茨城県常陸大宮市の取り組み
公共料金支払い業務の改善
煩雑な公共料金の支払い管理は「一括請求」で大幅な効率化が可能
常陸大宮市
産業観光部 商工観光課 課長補佐
(総務省 経営・財務マネジメント強化事業 【公営企業関係】アドバイザー) 佐藤 真一
上下水道部 総務経営課 主査 加藤 義隆
※下記は自治体通信 Vol.44(2022年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
紙ベースの業務が現場に負担をかけている例は多くの自治体で存在している。業務上発生する公共料金の支払い業務は、その典型例のひとつである。これに対して、常陸大宮市(茨城県)では、上下水道部が管理する通信料金や電力料金の支払い業務をめぐり、新たなサービスを導入し、業務の効率化に成功したという。サービス導入の経緯やその効果について、同市担当者に話を聞いた。
[常陸大宮市] ■人口:3万8,056人(令和4年10月1日現在) ■世帯数:1万5,653世帯(令和4年10月1日現在) ■予算規模:390億4,930万円(令和4年度当初) ■面積:348.45km2 ■概要:那珂郡大宮町・山方町・美和村・緒川村・東茨城郡御前山村の5町村が合併し、平成16年10月に誕生した。市の面積は、県内では常陸太田市に次いで2番目の規模を誇る。緑豊かな自然のなか、ネギ・シイタケなどの特産品の産地化や、県北工業振興の拠点である水戸北部中核工業団地など、農林業と工業の、調和ある発展を目指している。
負担軽減が課題となっていた、毎月130枚の請求書処理
―公共料金の支払い業務で、どのような課題を感じていましたか。
佐藤 上下水道部では、市域が県内2番目の大きさを誇るため、非常に多くの施設を管理しなければなりません。その数は上下水道合わせて542となり、そこで使われる通信回線は約400契約、電力契約で約350契約にのぼります。
加藤 これらの請求書は膨大な数にのぼり、時期もバラバラに届くので、業務を効率化するため通信会社や電力会社に依頼し、できるだけ伝票を集約してもらっています。それでも請求書の数は130枚ほどにするのが限界でした。
―それらを毎月処理するのですね。
佐藤 はい。請求書の開封から予算科目の分類、起票、支払い処理に毎月約40時間も要していたため、この業務負担の軽減は大きな課題となっていました。そんなとき、同じ課題を抱えていた近隣の稲敷市から、NTTファイナンスが提供する一括請求サービス『ビリングONE』を紹介されたのです。
―どのようなサービスでしょう。
加藤 複数の通信会社や電力会社からの支払いをまとめ、立替払いしてくれるサービスです。結果、当市の支払い処理は毎月一度で完了できます。稲敷市では通信料管理に使用していましたが、同社によると電力料金もまとめて一括請求でき、電力使用量までデータ管理ができるとのことでした。
水道事業においては、次年度の財政計画の立案のほか、水道統計として国に提出する目的から、電力使用量の管理は必須となります。『ビリングONE』では、これらをまとめて一括管理できることから、すぐに導入を決め、今年7月から運用を開始しています。
40時間もの業務が約1時間に
―導入効果はいかがですか。
佐藤 Web上で毎月25日に届く集計データを承認するだけで、一連の仕分けや起票などの処理が一切必要なくなった結果、毎月約40時間の業務がわずか1時間程度に短縮されました。人為的なミスの心配もなくなり、負担軽減効果は大きいと感じています。新たに生まれた時間は、今後の下水道網のさらなる整備や施設の老朽化対策、漏水対策といった住民サービスの向上に充てていきたいです。
加藤 実際の使用感にも満足しています。画面は直感的にわかりやすく、誰でも使いこなせそうなので、今後人事異動があったとしても、業務の引き継ぎに不安は感じません。将来的に『ビリングONE』をほかの部署にも導入できれば、市役所全体の働き方改革もさらに進むかもしれませんね。
支援企業の視点
公共料金の一括管理システム導入が、経理業務効率化の切り札になる
NTTファイナンス株式会社 ビリング事業本部 ビリングソリューション部 首都圏営業部門
南関東ビリング ソリューション担当 金原 三都
―公共料金支払い業務に課題を抱えている自治体は多いですか。
とても多いです。公共料金の請求書はどの自治体にも届くもので、その処理の煩雑さは共通の課題です。特に、規模の大きな自治体ほど、通信費や電力料金などの請求書は膨大な数になり、仕分けや起票、支払い管理といった業務に大きなマンパワーを割いています。こうした経理業務における業務効率化の切り札として、当社では一括請求サービス『ビリングONE』を提案しています。
―特徴を教えてください。
本来、各自治体に届く公共料金の請求書を当社が一括で管理するサービスで、自治体における開封や仕分け、データ入力といった一連の煩雑な支払い管理業務を大幅に効率化します。請求の発生状況は、請求書が届くタイミングで、随時Web上で確認でき、翌月には当社が支払いを代行。各自治体は、当社への一度の支払いだけで、迅速かつ簡便に公共料金の支払い業務を終えることができるのです。組織変更や新規契約の追加なども、画面上の操作で簡単に行えます。また、常陸大宮市での導入にあたり、電力使用量までデータ提供できるようになったことで、幅広い自治体のニーズに応えられるようになりました。
―今後、自治体の業務効率化をどのように支援していきますか。
『ビリングONE』では、通信、電気以外にも水道といったさまざまな公共料金の一括管理機能もあるほか、今後は改正電子帳簿保存法にも対応し、自治体での導入ニーズに幅広く対応していく考えです。ぜひ、お問い合わせください。
金原 三都 (きんばら みつ) プロフィール
平成27年にNTTファイナンス株式会社に入社。平成30年7月より現職。
NTTファイナンス株式会社
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