【自治体通信Online レポート】
医師資格を持つ県職員を起用し毎日配信
静岡県は、緊急事態宣言中、広聴広報課のSNS(Twitter、LINE、YouTube)で、医師の資格を持つ県職員がコロナ注意喚起をする1分程度のショートムービーを土日も含む毎日配信し続けています。自治体からの情報が届きにくいとされる若年層が主なターゲットで、多くの反響が県民から寄せられています。静岡県が新たに取り組んでいる“ショートムービー広報”の効果やポイント等をレポートします。
テレビ・新聞離れが進む“スマホ世代”に正しい情報を伝える
現在の新型コロナウイスル感染第5波では10代~30代の若年層の感染者割合が拡大していますが、「テレビ・新聞離れ」が進んでいるこの世代は自治体からの情報が届きにくく、若年層を対象としたコロナ注意喚起の情報発信のあり方に多くの自治体が課題を抱えています。
静岡県広聴広報課も同様の悩みを感じていました。そこで開始したのが1分程度のショートムービーで情報発信するという新しい取り組み。静岡県にも緊急事態宣言の発令が発表され、8月18日以降、ショートムービーによるコロナ注意喚起を土日も含め毎日発信し続けています。
※下の動画はショートムービーの第1回の配信映像(Twitterの静岡県公式アカウント「静岡県庁わかものがかり」より)。
スマホ時代に何気なく視聴可能で、目の前にいる感覚で没入感を与えられるように縦長動画を採用し、完全視聴率を高めるためショートムービーを活用。SNSやネット上で情報収集をする傾向にある若年層へ情報を届かせるために、拡散力のあるTwitter、日常使いをするLINE、広聴広報課で力を入れているYouTubeを媒体として選択しました。
県民の“愛されキャラ”が出演、土日は企画もの
ショートムービーに出演しているのは医師資格を持つ県庁健康福祉部の後藤幹生参事。配信当日の夕方、広聴広報課職員がスマホで1分程度の動画を撮影。撮影した動画には速やかに字幕をつけ、上司に確認をした後、各SNS担当者が配信しています。
毎日の配信であるものの、業務を圧迫させないためスマホで撮影し、すぐに編集をすることで撮影後30分以内に配信ができる体制を取っています。
後藤参事は昨年度から新型コロナウイルス感染症対策に最前線で取り組み、年間100回以上も記者会見を担当。そのわかりやすい説明が好評で、県民から「参事」と呼ばれるなど、厚い信頼を得ています。後藤参事の下の名前から「ミッキー」というニックネームで呼ぶ県民もいるそう。
撮影できない土日の配信内容は、金曜日までにまとめて収録しています。休日は感染者数の推移等の速報情報を発信できないものの、SNSやメールで県民から寄せられた疑問・質問や「外出自粛による運動不足で太ってしまったが、どうすればいい?」など県民が関心をもっていそうなテーマを職員が後藤参事に質問する等の企画コンテンツを作成。飽きさせない工夫で、視聴者との距離感を縮めることに成功しているようです。
庁内外からの反響
県民からは「縦長で見やすい」「テレビで聞けない話を聞ける」といった反響があるほか、「こんな情報がほしい」というリクエスト、「ありがとう」「がんばって」という応援メッセージ、さらには「たまには休んで」と後藤参事を気遣う声も。
この取り組みの発案者で担当者の静岡県 知事直轄組織 知事戦略局 広聴広報課 企画報道班 主事の岸本 浩希さんは「スマホ画面に適正化された縦長のショートムービーは若年層に情報を届ける手段として有効だとの感触を得ています。1分程度の内容なので、編集やチェックも手間はそれほどかかりません。逆に凝りすぎずに“素”を伝えることが県民から共感を得ている要因になっているようです」と話しています。
庁内での注目度も高く、「速報性が高いショートムービーの手法は、防災等にも広げていける可能性があるのでは」との意見があるそうです。
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