【自治体通信Online 寄稿記事】
地方連携推進を担当している都庁職員の“仕事録”#2(東京都 政策企画局 総務部 渉外課・宗像 真大)
本連載は「全国各地のために東京だからこそできる貢献ってなんだろう?」こんな想いを抱いて各地域との連携推進に試行錯誤しながら取り組んでいる都庁職員の仕事録。第2回はポータルサイト「東京と全国各地との共存共栄」の立ち上げにまつわる“人知れぬドラマ”等をお届けします。
東京都で地方連携推進を担当している宗像です
皆様こんにちは。東京都で地方連携推進を担当している宗像です。
今年の冬は積雪も多く、寒い日が続きましたね。
個人的な話ですが、冬はスノーボード、夏はダイビングなど、これまで四季に応じたシーズンスポーツを楽しんでいました。
でも、このところは自粛期間が続いて、なかなか旅行できていません。毎日悶々とする日々が続きますが、行きたい場所をリストアップして、想像しながら楽しみを増やしています。状況が良くなったら北海道のニセコと沖縄県の慶良間諸島に行こう! と現在計画中です。
さて、本題に入りたいと思います。前回に引き続き、東京都が取り組む地方連携推進について、お話しさせていただきます。
前回までの内容については、以下のリンクから読むことができますので、是非ご覧ください。
(参照:「【都庁職員の寄稿連載】東京都の“意外なプロジェクト”の裏側」
地方連携推進に向けた東京都の取組
“『東京対地方』という二律背反の関係ではなく、お互いに知恵を出し合って一緒に成長を目指す関係である方が、本当の意味で地方創生につながる”。
前回の記事でもお話しさせていただきましたが、東京も含めたすべての地域をどのように盛り上げていくかを考えていくことが大事です。
つまり、引き算ではなく掛け算の発想です。
自治体同士で1を奪い合うのではなく、自治体同士で協力して1以上に増やして分け合った方が、双方にとってメリットが大きいはずであり、それが真の「地方創生」であり「共存共栄」の姿だと考えています。
そのためにも、お互いの自治体の強みや魅力を知り、それらを結びつけることが大切です。
そこで、東京都では現在、各自治体と協力して双方にメリットがある80近くに渡る連携事業を進めています。政策企画局では、事業部門とともに、東京だけでなく各地域も盛り上げていくための事業を日々検討しています。
-Column-「政策企画局 総務部 渉外課」の業務 ②
こんにちは。宗像の同僚で大久保 温子と申します。今回は、宗像と同じ渉外課の中で私が担当している「地方分権の取組」について、簡単にご紹介します。
私たちは、地方自治体が、自らの発想と創意工夫で地域の課題解決を図れるよう、地方分権に向けた取組を進めています。みなさんの自治体でも取り組んでいると思いますが、私たちは、地方分権の取組と、各地域が互いに知恵を出し合って一緒に成長していく地方連携の取組を車の両輪と考え、この二つの取組を進めていくことが、真の地方創生である「共存共栄」につながっていくと考えています。
今、私が取り組んでいるのは、自治体が事務・権限の移譲や地方への規制緩和等に関して国に提案を行う「提案募集方式」です。しかし、庁内で制度の認知度がまだまだ低いため募集チラシをつくるなど工夫をしています(募集にあたって工夫している自治体があればぜひ教えてください)。東京都では毎年国へ提案をしており、昨年は、水道関連の手続の電子化を提案しました。これは、他の自治体も直面している課題であったので、複数の自治体から賛同の声をもらいました。東京だけでなく他の自治体も問題に感じていたことを提案・解決できたことは仕事の励みになったなあと感じたので今後もより一層この制度を活用していきたいと思っています。
こういった提案を通じて一つ一つの課題を解決していくことで地方分権を推進し、各地域の魅力向上や日本全体の持続的成長にもつながると信じています。これからも様々な工夫を重ねながら、地方連携と一緒に、積極的に取り組んでいきたいと思います(下画像は「令和4年度提案募集方式チラシ」)。
ポータルサイト「東京と全国各地との共存共栄」の立ち上げ
新たな連携事業の1つとして、ポータルサイト「東京と全国各地との共存共栄」(https://www.kyozon-kyoei.metro.tokyo.lg.jp/)を立ち上げ、2021年4月から情報発信を開始しました。
目指したのは「東京だけでなく全国各地の魅力が詰まった宝箱」です。このポータルサイトを開くと、各自治体のイベント・特産品の情報や、自治体同士が連携して取り組む事業の紹介などが溢れ出てくる。そして、より多くの住民の方々が全国各地の魅力を感じ、各自治体の職員の方々も参考事例を見つけられる、そんな場所にしたいと思いました。
これまでは、東京都を含む各自治体がそれぞれで情報発信を行ってきましたが、住民の方々にとって自分が住んでいる自治体以外の情報は、余程の興味を持って調べてもらわないと、なかなか辿り着いてもらうことができません。
そこを網羅的に、各自治体が連携して取り組んでいる事業やイベントなどを情報発信し、皆さんに関心を持ってもらうことが本サイトの狙いです。
ただ、制作に当たっては、課題も沢山ありました。
正直なところ、ホームページに関する知識なんて、大学でサークルのホームページを作った程度です。大きなブランクがありますし、知識も微々たるものでした。
「プロに企画・運営してもらったほうが、当然いいサイトができるに決まっている」
ずっとそう思っていました。効果的に情報発信を行っていくためにも、完成度が高く洗練されたサイトで、企画もコンテンツもプロフェッショナルにお願いしたほうがいいに決まっています。
私の知識なんてたかが知れているし、ポータルサイトを作ること以外にも仕事がいっぱいあるんだよなぁ…と。
でもある時、職場での打合せの中で何気なく出てきた言葉があるんです。
「事業者に丸投げするんだったら、東京都じゃなくてもできるよね?」
ハッとしました。
私たちが直接汗をかくからこそ、その自治体が東京に何を求めるのかを知ることができる。そういった需要を捉えるために、各自治体を回って直接意見交換もしている。
ポータルサイトも同じ。どうやって掲載する情報を収集して、どうやって表現して、どうやって大勢に見てもらうか。そこには各自治体の需要につながる情報が含まれていて、各自治体が東京に何を求めているのかを知る材料になる。
一番重要なことを知る機会を自ら潰そうとしていたと、気づいた大きな瞬間でした。
サイトオープンに向けて
そこからはサイトオープンに向けて走り続けるのみです。ベースとなるサイト構築は事業者に委託しましたが、そのための指示だけでバタバタ。こちらの熱意は事業者にも伝わり、ミーティングでもサイトオープンに向けて活発な議論が進みました。ですが、ミーティングの度に新しく出てきた専門用語を勉強する日々が続きました。
実は、このポータルサイトのデザインは、いくつかのデザイン案の中から都知事が直接選定したものなんです。
東京都のカラーである「緑」を、昨今のWebデザインのトレンドに合わせてビビッドに表現することで、特にSNSの利用率が高い20~40代前後の若い世代に好まれるようなデザインにしています。また、最上部には全国各地の画像をスライドで表示し、東京と全国各地が手を取り合っているようなイメージに仕上げています。
この最上部の全国各地の画像も、東京都から各自治体にお願いして、各自治体がオススメする景色の写真などを提供いただいて掲載しています。
2020年10月からサイト構築を開始し、2021年4月の知事定例会見でプレスリリースし、無事に一般公開することができました。
掲載する情報の収集は毎日のように
一般公開の儀が終わり、ほっとしたのも束の間、そこからの運営はすべて私たちで考えなければなりません。
次回は、様々な課題が山積する中、まだ立ち上げたばかりで知名度もないポータルサイトを盛り上げていくために行った取組などについて、お話しできたらと考えています。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。
(「【脚で情報を集める都庁職員】目指すは各地の魅力が詰まった“宝箱”!」に続く)
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東京都 政策企画局 総務部 渉外課のプロフィール
東京都 政策企画局 総務部 渉外課では、国や各道府県市等との連携・調整を所管しています。
政策形成に必要な情報を収集し、先進的な施策の推進につなげていくため、国や全国知事会等と連携や調整を行っています。また、九都県市首脳会議など近隣自治体等との連携・協議を行うことにより、新型コロナウイルス感染症への対応など都域を越えた広域的行政課題に対処しています。さらに、活力ある地域社会の実現に向け、地方分権の取組や共存共栄など全国各地との連携を推進しています。
〈政策企画局 総務部 渉外課 地方連携推進担当の連絡先〉
電話番号:03-5388-2024
メール:S0014204@section.metro.tokyo.jp