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自治体職員の「装合計画」#15(元東京都職員/イメージコンサルタント・古橋 香織)
見た目に隙を作るな!

「税務担当の服装」について考える

    プロフィール
    古橋 香織
    《本連載の著者紹介》
    元東京都職員/イメージコンサルタント
    古橋 香織ふるはし かおり
    早稲田大学を卒業後、東京都庁に入庁。都職員時代は消費者行政や東京都議会議会局に勤務。在職中にイメージコンサルティングを学び、2020年1月に東京都を退職し独立。2021年11月に『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(ぎょうせい)を上梓。最近は個人のイメージコンサルのほか「公務員×服装」に関する研修を多くの自治体で実施している。色彩検定1級、UC級所持。

    元東京都職員でイメージコンサルタントの古橋 香織さんによる、見過ごされがちだった「公務員の装い」をテーマとした本連載。今回は税務担当の自治体職員が選ぶべき服装を考えました。難しい対応が多く、緊張度の高い業務をうまく進められる服装があるんです!

    税の仕事がうまくいく服装とは?

    こんにちは。イメージコンサルタントの古橋香織です。今回の連載では、共著者のひとりである原田 知典さん(神戸市役所)にご献本いただいた『自治体の課税担当になったら読む本』(学陽書房)を参考に、税務担当者の服装について書いていきます。
    (参照:【自著書評】自治体の課税担当になったら読む本)


    『自治体の課税担当になったら読む本』(学陽書房)の表紙カバー

    多くの公務員が配属される税の現場。責任が重く、事案ひとつひとつが大変という声も聞かれます。税の仕事がうまくいく服装って、一体どんな装いなのでしょうか。

    公平・公正な税の職場

    「納税」は日本国民の三大義務のひとつであり、住民に公共サービスの提供するための、自治体にとっての重要な財源となります。それを司る税務部門は、法令や税務の複雑な知識を使いながら日々の業務を遂行しています。金銭を扱う部署であるため、たったひとつの小さなミスでも外部に大きく報道されてしまう、間違いが決して許されない気の抜けない職場といえるでしょう。

    そして、税の仕事を語る上で忘れてはいけないことが「窓口対応が難しい」ということです。

    税に関する難解な言葉をわかりやすく来庁者に伝えることができないと、相手からの納得を得ることはできません。このため激しいクレームに遭遇しやすい部署のひとつであるとも言えるでしょう。机上でも住民対応でも、仕事に臨む上での緊張感が高いということが特徴です。

    税の仕事がうまくいく服装って…?

    税務担当者の服装のノウハウ

    実際に税務の現場に従事する職員の方や参考文献、そして過去の私のイメージコンサルティングを受けられたお客様の話をまとめても、やはり税務担当として必要なことは「難しい言葉をわかりやすく説明する能力」であるということでした(他には難解な法律用語に対する免疫? などもありました)。
     
    さて、この「説明力」と服装、一見全く関係ないように見えますが、言葉と服装の関係を切り離して考えてしまうのはナンセンスです。なぜかというと服装は、身につけている者の発言の説得力を強めたり、逆に弱めたりもする、コミュニケーションの第二の要としての役割を果たします。時には服装や佇まいでその人の本音がチラ見えしてしまうこともあるのです。
     
    例えばみなさんは、誰か(上司でもテレビのコメンテーターでも構いません)のコメントよりも、その人が身につけているものが気になって発言の内容が全く耳に入ってこない、という経験をしたことはありませんか?
     
    この現象からもわかるように、相手に自分の話を聞いて欲しい、説得力を持たせたいときほど、見た目に余計な情報を乗せてはいけません(キャラ立ちさせたいという要望がある場合は別です)。ここでいう余計な情報とは、例えばワイシャツのポケットのインクの滲み、色やデザインが業務内容にそぐわない服装などのことです。すなわち税務部門では「見た目に隙を作らないこと」が他部署よりも重要なポイントとなります。

    ではどうすればよいのでしょう? 答えは簡単です。真剣に話をしたいときほど「シンプル・ベーシック」を貫くことがおすすめです。
     
    「シンプル・ベーシック」とは決して「地味を貫け」という意味でありません。ファッションに関わる者の共通認識として、洗練されたベーシックほど美しいものは存在しません。このため税務担当者の装いは「ベーシックを極める場」としての心構えを持つと、毎日の服選びが戦略的になり、仕事に高いモチベーションを持って臨めるはずです。

    税務関係者の服装イメージとは?

    ポイントはこの3つ!!

    ドレスかカジュアルかであれば断然ドレス寄りのものを!

    装いを区分けする代表的な軸として「ドレス」と「カジュアル」があります。ドレスとは、フォーマルな場に相応しい堅めな装い、カジュアルとはドレスを崩したラフな装いのことです。
     
    税務担当者の場合は、さまざまなバックグラウンドを持つ住民と接する上、来庁理由は前向きのものではないことがほとんどです。このためきちんとした装いをするに越したことはありません。
     
    ちなみに仕事服の分野では、究極のドレススタイルはスーツになります(このためワイシャツの正式名称は「ドレスシャツ」といいます)。かといって、今のご時世、暑い時期でもネクタイをしてスーツを着ましょうというわけではありません。大切なのはシルエットと素材です。男女ともにジャストサイズかつ光沢のある素材のものを取り入れると、自然と装いはドレスに寄っていきます。

    色は落ち着きをもたらす「寒色系」がおすすめ

    青は「セロトニン」という落ち着きをもたらす脳内物質を分泌させます。このため特に重たいクレームを受けことが多い税務担当者は、赤などの暖色系よりも青系統の寒色系を装いに取り入れることがおすすめです。

     
    色の力は思っている以上に大きいので、窓口対応に苦手意識がある方はぜひ青系を有効活用してみてください。相手から見える上半身や文房具に取り入れてみるのも良いですね。

    「他者目線」のあるおしゃれを

    服選びは「自分がどうありたいか」と「他者からどう見られたいか」の葛藤の連続です。一期一会のエンカウント業務が多く、時にハードな事案を受けることもある税務担当は、服選びの軸を「他者にどう見せたいか」という視点にスライドしてみてください。

    相手のために服を選ぶという目線を持つことによって、来庁者からの印象も大きく変わります。その結果、自分自身の業務の質や仕事への心構えも大きく変わってくるはずです。

    今回のまとめ

    いかがでしたでしょうか? この記事で提案している「シンプル・ベーシック」はどのシーンでも80点以上を獲得できる万能な服装です。

    決して「無難にまとめろ」と言っているわけではありません。ハードな業務の息抜きに、おしゃれときちんと感が共存する服装を探求してみてくださいね。
    (「『服装のあり方』を見直す自治体が急増中!~今なぜ『公務員×服装』がトレンドなのか?」に続く)


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    ■ 古橋 香織さんの著書紹介

    『公務員男性の服~普通の服で好印象・信頼・清潔感は出せる』(ぎょうせい)の表紙カバー

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