熊本県天草市の取り組み
人事評価システムの導入
システム導入で人事評価を効率化し、市の将来を担う職員を育む
天草市
総務部 総務課 人事研修係 係長 井上 憲一
総務部 総務課 人事研修係 主任 梅田 将臣
※下記は自治体通信 Vol.33(2021年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
いま多くの自治体では、職員の業績・能力評価を給与や任用の基礎とする制度運用が行われている。そこでは、いかに職員が納得感をもてる正当な評価を行い、適切な人材育成につなげるかが問われる。さらに、短期間で膨大な人事情報を扱う担当者の業務負担も課題となる。そうした背景から、「人事評価システム」を導入する自治体が増えている。天草市(熊本県)もそのひとつだ。同市担当者に、システム導入のメリットなどを聞いた。
[天草市] ■人口:7万7,140人(令和3年7月末現在) ■世帯数:3万6,639世帯(令和3年7月末現在) ■予算規模:737億830万円(令和3年度当初)■面積:683.82km2 ■概要:熊本県南西部に位置し、周囲を藍く美しい海に囲まれた天草上島と天草下島および御所浦島などで構成する天草諸島の中心部に位置している。本渡市・牛深市・有明町・御所浦町・倉岳町・栖本町・新和町・五和町・天草町・河浦町の2市8町が合併し、平成18年3月27日に誕生。面積は県内最大を誇る。自然景観、南蛮文化やキリシタンの歴史など、多くの観光資源にも恵まれている。
人事担当者はデータ管理に、1ヵ月ほどかかりきり
―これまで天草市では、どのように人事評価を行ってきましたか。
井上 当市では「人材こそがもっとも重要な経営資源」と考え、人事評価にあたっては「人材育成」に重きを置いた制度を平成28年度から運用しています。年1回の評価に対し4回の面談を重ね、部下職員への指導助言や意見交換の場を確保しながら、職員の納得感が得られる公平公正な評価の実現に努めてきました。しかし、そこでは課題も少なくありませんでした。
梅田 当市では評価データをExcelで作成していたので、評価対象者約1,000人分のファイル数が存在することになり、その管理はとても煩雑でした。評価者、被評価者、総務課、それぞれの手元に存在するファイルの内容に齟齬が生じたり、誤入力が見つかったりするケースも多く、人事担当者はその修正や分析に1ヵ月ほどかかりきりになるのが通例でした。
―担当者の負担が大きかったと。
井上 それだけではありません。新たな制度の定着にあたっては、部署別や階層別などによる評価結果の分布状況を確認し、評価のバラツキ・偏りなどの分析が必要でしたが、Excelでの運用のため、ここに多くの時間を要していました。その影響から、本来の評価行為自体がとてもタイトな日程になっていたのです。これらの課題を解消すべくシステムの導入を決め、検討の結果、人材育成支援システム『ざいなる』を導入。令和2年4月から運用を開始しています。
職員の納得感も高まり、評価に対する不満は減った
―決め手はなんだったのでしょう。
井上 入力や集計といった事務作業の負担を軽減でき、評価結果を一元的に管理できること。さらに、評価結果を本来の目的である人材育成につなげられる仕組みであることを評価しました。当市の場合、面談の回数がほかの自治体に比べて多いのですが、それらの内容を『ざいなる』では年間を通じて記録・管理でき、継続的な評価に活用できるのです。
梅田 また、他社のシステムとも比較しましたが、操作性に優れ、視覚的にも見やすく、個々の職員が直感的に利用できると感じた点も、選定のポイントでした。
―導入効果はいかがですか。
井上 効果は絶大、各当事者の業務負担は大きく減り、面談や評価に十分な時間を割くことができるようになりました。その結果、被評価者である職員の納得感も高まっているようで、評価に対する不満は減っています。また、制度運用に関する効果や課題の検証などを行う時間も生まれ、制度の改善にも一役買ってくれていると感じています。
支援企業の視点
人事評価を育成につなげるために、まずはシステムの導入を急ぐべき
ICTコンストラクション株式会社
内部情報ソリューション部 HRソリューション課 システム企画・開発 河田 美奈子
―人事評価をめぐり、自治体にどのような課題がありますか。
業績・能力評価が定着してきたいまでも、それらを「人材の育成」にまでつなげられている自治体は多くないようです。その背景には、評価データをExcelベースで管理しているため、集計に多くの時間と手間を要し、結果の分析や活用までできていないという事情があります。まずは、人事評価をシステム化し、評価データの有効活用を図ることが重要です。そこで当社では、人材育成支援システム『ざいなる』を提案しています。
―特徴を教えてください。
『ざいなる』では、目標設定や業績評価の集計がワンクリックででき、人事評価での作成・集計業務の負担を大きく軽減することができます。また、入力時期が来れば評価者に自動で通知が届くなど、システムが組織全体の進捗管理を補うため人事担当者の業務をカバーしてくれます。そのほか、各自治体が職員に求める能力に合わせ、目標を自在に設定でき、将来のキャリアをシミュレーションすることもできます。導入に際し、システムをカスタマイズすることなく、現在運用している制度や今後の制度変更など、各自治体の実情に合わせて運用できるため、多くの自治体から評価をいただいています。
―今後、どのように自治体を支援していきますか。
当社では、『ざいなる』の機能強化を重ね、すべての利用団体が最新の機能を、いつでも利用していただくことで、自治体の評価事務の改善に貢献していきます。ぜひお問い合わせください。
河田 美奈子 (かわた みなこ) プロフィール
平成元年、広島県生まれ。平成24年4月、Gcomホールディングス株式会社に入社。その後、グループ会社であるICTコンストラクション株式会社へ転籍。平成26年より、人材育成支援システムの企画・開発に従事。
ICTコンストラクション株式会社
設立 |
平成23年7月 |
資本金 |
5,000万円 |
従業員数 |
69人(令和3年7月現在) |
事業内容 |
自治体向け内部情報システムに関するサービス(人事給与、庶務事務、財務会計、文書管理など)、ネットワーク・インフラストラクチャに関するサービス、セキュリティ関連システムに関するサービス、クラウド・ASPサービスなど |
URL |
https://www.gyoseiq.co.jp/ict/ |
お問い合わせ電話番号 |
092-263-7880(平日8:30〜17:30) |
お問い合わせメールアドレス |
ictweb@gyoseiq.co.jp
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