【自治体通信Online 寄稿記事】
Yahoo!くらしチームがレポート(ヤフー株式会社・Yahoo!くらしチーム)
マイナンバーカードの取得率(人口に対する交付枚数率 )が51%を超え
(脚注)、いよいよ「マイナンバーカード時代」が本格発進しつつあります。国民生活や自治体業務におけるわかりやすい“目に見える変化”は、行政手続きのオンライン化でしょう。多くの自治体ではその準備に余念がなく、デジタル庁もオンライン化された際の“窓口”となるマイナポータルをより使いやすくするUI改修等を進めています。そこで、マイナポータルぴったりサービスと連携している“Yahoo!くらし”チームの 浜田クルミさん(Yahoo!くらし サービスマネージャー)のレポートとデジタル庁への取材を通じて、行政手続きオンライン化の現状と展望をお届けします。
Yahoo!くらしとマイナポータル
Yahoo!くらしは2021年の6月にオンラインでの行政手続きを開始しました。29種の手続きを130 ほどの自治体でスタートし、1年半弱で手続きは60種を超えています。連携された自治体も大きく伸び、現在550自治体を超え日々増加しています。
Yahoo!くらしでは、国がマイナポータルぴったりサービスで提供している標準様式を活用しています。ぴったりサービス(子育て、介護、被災者支援等、生活に必要な手続きについて、オンラインで手続きの検索や書類作成、電子申請ができるマイナポータルの機能)で自治体が手続きを入稿する際に標準様式を採択すると、自動的にYahoo!くらしのオンライン申請にも連携され、より多くの住民のみなさんに利用いただけるようになります。
標準様式のご利用にあたり、ヤフーとの個別契約手続き等は不要です。また、自治体と利用者の負担はなく、掲載から申請送信まで無料で提供しています。
手続き登録後、デジタル庁で承認され、1時間程度でYahoo!検索とYahoo!くらしに掲出されます。
Yahoo!くらしからの申請はぴったりサービスと同じデータ形式で自治体に届くため、連携による新たな手間はかかりません。「API経由欄」に「ヤフー株式会社」と記載がありますので、ヤフーからの申請であることはおわかりいただけます。
Yahoo! JAPANは多くのユーザー数を誇るサービスです。その利用者数を活かし、多くの住民とのオンライン申請の接点ができるため、利用者の拡大が期待できます。
また、インターネット企業ならではの利便性が高い機能を提供しています。たとえば、ログインしていれば基本情報の入力が不要であったり、普段使い慣れているYahoo! JAPANアプリだけで、手続き名の検索から申請、マイナンバーカードの読み取りまで、一気通貫した体験ができたりなど、住民の皆さんに便利に利用いただけるよう日々改善を続けています。
《「ぴったりサービス」の展望をデジタル庁に聞く》
■ 利用自治体の現状と今後
―ぴったりサービスを利用している現在の自治体数、過去半年の利用自治体数の推移を教えてください。
現在の自治体数は下のグラフのとおりです(ぴったりサービス経由で電子申請システムへ経由する手続も含む)。
今年度末までに電子申請を開始する目標で自治体に働きかけを行っており、自治体に行った実施予定のアンケートでは、
・子育て:約1,600自治体
・介護:約1,400自治体
・被災者支援:約1,000自治体
となっています。
また、引越し手続については、1,741全ての自治体でぴったりサービスの利用を予定しています。
―ぴったりサービスの利用自治体をさらに増やしていくため、どのようなことを未利用自治体に訴求していきたいですか?
ぴったりサービスは、無料で利用ができること、民間サービスと連携が可能となること、住民が利用するマイナポータル(ぴったりサービス)のUIにおいてマイナンバーカードの券面情報、連絡先の自動入力、項目間相関チェックなどの利便性向上に資する機能があること、マイナンバー利用事務系とのエンドツーエンドの接続は現時点においてマイナポータルのみが許可されていること等の利点があることについて説明していきたいと考えています。
―「Yahoo!くらし」からぴったりサービスのオンライン申請ができることについて、自治体にどのようなメリットがあると御庁ではお考えなのか聞かせてください。
国民の皆様が普段から使い慣れている民間サービスと連携することで、ぴったりサービスやその機能をより広く知ってもらい、使っていただけるようになります。ぴったりサービス利用の自治体にとっては、電子申請データの受け付け数拡大につながると考えています。
■ マイナポータルのUI改修&標準様式のプリセット
―なぜ、マイナポータルのUX・UIの抜本改善をすることになったのですか? どのような課題があったのでしょうか?
現行のマイナポータルは、画面の使い勝手として、情報量が多い、どのような機能があるかわからないといった課題があると認識しております。
これらの課題を解決し、ユーザーの利便性を向上させることを目指して、マイナポータルについて、少ない情報でわかりやすく簡単に手続きが行えるように、出産などのライフイベントや目的ごとに手続きを見つけられるようにすることや、簡単に必要な手続きや情報にたどり着けるよう、必要な情報に絞り、シンプルに分かりやすいデザインにすることを予定しています。
―マイナポータルでは、関係省と協力して、子育て、介護、被災者支援等の手続について、標準様式のプリセットを進めています。これについて、現在までの進捗状況を教えてください。
・子育て:49手続中15手続プリセット済(30.6%)
・介護:13手続中12手続プリセット済(92.3%)
・被災者支援:43手続中6手続プリセット済(13.9%)
となっています。
特に国民の利便性向上に資する31手続のうち、子育て・介護・被災者支援の27手続については全て標準様式プリセット済です。
導入した自治体からの評判は?
Yahoo!くらしが自治体にアンケートやインタビューを実施しているなかで寄せられた課題が、住民へのオンライン申請の浸透です。導入しても認知が取れずなかなか利用率が上がらないようです。
導入済みの自治体は、Yahoo! JAPANの認知度の高さや検索との連携からオンライン申請の入り口を作りやすく、住民への周知・利用拡大に成果を感じていただいています。
現在多くの自治体がオンライン申請の準備を進めています。Yahoo!くらしでは利用開始する自治体向けに2021年秋から定期的にオンラインセミナーを実施してきました。これまで約1,200 自治体にご参加いただいています。
2022年夏からはデジタル庁とオンラインセミナーを共催し、手続き登録のデモンストレーションや運用ノウハウの共有、当日いただいた質問への直接回答など、過去セミナー時に自治体職員からの要望が多かったプログラムを取り入れています。
2022年11月24日、30日にも開催を予定しています。下記のURLからプログラムの詳細をご覧いただけるほか、お申込みもできます。
https://kurashi.yahoo.co.jp/localgovernment-lp/procedure-online/seminar/
行政手続きオンライン化についてのヤフーのビジョン
ヤフーは「情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。」をミッションとしています。ヤフーがインターネット企業として長らく培った技術力やノウハウで、日本のデジタル化に貢献すべくオンライン申請を始めました。民間であるヤフーと国、自治体と連携して行政領域のデジタル化を推進します。
オンライン申請拡大に向けて自治体のサポートを続けることで、利用者の利便性を高めたいと思っています(Yahoo!くらしオンライン申請への掲載についてはhttps://kurashi.yahoo.co.jp/localgovernment-lp/procedure-online/をご覧ください)。
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■ Yahoo!くらしチーム 浜田クルミ(はまだ くるみ)さんのプロフィール
Yahoo!くらし サービスマネージャー
2007年入社。編成、トップページ企画を経てYahoo!くらしのマネージャーを現任。デジタル庁と行政手続きのオンライン連携など、自治体業務のデジタル化を社内外で推進。
<問い合わせ連絡先>jichitai-info-partnerdev@mail.yahoo.co.jp