【自治体通信Online 寄稿記事】
自治体職員の「装合計画」#5(元東京都職員/イメージコンサルタント・古橋 香織)
元東京都職員でイメージコンサルタントの古橋 香織さんによる、見過ごされがちだった「公務員の装い」をテーマとした本連載。今回は、これからの季節、頭を悩ませている人が多い「公務員のクールビズ」について。ネクタイだけ外したスーツ姿から卒業してみませんか?
コツをつかんで「Coolな公務員」に!
こんにちは。古橋香織です。5月1日より多くの自治体でクールビズが開始されました。2005年に実施されて以降、すっかりおなじみになったクールビズですが、残念ながら界隈は一向にクールビズの装いが洗練される兆しはありません(失礼)。
それに反してコロナ禍や働き方改革の影響もあり、メンズファッションはよりカジュアル化の流れが強くなりました。選ぶアイテムの幅も広くなっており、「こんな時は何を着るのが正しいの?」と悩むことも増えています。
今回の記事では、そんなクールビズのお悩み共有や気をつけるべきポイントをお伝えします。
今この記事を読んでいるあなた、スーツからネクタイをとりあえず外しただけにはなっていませんか? クールビズの装いはコツさえつかめば「涼しい」「好印象」「カッコいい」の三拍子が揃うことは十分可能です。ぜひ本記事を参考にしてみてください。
クールビズ、一体何に悩んでる?
先日、私のTwitter(https://twitter.com/kaori_ccms)で「公務員の服装に関する大規模アンケート」を実施させていただきました。回答いただいた皆様、ありがとうございました!
集まった回答の中で特に目立っていたのが、クールビズの時期の服装の悩みでした。なかでも「弊自治体は絶賛クールビズ期間ですが、住民や議員は関係ないよね、だから何着ていいか悩むのよ」といったものです。やはりみんな頭を抱えているんだなーといった印象です。
職員の服装に関しての留意事項は、大概の自治体がHPで周知したり目立つところに張り出したりしていますが、それが100%周知されているかというと限界があります。特に現役だった頃に暑い夏でもネクタイ着用で頑張っていた年配の人からの目線が厳しいようです。
「汗だく」ほど印象の悪いものはない
クールビズ期間を迎えるにあたり頭に入れておいて欲しいのが、自治体の職場環境の大前提。日本全国いろいろな公務員の方に話を聞くと、ほぼ100%「執務室が暑すぎる」という回答をもらいました。中には午後になるとエアコンが切れるという話も…。
それって同時に仕事の集中力も切れません?? と言いたいところですがそれは置いておくとして、皆さん夏場はとても「過酷な」環境で職務にあたっているようです。
それゆえ無意識のうちに「汗だく」になりがち。特に男性の汗は女性より皮脂量が2倍多いため、汗が嫌な臭いに変わりやすい傾向にあります。スーツ着用は相手に敬意を表すための1番手っ取り早い装いですが、いくらスーツでカチッと決めたからといっても「汗だく」だと好印象のかけらもありません(「自分たちだって涼しく働きたいけど、そんな簡単に言わないで欲しい」―という声が出そうですが…)。
そういう背景もあり、まずは汗だくからの脱却を図るために、シルエットや素材に工夫をしたクールビズはぜひとも積極的にチャレンジしたいところです。
基本的な仕事服の選び方で押さえるべきキーワードは【どんな「外部の人」と会っているか】です。自治体にとっての「外部の人」とは、住民、議員(首長)、民間企業に所属する人たちのこと。では、それぞれ一体どんな着こなしが適しているのでしょうか?
シチュエーション別カジュアルダウンのポイントを考えてみました
そこで私の方で、失礼にならない組み合わせを考えてみました。なおクールビズの期間は装いのカテゴリーでいうとビジネスカジュアルになりますが、装い自体はカジュアルにしても価格帯をカジュアルにするのは絶対にNGです。特に管理職は一般職員との外見との差が出やすいということも覚えておきましょう。
住民編
住民対応をしている部署は建物の入り口に近いため夏場はとても暑いことが多いです。このため積極的にクールビズに挑戦すべき部署だといえます。では、一体どんなことに気をつけたら良いかというと、
①ボトムスは紺などの落ち着いた色味を
②台襟付きポロシャツで上半身はスッキリ見せ
③靴はきちんと見える革靴を
などに気をつけましょう。
自治体によっては、指定のポロシャツを作成している場合もあります。しかしながら自治体で作成したポロシャツは襟のクタっとした鹿の子ポロの場合が多いため、どうしてもキリッとした印象にするのは至難の技です。
そういう時ボトムスは必ずスラックスにして「堅」&「柔」のミックスでいきましょう!
議員(首長)編
議員は自治体の外部の人ですが、首長の場合は執行部側の人であるため、クールビズを推進しているようであれば特段、気にする必要はないと思います。ただ両者に共通する点はエグゼクティブであるという点。ゆえに「服装は相手への敬意」であるということを踏まえて、以下のポイントに気をつけましょう。
①ジャケット着用(夏場は麻が入った素材が良いです)
②なるべく長袖(執務室ではめくって過ごしても構いませんが、ジャケットを着用するということは自動的に長袖になりますね)
③紐のある革靴を
以上の3点に気をつけてみましょう。
なお、首長や議員のいる場所は執務室よりも冷房が効いている可能性が高いです。相手の元に赴く直前に身なりを整えるのが良いですよ。
民間企業編
最近はご存知のとおり、官と民が平等に協働する機会が増えてきました。民間企業も行政と同じようにクールビズを推進していますが、民間の装いって洗練されていますよね…。
特にクールビズの期間はその差が歴然となります。そういう時こそ、相手のレベルに服装を近づける訓練だと思いましょう。こちらの着こなしの見本を見せるくらいの気持ちが大事です。
そこで考えてみたのは以下のポイントです。
①軽い打ち合わせであれば「ジャケパン」で。
②サマージャケットを着て少しおしゃれに見せるのも◎
③管理職はぜひポケットチーフを
相手の企業の装いのレベル感を事前調査し、同程度もしくは少しフォーマルに寄せたカジュアルダウンをするのがおすすめです。ザ・公務員風な白シャツ黒ズボンよりも、遥かに好印象です。
もはや行政がお高く止まっている時代はもう終わり。服装だって相手に寄り添う必要があるのではないでしょうか。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか? そもそもクールビズを推進しているのは行政なので、役所にいる人間がどんどん取り入れていくべきものなのではないかと私は考えます。
本来クールビズ期間のビジネスカジュアルの装いは選ぶアイテムの幅がぐんと広がるため着こなしのバリエーションも豊かになります。自信なさげに着こなすよりも「これが見本だ」くらいの心意気も大事ですね。
是非、いろいろなアイテムを少しずつ取り入れてみてください。
(「《“猛暑対策”“機動力”!? 》『夏の選挙事務』の服装を徹底的に考えてみた」に続く)