができています。

 また、医学的な知見や経験豊かなノウハウをもつ当院の保健師による支援が大きく貢献していると考えています。技量を有した保健師による指導を、パソコンやスマホを介しながらもface to faceで受けられることが、高い継続率や改善効果につながっているのです。

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―住民の健康増進に注力する自治体にアドバイスをお願いします。
 日本生命の「糖尿病予防プログラム」は多くの自治体で効果をあげており、導入実績の拡大に伴い、その信頼性はますます高まっています。コロナ禍による環境変化が、糖尿病予備群の症状進行を後押しすることが懸念されている今、自治体のみなさんには導入をぜひ真剣に考えてもらいたいですね。

住谷 哲 (すみたに さとる) プロフィール
昭和35年、大阪府生まれ。昭和61年、大阪大学医学部卒業。平成6年、カナダ・トロント大学留学。医学博士。

支援企業の視点

デジタルとアナログの融合が、高い継続率と改善率をもたらす

日本生命保険相互会社
営業企画部 ヘルスケア開発担当部長 兼 イノベーション開発室調査役 兼 地域振興支援室調査役 「地域振興支援課長」 兼 法人開拓戦略室調査役 須永 康資
営業企画部 ヘルスケア開発室 ヘルスケア開発担当部長 金井 克行

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日本生命保険相互会社
営業企画部 ヘルスケア開発担当部長 兼 イノベーション開発室調査役 兼 地域振興支援室調査役 「地域振興支援課長」 兼 法人開拓戦略室調査役
須永 康資 すなが やすし

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日本生命保険相互会社
営業企画部 ヘルスケア開発室 ヘルスケア開発担当部長
金井 克行 かない かつゆき

―生活習慣病対策に力を入れる自治体は増えていますか。
金井 近年、とても増えています。ただし、「指導が難しい」「最後まで続かない」といった課題を抱えている自治体は多いです。そのため、当社の「糖尿病予防プログラム」では、改善率はもとより、継続率をいかに高めるかにこだわっています。ICT機器をはじめとするデジタル技術の成果を駆使しながら、保健師が画面越しで丁寧に指導するという、デジタルとアナログの融合は、まさに90%以上の継続率と70%以上の改善率を維持できる要因と言えます。

―導入実績はいかがでしょう。
須永 当社では昨年7月以降、有償プログラムとして自治体への提案を開始していますが、こうした仕組みが評価され、すでに20以上の自治体に正式導入を決めていただいています。

金井 コロナ禍の影響でICT機器への抵抗感が薄れ、遠隔対応ニーズが増えていることもくわわり、当社の「糖尿病予防プログラム」への評価が高まっているようです。自治体からの問い合わせはとても増えていますね。

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―今後の自治体に対する支援方針を聞かせてください。
須永 「糖尿病予防プログラム」の提案強化を主軸としながら、今後はそこで蓄積した知見を幅広く展開していきたいと考えています。たとえば、より簡易的なプランの開発や、スマホアプリの開発、AIによる保健指導といったカタチで、より広い層のニーズに応えていきます。住民の健康管理に力を入れたいと考えている自治体のみなさんは、ぜひお問い合わせください。

須永 康資 (すなが やすし) プロフィール
群馬県生まれ。平成16年、日本生命保険相互会社に入社。平成28年から現職。
金井 克行 (かない かつゆき) プロフィール
大阪府生まれ。平成2年、日本生命保険相互会社に入社。令和2年から現職。
日本生命保険相互会社
創立 明治22年7月
従業員数 7万4,557人(うち内勤職員1万9,425人、令和元年度末)
事業内容 生命保険業、付随業務・その他の業務
URL https://www.nissay.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0120-201-021(月~金 9:00~18:00、土 9:00~17:00 祝日・12/31~1/3を除く)
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*1:※HbA1c:糖尿病である可能性があるかどうかを判別する数値。過去1~2ヵ月の血糖値を反映する

*2:※介入研究:研究目的で、人の健康に影響を与える要因の有無や程度を制御する行為

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