EBPM(エビデンスに基づく政策立案)が求められるなど、自治体業務にデータ根拠がますます必要な時代になりました。そうしたなか“ややこしいデータ”でもカンタンに活用できる方法について秦野市(神奈川)上下水道局 参事(兼)経営総務課長の志村 高史さんが一冊の本にまとめました。「私が持つデータ活用のスキルは高度でも専門的でもありません。すべて実務を通じて習得したものです」。こう話す志村さんに自著の読みどころ、活用方法等を解説してもらいます。
実務の中で身につけたノウハウが満載
このたび、2作目の著書となる『根拠が示せる! 上司も納得! 公務員のかんたんデータ活用術』(学陽書房)を出版いたしました。ここに紹介の場をいただきましたことに感謝を申し上げます。
さて、昨年出版した『自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本』(学陽書房)は、11年間にわたり携わった公共施設マネジメントの分野で得た知識と経験を基に、その分野に特化した内容でした。
(参照記事:自治体の公共施設マネジメント担当になったら読む本)
その書籍の中でも、多くのデータを用いた解説を行っていますが、このデータ活用のスキルが必要となるのは、なにも公共施設マネジメントの分野に限ったことではありません。
人口減少が続き、財政も年々厳しさを増していくこれからの行政運営においては、あらゆる分野の仕事で今まで以上に、より積極的に活かすべきスキルとなります。
私が持つデータ活用のスキルは、決して高度で専門的なものではありません。公共施設マネジメントの仕事に就く以前から、すべて実務の中で身につけ、実務に活かしてきたものです。
だからこそ、本書の内容は、読者の皆さまにもすぐに習得ができ、実務のあらゆる場面で活かしていただけるものだと思っています。
「根拠が示せる!上司も納得!公務員のかんたんデータ活用術」の概要
「図書館の利用者を増やすために、本を増やそう
「にぎわいを生むために空家をリノベーションしよう
「隣自治体がやっている事業をうちでも取り入れよう」
ちょっと待ってください。その提案に皆がうなずく「根拠」はありますか。
「なんとなく」「前例で」「他の自治体も同じだったから」などという 曖昧な根拠では、財源が厳しい今の世の中において、 上司や議員、住民の納得を得ることが難しくなってきています。
本書は、相手の納得を引き出す根拠をつくる最強のツール、「データ活用」の方法をわかりやすく紹介します。
データの見方・集め方から、分析の方法、資料のつくり方まで、 自治体職員が現場で使うレベルに絞った内容を、豊富な事例でやさしく解説。
企画、提案、説明で、相手をうなずかせる明確な根拠をつくるノウハウが満載です。
皆が納得する、効果のある事業を企画したい方、住民説明会で参加者に納得してもらいたい方、現状や将来を数字で表して説得力ある報告がしたい方におすすめの1冊です。(版元の学陽書房のサイトより)
すぐに役立つ基礎知識(CHAPTER1~4)
この本の中身を簡単にご紹介させていただきます。
CHAPTER1 地方公務員が持つべきデータ活用の心構え
なぜデータ活用が必要となるのか、データを活用していくために身につけておきたいこと、活用に当たっての基本的ルールなどについて解説しています。
CHAPTER2 行政関係の数字の読み方・使い方
実務でよく使う財政や人口関係のデータを解説するとともに、基本的なデータ分析の方法を行政関係の数字を用いながら示しています。
CHAPTER3 現状を把握するためのデータ活用
データ活用の基本となる現状分析の方法や、データの持つ背景や要素など、データ収集に当たっての注意点などについて解説しています。
CHAPTER4 政策立案のためのデータ活用
データを活用した政策立案のステップについて解説するとともに、データ活用は、時にはできない理由も作り出してしまうことなどに触れています。
基礎知識を応用し説明力をUP!(CHAPTER5~7)
CHAPTER5 検証・改善のためのデータ活用
PDCAサイクルを回すため検証、改善へのプロセス、データ公表の重要性と他自治体のデータの応用などについて触れています。
CHAPTER6 データ収集のツボ
データ活用を進める国の取組みやデータ探しのコツ、コロナ禍におけるデータを活用することの注意点などに触れています。
CHAPTER7 データを基にした資料作成・伝え方
データ活用の効果を上げるための資料作りや説明のノウハウ、国が公開している地図作成ソフトの使用方法、また、本書で使ったグラフに加えた一工夫などについて解説しています。
あなたの“モヤモヤ”を“スッキリ”に!
普段仕事をしていると、「どうしてうまくいかないのだろう」「本当にこれでいいのだろうか」と感じることがあると思います。皆さんがそんなモヤモヤを抱えたとき、そのモヤモヤをスッキリと解決してくれるのがデータ活用です。
今まで、データ活用の必要性を感じていても、勉強する時間が取れなかった皆さん、何を勉強すればいいのかわからなかった皆さん、そして、積極的にデータを活用したいと思っていても、自信の持てなかった皆さん。本書は、そんな皆さんが一歩踏み出すためのお手伝いをしますので、大いに活用してください。
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志村 高史(しむら・たかし)さんのプロフィール
秦野市 上下水道局 参事(兼)経営総務課長
1964年神奈川県生まれ。東京水産大学(現・東京海洋大学)水産学部卒業後、1987年から秦野市職員。教育委員会や財産管理課で、公有財産の維持管理や賃貸・売払い等を担当。2007年に全国初となる庁舎敷地への独立したコンビニエンスストアの誘致を担当した後、2008年から2018年まで公共施設マネジメントに携わり、多くの公有財産の有効活用に取り組む。2019年4月から現職。
著書に「自治体の公共施設マネジメン担当者になった読む本」(学陽書房)。2021年7月に2作目となる「根拠が示せる!上司も納得!公務員のかんたんデータ活用術」(同)を刊行。
<連絡先>秦野市上下水道局経営総務課 0463-81-4113