東京都福生市の取り組み
電話交換機のクラウド化
電話交換機のクラウド化により、自治体DX推進への下地ができた
福生市
総務部 契約管財課 管財係 係長 和泉 宗介
総務部 契約管財課 管財係 主任 植木 将登
※下記は自治体通信 Vol.49(2023年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
DX推進の旗のもと、さまざまな業務がシステム化されるのに伴い、各自治体では各種クラウドサービスの導入が進んでいる。利便性を享受しながら、運用管理や機器・システム更新の手間が省けるクラウドサービスの活用は、DX推進に向けたひとつのキーワードになりそうだ。そうしたなか、福生市(東京都)では、本庁舎と別館で運用する電話交換機(以下、PBX)のクラウド化を図ったという。同市担当者の2人に、取り組みの狙いとその効果について聞いた。
[福生市] ■人口:5万6,052人(令和5年3月1日現在) ■世帯数:3万304世帯(令和5年3月1日現在) ■予算規模:407億6,419万6,000円(令和5年度当初) ■面積:10.16km2 ■概要:武蔵野台地の西端に位置する。市の西端を流れる多摩川の東側に東西約3.6km、南北約4.5kmにわたって広がる。市の東側から多摩川に向かって河岸段丘が緩やかに続き、市内に分布する段丘面の境には崖線が連なる。その斜面には地下水が流出し、各所で湧水が見られる。市の東北部には米軍横田基地があり、行政面積の32%を占めている。
将来的な安定調達も視野に、クラウドPBXの導入を決定
―福生市が「クラウドPBX」を導入した経緯を教えてください。
和泉 従来、本庁舎とそれに隣接する別館で運用していたPBXの保守期間満了を受け、機器更新の必要が生じたのです。新たなPBXの選定に際しては、これまでの電話受付や内線対応が継続して利用できることを第一に検討を進めていましたが、昨今の半導体不足によって機器の調達自体が難しくなっていました。そこで、将来にわたる安定調達も視野に、クラウドPBXの導入を考え始めました。
植木 PBXをクラウド化することで、従来の電話サービスは継続しながら、機器の保守対応や老朽化による交換といった運用負担を軽減できます。これまで別々に運用していた8つの出先機関のPBXも、将来的に一体運用できる余地が生まれることから、クラウドPBXの導入を決定しました。プロポーザルによってアイルネット社のクラウドPBXを選定し、令和4年9月から運用を開始しています。
―運用状況はいかがですか。
植木 まず、設置作業はスムーズに進み、当初予定の3日間を2日間に短縮することができました。約300台の庁内固定電話や防災無線網との接続も、業務に一切の支障なく終えることができました。
和泉 アイルネット社では、クラウドPBXを運用するデータセンターを東日本と西日本の2拠点体制としており、いずれかのデータセンターが大規模災害で被災しても即座に運用元を切り替えることができます。DR対策を強化できたことで安心感は高まりました。
テレワークやフリーアドレス。自由な働き方ができるように
―今後のクラウドPBXの運用方針を聞かせてください。
和泉 クラウドPBXは、インターネットを利用して各端末への電話転送が可能となるため、将来的にはスマートフォン端末による内線利用を検討しています。これが実現すれば、庁外でも内線電話を受けることができるようになり、テレワークの推進にもつながります。現在、アイルネット社からスマートフォンの貸し出しを受け、運用について研究しているところです。
植木 また、昨今は各自治体の庁内ネットワークを無線化し、パソコンを持ち運べるようにする動きもあります。これに伴い、今後庁内の電話機がスマートフォン端末になり、無線化されると、組織改正による配置転換のたびに通信回線を引き直す必要がなくなります。なにより、テレワークなど自由な働き方や自治体DX推進の下地ができたことは、クラウドPBX導入の大きな意義と言えますね。
支援企業の視点
PBXをめぐる運用上の諸課題は、クラウド化でまとめて解決できる
株式会社アイルネット
クラウド事業本部 営業推進部 営業推進グループ グループリーダー
兼 営業支援グループ 電気通信工事専任技術者 鈴木 聖
―電話設備の運用をめぐる自治体の課題とはなんでしょう。
定期的に訪れるPBXの更新やそれに伴う各種設備工事は、管理部門の大きな負担となっています。また、市町村合併などを背景に複数の庁舎、施設で別々のPBXを運用している自治体も多く、運用管理上の非効率性も課題となっています。PBXが散在している状況は、BCP対策の観点からも好ましくありません。そこで当社では、こうした課題をまとめて解決できるクラウドPBXの導入を推奨しています。
―どのような特徴がありますか。
定期的なPBXの交換が不要になり、運用管理の負担を大きく減らせます。同時に、携帯電話端末を内線電話として活用できるようになるのも大きな利点と言えます。住民対応の質を損なうことなくテレワークが導入できるので、職員、住民双方にメリットがあります。
さらに、当社が提供するクラウドPBX『iスマートBiz』では、データセンターやサーバを冗長化し、運用の安定性を高めています。1万3,000回線を対象に『iスマートBiz』を導入した自治体の事例では、平成23年の導入以来、無事故で運用を続けています。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
『iスマートBiz』は、これまで大企業から中小企業まで数多くの導入実績を誇り、高い安定性と信頼性を自負しています。さらに当社では、24時間365日の監視体制を敷くことで、自治体の重要な窓口である電話システムの安定運用と効率化を支援していく考えです。ぜひ、お問い合わせください。
鈴木 聖 (すずき きよし) プロフィール
通信工事会社、通信キャリアなどを経て、令和2年に株式会社アイルネットに入社。現職にて従事。
株式会社アイルネット
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