民間企業の取り組み
教育現場の負担軽減
給食費の公会計化で発生する負担は、アウトソーシングとDXで乗り切れ
日本ソフトウェアマネジメント株式会社
営業部 小松崎 裕
製品企画 松井 瑞菜
※下記は自治体通信 Vol.42(2022年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
文部科学省では教員の業務負担の軽減などを目的に、これまで私会計だった学校給食費の公会計化を促進しており、各自治体も徐々に公会計化を進めている。そうしたなか、自治体向けにシステム導入を支援している日本ソフトウェアマネジメントの小松崎氏は「給食費の公会計化で、教育委員会の現場が混乱することが予想される」と話す。その理由と対策を、同社の松井氏も交えて聞いた。
教育委員会の負担は増えても、職員数は増えない
―給食費が公会計化されることによる問題はなんでしょう。
小松崎 教育委員会における、職員の負担が増えることです。これまで給食費は私会計のため、学校ごとに管理していましたが、その業務がすべて各自治体の教育委員会に移管します。しかも、業務が移管しても、教育委員会の職員数が増えるわけではありません。文部科学省の調査によると、給食費に関する業務時間は1年間で1校あたり190時間と報告されています。域内に100校あれば、年間1万9,000時間の新しい業務が、教育委員会で発生するのです。
松井 公会計になっても、引き続き学校に任せるという選択肢もないわけではありません。しかしその場合でも、公会計化されたことで、これまで教材費などの学校徴収金と一緒に管理していた給食費を分けなければいけません。つまり、学校の負担が増えてしまうのです。教職員の負担が増えるのは本末転倒なので、やはり教育委員会が引き受けるしかないのです。
―どのように対策を講じればいいでしょう。
小松崎 教育委員会で新しく発生する業務を、丸々アウトソーシングさせる方法があります。それが、当社が提供しているアウトソーシングサービス『まるごとスマート』です。具体的には、児童生徒の情報や保護者の口座情報などをシステムに落とし込み、徴収および未納状況などを当社が一元管理します。システム内の情報は、学校や教育委員会も閲覧できますので、リアルタイムに情報を共有することが可能。なお、学校徴収金も扱えますので、教職員のさらなる業務負担の軽減にもつながるのです。なお、今回『まるごとスマート』には新たな機能が追加されています。
デジタル化によって、保護者との連絡がスムーズに
―それはなんでしょう。
松井 年間の給食費引き落とし日の事前連絡や、給食提供日の変更通知などに関する封入・封かんも『まるごとスマート』で請け負っていたのですが、これらの業務をデジタル化しました。それが、『デジタル通知システム』です。こちらは、デジタルでコミュニケーションを行うため、先生から通知書を預かった児童生徒が保護者に渡し忘れるといったコミュニケーションロスが発生しません。また、『まるごとスマート』のシステムと連携させることで、給食費や学校徴収金の納入状況をまとめて保護者が確認することが可能。そのため、もし引き落としが不能だった場合の細かい連絡も、システム上で簡単かつ確実に行えるのです。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
小松崎 『まるごとスマート』を提案することで、給食費の公会計化にともない教育委員会にかかる大きな負担を軽減したいと考えています。また、『デジタル通知システム』により、教職員の負担軽減にも貢献してきたいですね。
松井 『デジタル通知システム』を活用すれば、紙や電話でやりとりするより、より保護者とのコミュニケーションが円滑になります。たとえば、児童生徒のアレルギーが新たに見つかった場合も、保護者から確実かつスムーズに、学校に伝えることが可能です。ちなみに、『デジタル通知システム』を導入すれば、DX予算として計上することができます。このように、自治体のDX推進の観点からも支援をしていきたいと考えています。
小松崎 裕 (こまつざき ひろし) プロフィール
千葉県生まれ。自社製品の営業担当として、給食費管理システムの販売業務に携わる。
松井 瑞菜 (まつい みずな) プロフィール
平成9年、神奈川県生まれ。令和2年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。学校徴収金の管理システムを普及・拡大する業務に携わり、システム操作研修や新規製品企画を担当している。
日本ソフトウェアマネジメント株式会社