東京都の取り組み
子育て支援用品の進呈
育児用品のポイント交換サイト。出産・子育てに臨む家庭を応援
東京都 福祉保健局少子社会対策部 事業調整担当課長 青山 佳司
※下記は自治体通信 Vol.37(2022年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
少子化が進むなか、住民が子どもを産み育てやすい環境を整備することは、自治体の重要な使命のひとつとなっている。こうしたなか、東京都はオンラインカタログを通じて育児用品を子育て世帯に提供する事業を始めた。取り組みの詳細について、福祉保健局少子社会対策部の青山氏に聞いた。
[東京都] ■人口:1,398万485人(令和4年2月1日現在) ■世帯数:723万3,481世帯(令和4年2月1日現在) ■予算規模:15兆3,939億円(令和4年度当初案) ■面積:2,194.05km2 ■概要:江戸時代より、徳川家康の都市計画のもと、日本の中心として発展し続けてきた。行政区域には、日本の最南端である沖ノ鳥島と最東端の南鳥島が含まれる。埼玉県と千葉県、神奈川県を合わせた東京首都圏の人口は約3,500万人と日本の人口の約3割を占め、都市圏人口としては世界最大級の規模を誇る。
子育て支援に特化した、700点以上の商品を用意
―東京都では、どのような子育て支援策に取り組んでいますか。
平成27年度より、妊娠から育児までの切れ目ない支援を行うことを目的とした「とうきょうママパパ応援事業」を実施しています。同事業は、すべての妊婦を対象に保健師等の専門職が面接を行ったうえで継続的な支援を提供するほか、多胎児や多子世帯への支援を継続的に行う区市町村を支援するものです。
さらに令和3年度からは、コロナ禍で不安を抱えながら出産・育児に臨む方々を社会全体で応援するため、新たに「東京都出産応援事業」を開始しました。
―新たな事業の内容を教えてください。
育児用品や子育て支援サービスを新生児1人あたり10万円相当、提供するものです。事業の実施にあたっては、対象者がスマホやPCで気軽に品物を選べるよう、オンラインカタログの形態を取りました。本事業では、都内全区市町村の協力を得て、専用WebサイトへアクセスできるIDカードを対象家庭に配布。対象家庭はカードを受け取るための申請は不要です。ユーザーはサイトの初回登録時、子育て支援に関するアンケートに答えることで10万円相当のポイントが付与され、サイトで希望の商品を選択・注文できる仕組みとなっています。
―サイトではどのような商品を取り扱っているのですか。
ベビー服や雑貨、食品、生活支援用品、家事育児サービスなど、子育て支援に特化した700点以上の商品を用意しています。子育て家庭の多様なニーズに応えられる豊富な品揃えは当初から期待していたものですが、住民の意見や要望を受け付け、それをコンテンツに反映してサイトをアップデートできる点にも、オンラインならではのメリットを感じています。
品揃えや掲載情報を増やし、サイトのコンテンツを充実化
―具体的にどのようなアップデートを行っているのでしょう。
商品の品揃えはこれまで、利用者の声をもとに100点以上を新たに追加しました。商品以外のコンテンツも充実させており、利用者目線に立った子育てに関する特集バナーや支援情報も定期的に掲載し、都から子育て家庭に対する情報発信の場としてもサイトを活用しています。
この取り組みに対し、アンケートでは「コロナ禍でもがんばろうと思えた」「子どもを産むことが社会から歓迎されていると感じた」といったうれしい意見をいただいています。今後も引き続き、利用者の声を施策に反映し、東京で生活する子育て家庭への支援を充実させていきたいですね。
支援企業の視点
情報サイトを兼ねたカタログで、子育て支援策を充実させよ
株式会社ハーモニック 営業推進室 菅野 暢介
―子育て支援策として住民に物品を進呈する自治体は多いのでしょうか。
子どもを育てる親御さんの身体的、経済的な負担を軽減するため、物品やサービスを進呈する自治体は増えています。最近は、対象者が希望する品物を自由に選べる「カタログギフト」を進呈品に採用する自治体が多いです。そこで当社でも、ポイント交換型サイトをプラットフォームとして提供し、そうした自治体を支援しています。
―サイトにはどういった特徴があるのですか。
まず、情報発信の場として活用できます。利用者はポイントを使い切るまで複数回サイトを訪れるため、自治体はその機会を活かして子育てに関する情報を、リンクや記事といったかたちで伝えられます。カタログは子育てに特化した品揃えが豊富なため、利用者からは「サイトそのものが情報源になる」といった声も寄せられています。不安を抱えて育児に臨む家庭にとって、こうした情報が集約されたサイトは心強い存在になるでしょう。サイトではアンケートへの回答を利用条件に設定できるため、高い回答率で利用者の意見を収集できるのも特徴です。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
カタログギフトの制作から物品の配送までを一貫して手がけてきた豊富な実績を活かし、自治体における子育て支援の充実に貢献します。当社では、自治体のニーズに合わせたオリジナルのカタログをつくることも可能です。関心のある自治体のみなさんはぜひ、ご連絡ください。
菅野 暢介 (かんの ようすけ) プロフィール
平成27年、株式会社ハーモニックに入社。平成31年より現職。おもに提案業務を担う。
株式会社ハーモニック
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