T 災害への備えに、デジタルを活用する。デジタルによって、これまでよりも都民の皆さんの命が助かるようになる、資産や財産が護られるようになる、強靭で持続可能な社会の創出を目指すというのは、十分な理想状態であると思います。 「デジタルツイン実現プロジェクト」では、都市部だけではなく、多摩・島しょ地域も含めて都内全域を対象にデジタルツインを実現していくのでしょうか?
M デジタルツインの実現に向けては、令和4年度から新たに点群データ(空中写真やレーザースキャナで測量したあらゆる地点の地形を3次元で把握したデータ)取得事業をスタートさせていまして、今後、多摩・島しょ地域も含めた都内全域の地形情報を点群データとしてスキャンしていくこととしています。
庁内に起きた変化
T 点群データの取得は大きなコストがかかることが課題ではありますが、まずはデータが無ければ、何もシミュレーションできないですもんね。 「デジタルツイン実現プロジェクト」を推進されている中で、庁内の変化は起きていますか?
M 「デジタルツイン実現プロジェクト」を推進していて起きている現象としては、各局のデータを集積したビューアのような存在になりつつあるということがあります。 水道の配管や地下の埋没物などの図面データや、川や海辺の防災系カメラによる画像データ・動画データなど、各局が独自に膨大なデータを持っていて、これまでは、それらのデータを確認しようとすると、それぞれの局のシステムにアクセスするしかない状態でした。 それが、「デジタルツイン実現プロジェクト」によって各局のデータを一元化して可視化できるプラットフォームとしてのビューアが出来たことで、このビューアにデータをプロット(描き込む)しようという流れが庁内で起きています。狙っていたわけではないのですが、結果として、SoI(System of Insight)のように、庁内の誰もが各局のデータが組み合わさった状態で全体を俯瞰して把握・分析できるようになりつつあります。
T デジタルツインによって、他の局のデータを含め全体を俯瞰して把握・分析できるようになると、政策のあり方も変わってきそうですよね。