近年、自治体ではDX化に対する取り組みが急速に進められ、DX推進のための体制の整備・強化が行われています。一方で、コストの問題やIT人材不足、セキュリティポリシーへの対応、組織改革の難しさなど、DX化を進めるあたっては課題も多く、なかなか変革が行われないという実情もあります。ここでは、オープンソースソフトウェア(以下、OSS)を使ったDX化のメリットと、例としてOSSを活用したワークフローシステムを紹介します。
OSSを使ってDXを実現するメリット
OSSとは、無償で利用でき、プログラムのソースコードが一般に公開されているソフトウェアのことです。ソフトウェア製品やクラウドサービスにはないメリットから、現在、日本国内でも様々なジャンルのOSSが利用されています。
前述したように、DXツールの導入には様々な障壁があります。このような場合、OSSとして公開されているツールを使うことで、以下の点で課題を解決することができます。
ライセンス無料で導入できる
製品やクラウドサービスとして提供されているツールは、利用者数などによるライセンス制をとっているものが多く、利用人数によっては高いコストがかかります。OSSを使えば、ユーザ数の制限はなく、月額料金もかからないため、特にユーザの多い組織ではコストメリットが大きくなる場合があります。
オンプレミス環境で使える
OSSは、自社内のオンプレミス環境にシステム構築し、ツールを利用することができます。そのため、セキュリティポリシーが定められている自治体でも、自社の閉鎖ネットワーク内で安心して利用することが可能です。
既存のシステムと連携しやすい
一般的なツールでは連携可能なシステムやデータベースが限られている場合が多いです。一方OSSでは、連携できるシステムに制限は設けられていません。既存で利用しているシステムとも連携しやすいので、業務のシステム化の幅を広げることができます。
OSSのローコード開発アプリで実現するワークフローシステム
ここでは、OSSのローコード開発プラットフォーム「プリザンター」を使って、DXを実現する例をご紹介します。
「プリザンター」とは、株式会社インプリムという日本の企業が開発を行う、オープンソースのローコード開発プラットフォームです。ローコード開発とは、ソースコードをほとんど使わずに業務アプリケーションを作成できる手法のことです。「プリザンター」では、Webブラウザ上の画面を使って、ほとんどマウス操作だけで簡単に業務アプリケーションを作成することができます。
この「プリザンター」は、ワークフローシステムとしても活用できます。例えば、庁内業務において物品購入や契約書の締結などの稟議決裁が必要な場合、担当者から上長へ、上長から部長へ、部長から経理担当者へなど、決裁承認に至るまでのワークフローが存在します。従来はこうしたワークフローを紙ベースで進めることがほとんどでしたが、テレワークや働き方改革の普及に伴い、申請・承認業務のデジタル化が進められています。
「プリザンター」では、バージョン1.3以降に標準で用意されている機能を利用することで、Web上でワークフローを実現することができます。
例えば、「プリザンター」を使って稟議書の申請を行うとします。まず初めに、関係者のユーザ情報や職位を「プリザンター」に登録しておきます。
次に、「プリザンター」に元々用意されている豊富なテンプレートの中から、「人事・総務」カテゴリの「稟議書」テンプレートを選択し、その中に内容や金額等の必要な情報を入力します。
そして、ワークフローをどの状態からどの状態へ遷移させるかというプロセス、遷移時にデータを変更する項目、プロセスを実行できるユーザの制御などを定義します。また、登録したデータへのアクセス制御を設定したり、状況によって読み取り専用や操作の制限を行うことも可能です。これにより、ユーザや部署ごとに、稟議書の申請や承認、取り下げ等の操作を行うことができます。
なお、「プリザンター」で管理しているデータは、他のOSSと組み合わせることで、Excelなどに帳票出力することも可能です。この機能を利用することで、例えば庁内で発行する住民向けの通知書や請求書、証明書などの文書を「プリザンター」で登録・管理し、ワークフローシステムで承認を得た後、既定のフォーマットへ出力してドキュメント化するといった流れが可能になります。
このように、「プリザンター」を使うことで、従来の文書作成業務を一元化・効率化することができます。また、データの管理方法や書類のフォーマットも定型化できるので、属人化の防止にもつながります。さらに、ローコード開発で誰でも簡単にアプリを作成できるため、実際に申請や承認を行う現場の職員自らが機能を設定することができます。より利用者のニーズに沿ったシステムを実現しながら、情報システム関連の担当者の負担軽減にも役立ちます。
「プリザンター」の導入・サポートについて
「プリザンター」はOSSであるため、ユーザ無制限で利用可能です。かかるコストは導入時の初期費用のみで、その後の月額料金や追加料金等は発生しません。また、「プリザンター」はクラウド環境でもオンプレミス環境でも使えるため、セキュリティポリシーに従って閉鎖環境でも利用可能です。なお、導入時や運用に関して不安がある場合は、開発元の株式会社インプリムが提供する有償サポートを受けることも可能です。
またデージーネットは、「プリザンター」の認定パートナー企業です。プリザンターを利用したシステムの構築サービスをはじめ、トレーニングや独自の運用マニュアルの作成、導入後サポートなどのサービスを提供しています。詳しい情報に関しては、お気軽にご相談ください。
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