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対話が拓く水道企業団の未来①~50周年事業という“対話”

    【自治体通信Online 寄稿記事】
    我らはまちのエバンジェリスト#18(福岡市 職員・今村 寛)
    自治体職員は地域のエバンジェリスト(伝道者)であれ―。そう提唱する本連載筆者による実践事例をお届けします! “周年事業”という、ややもすれば「総務部門がやることで、自分には関係ない…」と多くの職員から思われがちな取り組みを、どのようにして「全員参加プロジェクト」に昇華させていったのか? 地元メディア等からも注目を集めている福岡地区水道企業団による50周年事業の取り組みの“裏側”をお伝えします。

    そういうお前はどうなのか

    自治体運営のことを市民に知ってもらい、理解してもらい、共感してもらい、自治体と市民との「対話」の橋を架ける“まちのエバンジェリスト(伝道師)”を目指しましょう、という触れ込みで始まったこの連載ですが、そういう記事を書いている私は仕事の中できちんと「対話」しているのか。
    そういう視点で、最近私が一番入れ込んでいる仕事をご紹介したいと思います。

    福岡地区水道企業団に異動して

    2022年春の定期異動で私は福岡地区水道企業団という組織に派遣されました。
    当企業団は、一級河川がなく水源に乏しい福岡都市圏の水道用水を都市圏外の筑後川から導水し、人口260万人を擁し、今も成長著しい福岡都市圏市町に配水する事業主体として設立された一部事務組合(複数の市町村等の地方公共団体が、その事務の一部を共同処理することを目的として設置する団体)で、私はそこで総務部長という役職に就いています。

    筑後川の流域図(水資源機構 筑後川局のサイトより)。右上は筑後川本流の河口から23km地点に建設された筑後大堰(福岡地区水道企業団のサイトより

    その福岡地区水道企業団が2023年6月1日に設立50周年を迎えました。
    設立から50年の節目を契機に、水道用水の1/3を圏外の筑後川に依存する私たち福岡都市圏住民に改めてその事実を認識していただき、筑後川からの恵みに感謝する。そんな1年にしたいと思って市民理解促進のため、20個の情報発信プロジェクトを立ち上げ、日々奔走していますが、実は1年前私が着任したとき、企業団設立50周年に際して実施が予定されていたのは「記念式典」と「記念誌作成」の2つだけでした。
    私は周年事業を担当する課長、係長に問いかけました。
    「記念式典」と「記念誌作成」って何のためにするの、と。

    記念事業の目的は「対話」

    私たちはなぜ、50周年記念事業を実施するのでしょうか。
    50周年記念事業は企業団の50歳の誕生日を祝ってもらうという身勝手なものではありません。
    水源に乏しい福岡都市圏の水事情を改善するために筑後川から水道用水を供給する事業を実施する必要があり、この事業主体として50年前に福岡都市圏市町の総意で設立されたのが私たち福岡地区水道企業団です。

    福岡地区水道企業団の外観(左)と50周年ロゴ(2点とも福岡地区水道企業団のインスタグラムより)

    50年の間、この使命を果たしてきた我々企業団が、設立の背景と設立目的を改めて多くの市民に知っていただくための情報発信、すなわち、水源に乏しい福岡都市圏の水事情について都市圏住民の皆さんに理解を深めていただくことが、50周年記念事業の目的です。
    さらには、このことを知っていただくことで、筑後川をはじめとする水源地域への感謝の気持ちを持っていただき、この感謝の気持ちを水源地域にきちんと届けること。ここまでが私たちがこの50周年記念事業で実現したいことです。
    水事情についての理解浸透も、水源地域への感謝の気持ちを届けることも、50年経った今だから行うという趣旨のものではなく、日々常に企業団の業務として取り組んでおくべきものではありますが、普段縁の下の力持ちで表舞台に立つことのない我々企業団に多くの人が注目してもらえるよう「50周年」という特別な看板を掲げ、日ごろから知ってほしいと思っている情報を改めて発信することにしたものです。
    50周年記念事業は情報発信による福岡都市圏と水源地域住民の相互理解の浸透。
    両地域の相互理解は、これから先50年、100年と続く両地域の連帯を確かなものとするための前提となるものです。
    私は今、この事業目的を達成するために、3つの「対話」に挑戦しています。

    挑戦している「3つの対話」とは?

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    ■今村 寛(いまむら ひろし)さんのプロフィール

    福岡地区水道企業団 総務部長

    1991年福岡市役所入庁。2012年より福岡市職員有志による『「明日晴れるかな」福岡市のこれからを考えるオフサイトミーティング』を主宰し、約9年間で200回以上開催。職場や立場を離れた自由な対話の場づくりを進めている。
    また、2012年から4年間務めた財政調整課長の経験を元に、地方自治体の財政運営について自治体職員や市民向けに語る「出張財政出前講座」を出講。「ビルド&スクラップ型財政の伝道師」として全国を飛び回る。
    好きなものは妻とハワイと美味しいもの。2022年より現職。
    財政担当者としての経験をもとに役所や公務員について情報発信する「自治体財政よもやま話」(note)を更新中。

    • 主な著書

    『自治体の“台所”事情~“財政が厳しい”ってどういうこと?』(ぎょうせい)

    『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』(公職研)

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