民間企業の取り組み
学校における管理業務の効率化
給食費管理の「進む公会計化」と、学校現場の作業軽減で残る課題
日本ソフトウェアマネジメント株式会社
製品企画部 第1グループ 課長 小池 有希
製品企画部 第1グループ 松井 瑞菜
※下記は自治体通信 Vol.30(2021年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
教職員における業務負担の軽減をおもな目的として、これまで私会計だった給食費の公会計化が各自治体で進められている。こうした状況に対し、自治体向けに各種システムの導入支援を手がけている日本ソフトウェアマネジメントの小池氏は、「公会計化に向けては2段構えの取り組みを行っていく必要がある」と話す。その詳細を、同社の松井氏を交えて聞いた。
公会計と私会計、同時に管理できるシステムを
―「給食費の公会計化」に向けて準備を進めている自治体は多いのでしょうか。
小池 文部科学省の調査結果によれば、令和2年11月時点で、給食費の公会計化に取り組んでいる自治体は6割弱。全体でみれば、半数以上で準備は進んでいるものの、実際に公会計化を実施できている自治体は3割に満たないという指摘もあります。私会計の場合、給食費徴収の管理や保護者への対応などの業務は教職員が担うことに。教職員の業務負担を軽減し、本来の教育業務に注力してもらうためには、できるだけ早急な公会計化の実施が必要でしょう。
―公会計化を実施していくうえでのポイントはなんですか。
松井 作業軽減を行うには給食費管理システムの導入が必要ですが、その際、修学旅行費や卒業アルバム制作費といった学校徴収金なども考慮すべきです。給食費が公会計で管理されるようになる一方で、学校徴収金は私会計での管理を継続する自治体がほとんど。その際、給食費管理システムと学校徴収金管理システムを別々のベンダーから導入すると、2倍の運用の手間とコストがかかってしまいます。
小池 そのため、公会計化にともないシステムを導入する際は、私会計管理も同時に行えるシステムを選ぶべきですね。当社が提供している学校給食管理システム『給食マネージャ』と、学校徴収金管理システム『徴収マネージャ』ならそれが可能。こうした対応ができるのは、長年にわたって学校における管理業務のアウトソーシングを担ってきた当社ならではだと自負しています。
ただ、業務改善という観点で考えると、システムの一元管理を行うだけでは不十分。学校現場には、まだ残された課題があるのです。
出納帳に自動記載することで、本当の作業軽減につながる
―残された課題とはなんですか。
小池 たとえば、教材の購買管理。発注と納品管理、事業者への支払いなどの管理は、大変な作業です。また、学年・生徒別の出納帳管理。最近、保護者から「個別の出納帳を出してほしい」という依頼が多く、学年単位の管理も大変なのに、「この生徒はこの教材を買ったもしくは買わなかった」といった管理は、かなりの現場負担になります。
松井 それに付随しますが、値引きによる生徒ごとの端数管理も大変です。たとえば、200円の雑誌を500冊買ったとします。それに値引きが発生した場合、それを購入者数で割ると、小数点が発生するケースが多い。そこまで事務の方が管理するとなると、負担が大きくなってしまいます。
―どうすればいいでしょう。
小池 『徴収マネージャ』なら、購買管理や値引きといったものを含め、生徒別に出納帳への自動記載をすることができます。この機能により、本当の意味で学校現場の作業軽減につながると言えるでしょう。
―学校現場に対する今後の支援方針を教えてください。
小池 当社システムの提案で、さらなる学校現場の支援を行っていきます。今後、私会計を公金または準公金とする選択肢もあります。給食費と学校徴収金の一括徴収が可能になることで作業軽減につながり、手数料も不要となるからです。そうした移行をスムーズに行うためにも、システムの一元管理をおススメします。また、システム管理のアウトソーシングサービス『まるごとスマート』の提供も行っているので、ぜひ気軽に問い合わせてほしいですね。
小池 有希 (こいけ ゆき) プロフィール
神奈川県生まれ。平成9年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。料金徴収システムや会計システムなどの開発業務を担当。平成24年から、学校徴収金の管理システムを普及・拡大する業務に携わる。
松井 瑞菜 (まつい みずな) プロフィール
平成9年、神奈川県生まれ。令和2年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。学校徴収金の管理システムを普及・拡大する業務に携わり、システム操作研修や新規製品企画を担当している。
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