福岡県みやこ町の取り組み
人事評価システムの導入
システム導入で職員の負担を軽減し、人事評価制度の運用透明化を実現
みやこ町 総務課 課長補佐 白川 茂久
※下記は自治体通信 Vol.41(2022年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
平成26年の地方公務員法の一部改正を機に、多くの自治体で能力と実績に基づく人事評価制度が導入された。しかし、紙ベースの業務管理が課題となり、導入時に想定されていた制度運用がなされていない自治体も少なくない。そのようななか、システム導入により制度運用の改善を図る自治体が増えている。みやこ町(福岡県)もそうした自治体のひとつだ。同町総務課の白川氏に、システム導入の効果などを聞いた。
[みやこ町] ■人口:1万8,548人(令和4年6月末現在) ■世帯数:8,434世帯(令和4年6月末現在) ■予算規模:178億786万4,000円(令和4年度当初) ■面積:151.34km2 ■概要:福岡県の北東部に位置し、東は行橋市と築上郡の築上町、西は田川郡の添田町・赤村・香春町、南は大分県、北は北九州市小倉南区に接している。平成18年3月に、京都郡の勝山町・犀川町・豊津町の3町が合併して、「みやこ町」が誕生した。
職員にできていなかった、評価結果のフィードバック
―みやこ町における人事評価制度の運用状況を教えてください。
3町合併によって誕生した当町は、職員数の適正化を進める傍ら、平成28年に人事育成基本方針を策定し、職員の能力向上を図るため、能力と実績に基づく人事評価制度を運用してきました。しかし、当時はExcelを使い紙ベースで運用していたため、人事担当者は年度末の集計作業に繁忙を極めていました。各部署での進捗も把握できず、担当者が1ヵ月つきっきりで業務に追われても、集計が完了するのはつねに年度末ギリギリに。一方、各部署では、評価結果を処遇に反映させるための深い議論が行えず、職員への評価結果のフィードバックもなされていませんでした。制度本来の主旨を実現するためには、運用面の改善が必要な状況だったのです。
―どのような改善策を検討したのでしょう。
紙ベースでの運用管理から脱却し、業務効率化を図るのが不可欠と判断、人事評価システムの導入を決めました。システム選定に際しては、多くの職員が利用するため、まずは職員が使いやすいもの。そして、「業績評価」「能力評価」「勤務態度評価」の3本柱から成る、当町の人事評価制度に適合できる柔軟な設定機能を備えていることを条件とし、人材育成支援システム『ざいなる』の導入を決めました。平成31年4月から運用を開始しています。
―導入後の効果はいかがですか。
人事担当者の負担は、導入前に比べ大幅に軽減され、劇的に業務の効率化が図られたことが実感できています。評価の集計作業は瞬時に完了しますし、各部署の状況も一目でわかるので、進捗管理がとても楽になりました。現在は、評価業務全体でも担当者1人が1週間ほどで完了させることができています。集計作業が短縮化されたことは、各現場にも大きな効果をもたらしています。
―それはどのような効果ですか。
システムによって、評価プロセスが透明化されているので、被評価者である各職員の評価に対する納得感や向上意欲が高まったことです。システム導入前には、職員は自分の評価結果を知ることができていませんでしたから。集計業務が短縮化されたことで、評価結果を踏まえた処遇議論も深められ、制度本来の運用をようやく実現することができたと感じています。
スリムで効率的な組織に向け、職員の能力開発は不可欠
―今後のシステム運用方針を聞かせてください。
『ざいなる』は、職員の能力開発を支援する機能も充実していますので、これらを活用し、職員のキャリアアップに役立てていきたいと考えています。職員数が減少し、一人ひとりの役割が年々大きくなるなか、スリムで効率的な組織を形成するために、評価に基づく能力開発は不可欠です。
また、アンケート機能を活用し、これまで紙で運用していた職員調書や異動希望調書などの書類も『ざいなる』上で運用・管理し、人事評価の補足資料として有効活用していくことも考えています。
支援企業の視点
職員の能力開発につなげるには、人事評価のシステム化は不可欠
ICTコンストラクション株式会社 内部情報ソリューション部 HRソリューション課 宮本 直弥
―自治体における人事評価制度の運用状況はいかがですか。
能力と実績に基づく人事評価制度の運用は非常に浸透している一方、いまだに表計算ソフトや紙ベースで運用している自治体もあります。そうした場合、評価の集計作業に膨大な時間を奪われるので、人事担当者の業務負担が問題となるだけではなく、評価結果を分析し、処遇やその後の能力開発に活かすことまではできていないケースも少なくありません。そのため当社では、人事評価のシステム化を推奨し、人材育成支援システム『ざいなる』を提案しています。
―どのようなシステムですか。
人事評価の効率化だけではなく、そこから先の人材育成の面でも貢献できるシステムです。人事評価の結果を人材の育成につなげる機能が備わっており、さまざまな職種に応じた必要な評価基準を設定できる点などは、業務内容が部署ごとに異なる自治体での運用を考えて開発された結果です。また職員との面談や指導育成の記録を残すこともできますので、職員に対する評価の妥当性を担保できます。さらに、職員ごとのスキルやキャリアを可視化して、今後伸ばすべき能力といった人材育成に必要な情報を取得することもできます。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
当社では、お客さまの声を機能開発に活かし、年2回のアップグレードでつねに最新の成果を届け、自治体組織の改善に貢献していきます。LGWAN-ASP版も展開し、自治体を中心に50以上の団体に導入されています。ぜひお問い合わせください。
宮本 直弥 (みやもと なおや) プロフィール
平成8年、福岡県生まれ。ICTコンストラクション株式会社にて、平成31年4月より人材育成支援システムの企画・開発に携わり、現在は導入・保守に従事。
ICTコンストラクション株式会社
この記事で支援企業が提供している
ソリューションの資料をダウンロードする