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先進事例2024.09.13

セルフ入退場で運営コストを大幅に削減したエアリススケートパーク太田の入退場管理システムとは ~群馬県太田市、スケートパーク開設で地域活性化を促進~

[提供] 株式会社構造計画研究所 RemoteLOCKチーム
セルフ入退場で運営コストを大幅に削減したエアリススケートパーク太田の入退場管理システムとは ~群馬県太田市、スケートパーク開設で地域活性化を促進~
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株式会社構造計画研究所 RemoteLOCKチーム
株式会社構造計画研究所 RemoteLOCKチーム

<インタビュイー>太田市 都市政策部 まちづくり推進課 今泉 宏保 様
(制作協力:株式会社ラクシーズ様)

人口約22万人を擁する群馬県太田市は、輸送機器産業を中心とした製造業に加え、農業や畜産業など多様な産業形態を有する都市です。利根川と渡良瀬川の水の恵みと金山八王子丘陵の豊かな緑を有し、歴史と文化が深く根付いています。

太田市では、地元の愛好家団体らの要望を受け、敷地面積約3,000㎡で北関東最大級のフルコンクリート施設「エアリススケートパーク太田」が2024年6月にオープンしました。本施設の入退場管理システムとしてTOBIRA(トビラ)を導入した経緯および効果についてお伺いしました。
※参照: 6月23日オープン!LaBOLA×TOBIRA採用でスマート運営を実現したストリートスポーツの新拠点「エアリススケートパーク太田」

Q はじめに今泉様の担当業務について教えて下さい。

A 太田市役所の都市政策部まちづくり推進課で、スマートインター周辺整備およびスケートパーク整備事業を担当しています。

今から9年前の平成27年、地元のストリートスポーツ愛好家団体らからスケートパーク建設の要望書が提出されました。当時、ストリートスポーツを楽しむ方が増加する一方で、太田駅周辺や太田市運動公園でストリートスポーツを行うケースが続出し、「危ない」「うるさい」などの苦情が多く寄せられていました。

なぜこれらの場所でストリートスポーツを行うのか聞いてみたところ、「場所がないから」とのことでした。確かに、太田市内および近隣自治体でストリートスポーツを練習できる施設は極めて少ない状況でした。また、民間でスケートパークを作って運営するためには広大な土地や資金の確保など、多くのハードルがあると聞かされました。そこで、まずは行政が「0から1」を実現させること、つまり、ストリートスポーツを楽しめる「場を作ること」に意義があると考えました。その構想は議会の承認を得られて予算化され、事業に着手しました。

▲エアリススケートパーク太田。フラットエリア、ストリートエリア、
パークエリアの3つのレイアウトで、スケートボード、インラインスケート、BMXを楽しめる

Q どんな点に注意して事業を進められましたか。

A 本スケートパークには多くの方の想いが込められているため、「少しでも末永く運営したい」という思惑からはじまりました。

そのためには、整備に要する初期コストだけでなく、維持管理運営コストも含めたトータルコストをいかに抑えるかが最も重要だと考えました。

競技の特性上、スケートパークは施設の補修・保全のための経常費が多くかかります。全国的にも公共施設の縮小化・集約化・廃止の動きが加速する中で、補修以外に必要となるランニングコストをいかに抑えるかが末永く運営していくための最重要ポイントとして挙げられました。

施設の運営を考えるにあたり、仮に現地に管理棟を置いて常駐の管理人を配置するとなると最低でも2名は必要になると思います。その人件費は夜間や土日祝日の運営も考慮すると、年間一人あたり約400万円、つまり計800万円が必要となります。この経費を少しでも抑える方法はないか、とにかく情報を集めました。その際、無人で運営されている朝霞市のドッグラン*を知ったのです。

*【体験記】カインズ朝霞店の空間提供サービス「スマートドッグラン」がすごい!!

このドッグランでは、TOBIRAを用いてQRコードでの入退場管理を実現しており、「完全屋外」「人がいなくても現地で完結する入退場管理」という、まさに私たちが思い描く運用を行っていました。他の入退場システムも検討したのですが、QRリーダーを搭載し、完全屋外対応・防水防塵対応*している機器はTOBIRA以外に見つかりませんでした。

*TOBIRAのリーダー部分はIP55の防水防塵性能を有する。

TOBIRAの導入を検討するなかで、スケートパークの運営に最低限必要とされた会員登録に加え、同時に施設予約や事前決済もインターネット上で行えるシステムを探したところ、TOBIRAと連携したスポーツ専用マネジメントシステムLaBOLAがあることを知りました。クラウド上でシステム管理できることやスポーツ施設への導入実績が決め手となり、LaBOLAとTOBIRAの採用を決めました。

Q スケートパークのオープンから1ヶ月経ちました。現在はどのように運営されていますか。

A オープン1ヶ月で市内外から800人以上の利用者登録がありました。

既存のスケートパークは、利用登録時に紙の申込書に記入し、管理人が内容を確認して、その情報をデータベース化していく流れが多いようで、その処理にはかなりの手間を要すると考えていました。

その煩雑な処理を、LaBOLAなら利用者自身がオンラインで、スマホでもパソコンでも、24時間どこからでも、利用登録からご予約・決済まで進めていただくことができます。利用者自身に登録いただくことで自動的にデータが蓄積されていくことは効率化や省人化に大きく繋げられていると考えています。

また、入退場を管理するため、TOBIRAを入口と出口の2ヶ所に1台ずつ設置しています。LaBOLAの予約完了後にメールで発行される解錠キーはQRコードと暗証番号の形式で、利用者がお好みの解錠方法でご利用いただけます。利用当日、スマホに表示したQRコードをTOBIRAにかざす、もしくはTOBIRAに暗証番号を入力してパークに入場・退場いただく「セルフ入退場」の仕組みを構築しました。

▲エアリススケートパーク太田での予約から入退場までの流れ

▲市内外から多くの参加者が来場したオープニングセレモニー

LaBOLAでは利用登録者の性別、年齢、住所などの属性をダッシュボードで直感的に把握することができます。これまでの運用データを見ますと、一番多いユーザの年齢層は小学生、次に多いのが40代後半から50代の方となっており、ともにその他世代の方と比べて圧倒的に多い状況です。おそらく、親子で取り組まれている傾向があるのではと感じています。一方で、市外のユーザが6〜7割を締めており、他県からも人を呼び込めていることが確認できます。市外や県外からお越しの方々には、スケートパークのみならず、その周辺の飲食店や商業施設もご利用いただけるかもしれないと考えると、関係人口の創出に加えて地域経済の活性化にもつながるのではと期待しています。こういった利用登録者の属性がLaBOLAを通じて容易に把握できることは、今後の新たな戦略を生み出せる有益な情報だと感じています。

また、エアリススケートパーク太田のような入退場管理は、おそらく他のスケートパークでは採用されていない運用だと思います。「予約」というプロセスが利用者の皆様に大変ご面倒をおかけしてしまっていること、そのうえでご理解とご協力をいただいていることを承知しております。この場をお借りしてお詫びと御礼を申し上げます。できるところから少しずつ、運用の見直しをさせていただきたいと考えております。ただ一方で、あくまでも参考までにですが、「行ってみないと混み具合が分からなかった従来のスケートパークに比べ、オンラインで予約すれば確実に入れて良い」といった予約に対するポジティブな意見も一定数頂戴しており、この側面も一つの気づきとして捉えております。

なお、この入退場管理システムについては、当施設を利用したことのある方が>初めて利用される方にその方法を教えてくれる場面を多く見かけるようになりました。それをきっかけとしてその後の利用者同士の会話もしやすくなったとの声もいただいております。本当にこの業界の皆さまは気さくで温かい方ばかりで、心から感謝しております。

▲エアリススケートパーク太田の入場ゲート。
予約完了時に発行されるQRコードまたは暗証番号で解錠

Q LaBOLAやTOBIRAを導入した感想や今後の展望について教えて下さい。

A LaBOLAは従来、テニスコートやバスケットボールコートなど、「面単位」でのスペース予約がベースとされていたのですが、当施設では「個人単位」での予約が必要とされたため、それに合わせた仕様としていただきました。そのおかげで私たちが描いていた運用を実現することができています。

現在は一日券のみの運用を行っておりますが、例えば午前券や午後券などのニーズも聞こえてきたことから、以後、柔軟に検討して参りたいと考えています。これが実現できれば、「予約がいっぱいで入れない」という状況などの改善に繋げられると考えています。

また、オープン記念の無料期間が終わる10月1日からは利用料が発生してきますので、お金のやり取りや支払いの選択肢を準備しています。現金窓口払いや、デジタル地域通貨での支払いも選択肢に入れたいと考えています。

TOBIRAに関しては、システムの仕様を理解する必要はもちろんありますが、係員を常駐させることなく利用者の方の入場と退場を安心して管理できることがとにかく画期的だと思います。さらに、LaBOLAと同様に、「面単位」の入退場管理ではなく、「個人単位」ごとに予約に紐付けた入退場管理を可能とする点にTOBIRAというシステムの素晴らしさを感じています。

なお、TOBIRAのクラウド管理機能では、その日の入退場の実績をリアルタイムに割り出してくれるため、仮に不正利用をされているユーザが居た場合、即座に抽出・把握することができます。今後、末永くスケートパークを運営していくためには不正利用の防止も大きなポイントとなります。既存の防犯カメラとの相性も抜群なTOBIRAには、その側面においても大いに期待しているところです。

Q スケートパークに常駐管理者は配置されてはいないのですね。

A TOBIRAのおかげで、「管理人を常駐させない運営」にチャレンジできています。

防犯上の観点などから定期的に係員が巡回しておりますが、それでも人件費削減を大幅に達成できており、これは施設を持続的に運営していくための大きなポイントと感じています。

出入りの管理には人員が必要だという固定観念を、TOBIRAは一気に変えてくれると確信しています。今後もあらゆる施設に利活用できるものと捉えています。

Q 最後に、スポーツによるまちおこしや施設に携わる自治体担当者向けにアドバイスをお願いします。

A 維持管理運営コストの課題に直面している公共施設は全国的にも多いと思います。TOBIRAはその経費を劇的に減らせるシステムであるとお伝えしたいということが率直な気持ちです。

また、TOBIRAやRemoteLOCKはより強固にセキュリティを確保したい施設、例えば貸し会議室や市庁舎などに関しても有効だと思います。そういった施設にはこれらのシステムを活用した入退場管理をお勧めします。

今回、TOBIRA2台の導入および周辺機器を含め初期コストは約500万円でしたので、人件費年間約800万円を考慮すると1〜2年で精算できるものと捉えています。我々は、本スケートパークの目標共用年数を「少なくとも25年」と設定したうえで、この期間に要する全てのコストを試算しながら計画を進めて参りました。この視点でみると、「初期コスト約500万円」は限りなく省コストであると認識しています。屋内施設であればより一層安価に導入できると思います。是非、一つの選択肢として検討いただくことをお勧めします。

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株式会社構造計画研究所 RemoteLOCKチーム
株式会社構造計画研究所 RemoteLOCKチーム
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設立1959年5月6日
資本金10億1020万円
代表者名代表取締役社長 湯口 達夫
本社所在地

〒164-0012
東京都中野区本町4丁目38番13号 日本ホルスタイン会館内

事業内容

構造計画研究所は、建物の構造設計業務から、構築物を取り巻く自然現象の解析やシミュレーション業務、情報通信分野でのソフトウェア開発、製造分野へのCAD/CAEのソフトウェア販売やカスタマイズ、そして人間の意思決定支援分野でのコンサルティングなどを提供しております。「大学、研究機関と実業界をブリッジする Professional Design & Engineering Firm」を標榜する当社は、今後も工学知をベースにした有用な技術を活用し、社会の諸問題の解決に挑むことで、より賢慮に満ちた未来社会を創造してまいります。

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