※下記は自治体通信 Vol.55(2024年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
DX推進の機運が高まっている昨今、各自治体は積極的に業務のデジタル化を図っているが、学校の購買管理業務は、まだ紙ベースで行われているケースが多い。そうしたなか、自治体に対してデジタル活用支援を行っている日本ソフトウエアマネジメントの本田氏は、「民間の事業者側の取引環境が変化している今こそ、学校の購買管理業務のデジタル化を早々に進めるべき」と話す。いったいなぜなのか。同社の犬飼氏も交えて詳細を聞いた。
日本ソフトウエアマネジメント株式会社
事業推進第1部 第2グループ 係長
本田 拓美ほんだ たくみ
平成3年、神奈川県生まれ。平成27年、日本ソフトウエアマネジメント株式会社に入社。通信業務におけるシステムの受託開発に携わり、令和3年より『徴収マネージャ』や購買管理システムなどの製品開発を担当。
日本ソフトウエアマネジメント株式会社
事業推進第2部 第1グループ
犬飼 日菜いぬかい ひな
平成11年、神奈川県生まれ。令和3年、日本ソフトウエアマネジメント株式会社に入社。学校徴収金の管理システムを普及・拡大する業務に携わり、システム操作研修や購買管理システムなどの製品企画を担当。
お互いが異なるルールで運用するのは非効率
―学校における購買管理業務のデジタル化を、早々に進めるべき理由とはなんでしょう。
本田 取引対象である民間の事業者が購買管理業務のデジタル化を進めており、それに対応すべきだからです。これまで学校と民間の事業者の購買に関するやりとりは、紙ベースで行われることがほとんどでした。しかし、「インボイス制度」と「電子帳簿保存法」の施行に伴い、民間の事業者はそれらに応じるため、デジタル化せざるをえない状況に。学校はそれらの対象外ですが、紙ベースのままだと、電子ベースの民間の事業者は学校とのやりとりに「電子伝票を印刷して送付する」「受け取った紙の伝票を電子化する」といった作業が発生し、業務負担になるのです。
犬飼 逆に、学校側が民間の事業者から受け取った電子伝票を紙に印刷する手間などが発生するケースも考えられます。いずれにせよ、お互いが異なるルールで運用するのは非効率なので、学校もデジタル化に着手すべきなのです。ただし、学校が購買管理業務をデジタル化するのは簡単ではありません。
―それはなぜですか。
本田 学校の購買管理業務が特殊だからです。学校は民間企業とは異なり、自社の資金ではなく、保護者からの徴収金を預かって運用しています。ですから、たとえばドリルを一括購入した際に民間の事業者から値引きがあれば、それを保護者に返金するといった運用が発生します。こうした細かい購買管理は、一般的な購買管理システムでは対応が難しいです。とはいえ、適した購買管理システムをベンダーに依頼すれば、フルスクラッチで開発しなければならず、コストや時間がかかります。
そこで当社は、学校の購買管理業務に特化した『購買マネージャ』というシステムをパッケージで提供しています。
伝票のファイリングが不要で、検索も容易に
―詳細を教えてください。
本田 学校独自の購買管理に対応しているほか、購買業務で発生する、見積り、発注、納品、請求、支払い、振込データ作成といった一連の作業をすべてシステム上で行えるようになります。更新状況はメールで通知され、注文の納品状況などをひと目で確認できるうえに、民間の事業者もシステムを利用できます。双方が同じ情報を閲覧できるため、「納品した、していない」などの齟齬もなくなります。
犬飼 そのほか、「児童や生徒ごとに収支を管理したい」という学校の意向があれば、個々の入出金情報を「個人出納帳」に自動転記することが可能です。さらに、民間の事業者に対して支払いを行う際、同一事業者の伝票の「名寄せ」ができるため、余分な振込手数料が発生することもありません。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
犬飼 『購買マネージャ』を普及させることで、学校における購買管理業務のデジタル化を支援していきたいですね。その結果として、学校現場全体のDX推進にも貢献したいと考えています。
本田 『購買マネージャ』を導入すれば、ペーパーレス化を図れるほか、紙の伝票をファイリングする必要がなく、検索も容易に行えます。さらなる業務効率化を図るため、民間の事業者がデジタル化を進めているこのタイミングで、ぜひ導入を検討してほしいですね。