熊本県玉名市の取り組み
人事評価システムの導入
納得感のある正当な人事評価が、「組織の活性化」をもたらす
玉名市
総務部 総務課 人事研修係 上田 裕樹
※下記は自治体通信 Vol.31(2021年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
地方公務員法の改正以降、各自治体では、業績・能力評価を給与や任用の基礎とする制度運用が行われている。これに伴い、短期間で膨大な人事情報を扱う担当者の負担軽減、さらには職員の納得感を高める評価制度の実現を目的に、人事評価システムの導入に踏み切る自治体が増えている。玉名市(熊本県)も、そのひとつだ。ここでは、同市担当者の上田氏に、システム導入のメリットなどを聞いた。
[玉名市] ■人口:6万5,201人(令和3年4月末現在) ■世帯数:2万8,256世帯(令和3年4月末現在) ■予算規模:546億3,802万2,000円(令和3年度当初) ■面積:152.6km2 ■概要:熊本県北西部に位置する。熊本都市圏と福岡都市圏の中間にあり、JR鹿児島本線や九州縦貫自動車道、有明フェリーなどを近隣に有する、交通の便に恵まれた地域。平成23年3月には九州新幹線が全線開業し、同市に新玉名駅が整備されている。市の北部、小岱山の麓には1300余年の歴史と泉質の優秀さを誇る玉名温泉、一方市の南部にある小天温泉は、夏目漱石の名作『草枕』の舞台としても知られる。
紙による煩雑なプロセス、人事部門の業務負担が課題に
―これまで玉名市では、どのように人事評価を行ってきましたか。
当市の場合、これまで人事評価は紙による運用が行われていました。能力評価については、全職員に手書きやパソコンで作成した資料を印刷して提出してもらい、それを総務課がエクセルに入力。その後、確定した最終評価内容を再び印刷し、各担当課に配付。フィードバックに活用してもらうという運用でした。
こうした状況だったので、業務プロセスが煩雑でした。人事担当者の業務負担は重く、1~2ヵ月は評価業務につきっきりという状況にありました。ほかにも、課題はありました。
―どのような課題でしょう。
人事部門が能力評価業務で手いっぱいの状況でしたので、本来、能力評価とともに行うべき業績評価が導入できていなかったのです。業績の評価を手当や給与に反映させることができない状況は、職員のモチベーションにも影響しますので、早期に導入しなければならないという問題意識はありました。
そこで、令和元年度からの運用を目指して人事評価のシステム化を決めたのです。
―システム選定では、どのような点を重視したのですか。
まずは、誰もが簡単に使いこなせる操作性の高さ。そして、これまで運用してきた既存の人事評価制度に適合できる柔軟性の高さも重視しました。さらに、これを機に業績評価を新たに導入するにあたり、我々が設計思想に共感でき、必要と考える機能が充実しているか。こうした基準によって複数のシステムを評価した結果、人材育成支援システム『ざいなる』の導入を決めました。
システムを使いこなすなかで、評価制度への理解も深まった
―導入効果はいかがですか。
令和元年度末の人事評価から運用を開始したのですが、まずは人事担当者の業務負担が大きく軽減されました。各課からの集計や管理といった人事担当者の業務は大幅に短縮され、まるで負担感がなくなっています。また、誰でも簡単に使いこなせるシステムとなっているため、人事担当者のみならず、利用する職員全員の業務負担も減っていると思います。
同時に、各職員がシステムを使いこなすなかで、人事評価制度への理解を深めることができたのは大きな効果でした。そのおかげで、システム化の翌年から新たに業績評価制度を試行した際にも、大きな混乱なく開始できましたから。
―まさに、システムの設計思想に共感が得られたと。
そう感じています。たとえば、『ざいなる』には、部署ごとのバラつきや甘辛を判定するなど、納得感のある正当な評価ができる機能のほか、面談記録のデータ化や、職員の意見や希望を拾うアンケート機能も充実しています。上司とともに目標を設定し、達成度を評価する業績評価の本格運用にあたっては、部署内のコミュニケーションを促す仕組みとしても活用できるため、今後は組織を活性化する効果にも期待しています。
支援企業の視点
人事評価のシステム化は、職員の能力育成のきっかけにもなる
ICTコンストラクション株式会社
内部情報ソリューション部 HRソリューション課 システム企画・開発リーダー 田上 公洋
―人事評価をめぐり、自治体にどのような課題がありますか。
多くの自治体が業績・能力評価を実施していますが、評価結果を必ずしも能力育成やモチベーションの向上などに十分活用できていない傾向や課題を感じられているようです。その背景には、紙やエクセルでの人事評価運用が主体となっているため、蓄積した評価結果を利用・分析し、その後の育成に活かすためのプロセスや環境が整っていない状況があると感じます。
―自治体は、どのように改善すればいいのでしょう。
人事評価をシステム化し、評価データの有効活用、分析を行うべきと考えます。「目標設定」の基準や目線がどのように浸透しているかを確認することから始め、その後、職員の能力開発・育成につなげることへ目標を設定します。当社が提供する『ざいなる』には、「目標設定」において部署や各所属の目標を照らし合わせ、適切な組織目標を設定できる仕組みを実装しています。そこに個人目標を整合させ、人事評価の本来の目的である職員の能力育成へとつなげていく機能が備わっています。
―今後、どのように自治体を支援していきますか。
『ざいなる』では、これからもより多くの自治体の声をシステムに反映させてお客さまとともに成長できるように、機能強化に力を入れた開発を行っていきます。つねに最新のシステムを、いつでも利用してもらえる体制を提供していきますので、関心のある自治体のみなさんは、ぜひお問い合わせください。
田上 公洋 (たのうえ きみひろ) プロフィール
昭和52年、熊本県生まれ。平成12年4月に行政システム九州株式会社へ入社。その後、グループ会社であるICTコンストラクション株式会社に転籍。平成16年4月より人事給与および人事評価システム業務全般に携わり、平成26年より人材育成支援システムの企画・開発に従事。
ICTコンストラクション株式会社
設立 |
平成23年7月 |
資本金 |
5,000万円 |
従業員数 |
62人(令和3年4月現在) |
事業内容 |
自治体向け内部情報システムに関するサービス(人事給与、庶務事務、財務会計、文書管理など)、ネットワーク・インフラストラクチャに関するサービス、セキュリティ関連システムに関するサービス、クラウド・ASPサービスなど |
URL |
https://www.gyoseiq.co.jp/ict/ |
問い合わせ先 |
Tel:092-263-7880 (平日8:30~17:30) メール:ictweb@gyoseiq.co.jp
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