民間企業の取り組み
ネットワーク環境の見直し
テレワークに必要な新しい通信手段「格安閉域LTE」という発想
ユニアデックス株式会社
エクセレントサービス第一本部 アカウントサービス第一統括部
システムサービス三部二課 グループマネージャー 松下 勉
コロナ禍や総務省の積極的な推進により、テレワークを検討・導入する自治体は増えている。しかし、「セキュリティを担保できるか」「コストはかからないか」といった課題に直面し、本格的に進められない自治体も多い。これに対し、自治体や民間向けに情報セキュリティ支援を行っているユニアデックスの松下氏は、「そのような課題を解決する方法がある」と語る。同氏に詳細を聞いた。
※下記は自治体通信34号(Vol.34・2021年11月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
端末を外に持ち出すには、従来と異なる環境が必要
―自治体がテレワークに取り組むうえでのポイントはなんですか。
一番は、いかにセキュリティを担保できるかですね。これまで「三層分離」の考え方のもと、庁舎内の閉じたネットワークで作業が行われていましたから。端末を外に持ち出して作業する場合は、従来とは異なるアプローチでセキュアな環境を構築する必要があるでしょう。さらに、利便性の問題もあります。たとえば、セキュリティを担保するためにさまざまな追加の認証が必要になれば、職員の日常業務に負担がかかってしまいます。そしてコスト。財源が限られているなか、新たなシステム構築や専用端末の導入に自治体は大きな予算をかけることができません。
―そんななか、自治体はどのような施策を行っているのでしょう。
私が自治体の現場で実際に話を聞くなかで、よく出てくるのがVPN*1や閉域SIM*2を使った通信です。VPNは、設計の柔軟性が高く、比較的低コストで導入できるのが特徴と言えます。ただ、認証が複雑なほか、過去に不正アクセスが確認されたことから、セキュリティを不安視する声も。一方の閉域SIMは、セキュリティ面の信頼性も高く、接続手順も簡単なことから多くの自治体が注目・検討しています。ただ、それでも課題はあります。
―どのような課題ですか。
パケット量の上限到達や電波状況などにより、つねに安定した環境下で使用できるわけではないという点ですね。また、端末には閉域SIMを物理的に差し込むSIMスロットが必要なため、利用可能な端末が限定されてしまい、結果として導入コストがかかってしまうケースがみられるのです。
そこで当社は、そうした課題を解決するためのソリューションを自治体向けに提供しています。それが、クラウド型ネットワークサービス『Wrap®(ラップ)』です。
α・βモデルにも、柔軟に対応ができる
―詳細を教えてください。
世界中で幅広く利用されている、厳格なセキュリティの通信規格「LTE*3」をインターネット上で実現することができる「LTE over IP*4」の技術を採用した、「仮想LTE」によるネットワークサービスです。特定キャリアの4G通信サービスは必要なく、Wi-Fiや自宅のインターネット回線などでも閉域SIMと同等の強度をもったセキュアかつ安定した通信が可能に。そして、ソフトウェアSIMによるネットワーク認証を用いることで、パソコンを立ち上げるだけで通常の業務ができる「ゼロタッチ接続」を実現。また、暗号化機能を使えば、『Wrap®』と接続できない端末ではファイルを開くことはできません。さらに、ソフトウェアSIMをインストールするだけなので、SIMスロットは不要です。そのため、従来の端末を使用することができ、コスト削減につながります。言わば、「格安閉域LTE」ですね。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
『Wrap®』の普及により、自治体のテレワーク推進に貢献していきたいですね。『Wrap®』はα・βモデルに対応できるほか、SaaSサービスにおける柔軟な拡張も可能。「テレワークを検討しているがどうしたらいいかわからない」という自治体は、ぜひ気軽に相談してほしいですね。
松下 勉 (まつした つとむ) プロフィール
昭和57年、静岡県生まれ。平成18年、ユニアデックス株式会社に入社。ID管理、監視等の専門部署を経て、平成28年より自治体をはじめ、さまざまな企業のシステム基盤の構築、運用を担当。令和3年より、自治体担当部署のグループマネージャーとして従事している。
ユニアデックス株式会社
設立 |
平成9年3月 |
資本金 |
7億5,000万円 |
売上高 |
1,310億円(令和3年3月期) |
従業員数 |
2,456人(令和3年4月1日現在) |
事業内容 |
情報・通信システム構築にかかわる企画・設計・開発の受託、コンピュータシステムの運用・管理の受託、ハードウェア・ソフトウェアの販売・賃貸ならびにソフトウェアの開発、コンピュータシステムの構築・導入・利用およびソフトウェア開発に関する情報ならびにサービスの提供など |
URL |
https://www.uniadex.co.jp/ |
お問い合わせメールアドレス |
ual-muni-g@ml.uniadex.co.jp |
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