鹿児島県霧島市の取り組み
人事評価システムの導入
システム導入で人事評価を透明化し、職員の納得感と業務意欲を高める
霧島市
総務部総務課人事研修グループ 主任主事 山下 祐樹
総務部総務課人事研修グループ 主任主事 德丸 慎一
※下記は自治体通信 Vol.42(2022年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
いまや多くの自治体で能力と実績に基づく人事評価制度が運用されている。だが、いまも表計算ソフトと紙を主体とする運用管理のため、集計業務の負担に悩まされている自治体も少なくない。そうしたなか、システム導入によって運用改善を図ろうとする自治体が増えている。霧島市(鹿児島県)も、そうした自治体のひとつだ。同市の担当者2人に、システム導入の効果などを聞いた。
[霧島市] ■人口:12万4,736人(令和4年8月1日現在) ■世帯数:6万2,526世帯(令和4年8月1日現在) ■予算規模:930億8,233万4,000円(令和4年度当初) ■面積:608.17km2 ■概要:鹿児島県本土のほぼ中央部に位置し、北部は国立公園である風光明媚な霧島山を有する。南部は豊かで広大な平野部が波静かな錦江湾に接し、湾に浮かぶ雄大な桜島を望む。霧島山系から裾野、平野部を経て錦江湾まで流れる清く豊かな天降川、その流域に広がる豊かな田園、そして山麓から平野部まで温泉群などを有している。
紙主体の膨大な人事評価業務。運用面の改善が不可欠と判断
―これまで霧島市では、どのように人事評価を行ってきましたか。
山下 当市では、平成28年から人事評価実施規程を策定し、職員の能力向上を目的として、能力評価と実績評価に基づく人事評価制度を運用してきました。これまでは、評価結果を表計算ソフトで管理・運用していたのですが、評価の対象は正職員約900人に及ぶため、集計だけでも膨大な作業となり、人事担当者の負担はきわめて大きかったといえます。
德丸 さらに、現場での評価の進捗を管理できなかったため、一部の部署の遅れで全体の集計作業が滞ることもしばしばでした。また、各職員への評価結果の共有は、表計算ソフトから印刷した用紙で行っていたため、過去の情報と照らし合わせた分析のほか、評価や育成に継続性を担保することが難しい状況でした。人材育成という制度本来の目的を実現するためにも、運用面の改善が不可欠と判断し、令和元年からシステム導入の検討に入りました。
―具体的にどのような検討を行ったのですか。
德丸 多くの職員が直接使用するシステムであるため、まずは操作がわかりやすいシステムであること。それを前提に、すでに運用している勤怠管理などの内部情報系システムと連携でき、人事系業務全体として効率化を図れることを重視しました。選定の結果、人材育成支援システム『ざいなる』の導入を決め、令和2年度から運用を開始しています。
評価プロセスの透明化は、職員の納得感を高めている
―導入効果はいかがですか。
山下 期待通り、集計作業が自動化され、人事担当者の負担は大きく軽減されました。各部署での評価プロセスが可視化されたため、進捗管理がラクになり、集計期間が大幅に短縮化されています。評価プロセスの透明化は、職員の評価に対する納得感を高めているようで、仕事に対するモチベーションにもつながっていると感じます。
德丸 『ざいなる』では、利用者の声を機能に反映させるため、年2回のバージョンアップが図られるのですが、そこでは当市の要望も新機能として実装してもらうことができました。利用者目線に立った最新の開発成果をつねに利用できるのは、ありがたいですね。
―今後のシステム運用方針を聞かせてください。
德丸 当市では、評価の精度を担保するため、評価者には部下の「行動観察記録」もあわせて作成してもらっています。こうした付随情報も『ざいなる』の機能を使って一元管理し、評価の正当性をさらに高めていきたいです。
山下 同時に、『ざいなる』の分析機能を活用し、制度本来の目的である人材育成へと効果的につなげられる人事評価制度の運用を目指したいと考えています。
支援企業の視点
人事評価をシステム化する際は、「職員の能力開発」の機能を重視せよ
ICTコンストラクション株式会社 内部情報ソリューション部 HRソリューション課 リーダー 梛木 誠
―人事評価をめぐり、自治体が抱える課題とはなんでしょう。
多くの自治体では、人事評価という大切な業務が、表計算ソフトや紙、メールを駆使して短期間で運用されています。そのため、それぞれのツールの限界から、評価情報の配布、収集作業や集計作業、異動前の評価などの情報共有を進められていません。また、その評価結果を職員のモチベーションアップにつなげられないといった事例も聞きます。そのため当社では、人事評価プロセスにおけるシステム化は喫緊の課題と考えています。
―システム選びに際して、重要なポイントはありますか。
人事評価制度の本質である、「いかに人材育成につなげるか」という視点を重視したシステム選びが大切だと考えます。たとえば、当社の『ざいなる』は、個々のキャリアアップに必要な情報を、必要なときにいつでも確認できる支援機能を実装。人材育成までの目線をもったシステムです。最近では、複数のグループメンバーで情報共有しながら、組織的に人材育成する過程の記録を取る機能を新たに実装するなど、人材育成の機能をさらに充実させています。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
今後はそれぞれの自治体で蓄積された『ざいなる』のデータを基に、行政組織の傾向を見て取れる分析・支援機能の開発にも力を入れていきます。また、人事評価情報と人事的情報履歴を一元化することで、それぞれの職員が特性を活かして活躍できる職場づくりにも貢献します。ぜひお問い合わせください。
梛木 誠 (なぎ まこと) プロフィール
昭和45年、鹿児島県生まれ。平成4年に行政システム九州株式会社に入社。その後、グループ会社であるICTコンストラクション株式会社へ転籍。平成30年より人事評価システム導入から保守までの業務全般に従事。
ICTコンストラクション株式会社
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