

自治体DXは、新たな展開を示しており、近年ではフロントヤード改革が話題になっています。
1年ほど前にフロントヤード改革について、解説記事を展開させていただきました。
自治体フロントヤード改革とは?DX推進がもたらす窓口の住民活用
自治体のデジタル化が進む中、フロントヤード改革は新たなステージに入っています。
従来の住民サービス向上に加え、地域経済の担い手である民間企業とのデジタル連携が注目を集めています。本記事では、自治体フロントヤード改革における民間企業との効果的なデジタル連携について、具体的な事例と共に解説します。
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フロントヤード改革が民間企業連携にもたらす変革
フロントヤード改革は、「書かせない」「待たせない」「迷わせない」「行かせない」の4原則を基本としています。
この考え方は、住民サービスだけでなく、民間企業との関係性においても重要な意味を持ちます。特に、企業との日常的な取引や新規進出を検討する企業とのコミュニケーションにおいて、デジタル技術を活用した効率的な連携が求められています。
電子契約・請求書のデジタル化がもたらす効果
地方自治法施行規則の改正を受け、自治体と民間企業間の電子契約締結のハードルが大きく下がりました。長野県高森町の事例では、電子契約システムの導入により、地域の事業者との契約手続きが大きく効率化されました。特筆すべきは、説明会に100人を超える地元事業者が参加するなど、民間企業側にもデジタル化への強い期待があることです。
デジタル化による具体的な効果として以下が挙げられます:
- 契約手続きの時間短縮:従来の紙の契約書の作成、押印、郵送のプロセスが不要となり、契約締結までの時間が大幅に短縮されます。また、修正が必要な場合でも、デジタルで即座に対応が可能です。
- コスト削減の実現:印紙税や郵送費用が不要となるだけでなく、紙の契約書の保管スペースも削減できます。特に大量の契約を扱う部署では、この効果が顕著に表れます。
- セキュリティの向上:電子署名による改ざん防止機能や、アクセス記録の保持により、従来の紙の契約書以上のセキュリティを確保できます。また、自然災害による紛失リスクも軽減されます。
- 業務効率の向上:契約書の作成から保管まで一貫してデジタル化することで、検索や参照が容易になり、業務効率が大きく向上します。
企業誘致活動におけるデジタル化の重要性
自治体にとって企業誘致は、地域経済の発展と雇用創出に欠かせない重要な取り組みです。しかし、効果的な企業誘致を行うためには、民間企業の論理的な納得を得る必要があり、それには細かい交渉と企業ニーズに合わせた直接の提案が求められます。デジタル技術を活用することで、より効果的な企業誘致活動が可能となります。
デジタル技術を活用した企業誘致の利点
企業誘致活動のデジタル化は、従来の対面営業や紙資料による提案の限界を超える可能性を秘めています。
1.情報提供の効率化と個別最適化
- 地域の特徴や優位性をデータで可視化し、客観的な提案が可能になる
- 各企業の関心事項に応じて、提案内容をカスタマイズできる
- リアルタイムでの情報更新により、常に最新の状況を提供可能
- 企業の意思決定者それぞれの関心に合わせた情報提供を行える
2.コミュニケーションの質的向上
- オンライン会議システムで画面共有をしながら資料説明ができ、地理的な制約を超えた協議が可能
- デジタル資料の共有により、企業内での情報共有や検討が容易
- 企業からの質問や要望に対して、迅速な回答や提案の修正が可能
- 進捗状況の可視化により、より緊密なフォローアップが実現
3.データに基づく戦略的アプローチ
- 企業の反応や関心度合いをデータとして収集・分析できる
- 提案内容の効果測定が可能となり、継続的な改善につながる
- 過去の誘致活動の知見を体系化し、新たな提案に活かすことができる
- 補助金や税制優遇などの具体的なメリットを数値で示せる
企業ニーズを満たす提案の重要性
企業誘致において、進出を検討する企業が重視するポイントは多岐にわたります:
- 地域のビジネス環境:交通アクセス、インフラ整備状況、関連企業の集積度
- 人材確保の可能性:地域の労働力人口、教育機関との連携、UIJターン支援
- 経済的インセンティブ:補助金・助成金制度、税制優遇措置の具体的な内容
- 生活環境の充実度:住宅事情、教育・医療機関の充実度、文化・娯楽施設
- 自治体のデジタル対応:行政手続きのオンライン化、デジタルインフラの整備状況
成功事例に学ぶデジタル連携のポイント
企業誘致のデジタル化を成功に導くためには、段階的なアプローチと綿密な準備が必要です。先進的な自治体の事例から、効果的な進め方について見ていきましょう。
1. 段階的な導入アプローチ
デジタルツールの導入では、以下のようなステップを踏むことで、スムーズな展開が可能となります:
1.庁内での試験運用
- 関係部署での試験的な利用により、運用上の課題を洗い出します
- フィードバックを収集し、必要な改善を行います
- 職員のデジタルリテラシー向上を図ります
2.実証実験の実施
- 協力的な地元企業との実証実験を通じて、実践的な課題を把握します
- 企業側の要望や改善点を収集し、システムの改善に活かします
- 成功事例を作り、他の企業への展開に向けた実績を作ります
3.説明会の開催と普及促進
- デジタルツールの利点と活用方法について、わかりやすく説明します
- 導入企業の声や具体的な効果を共有します
- 企業からの質問や懸念に丁寧に対応します
4.段階的な展開
- 対象企業や業務を徐々に拡大していきます
- 成功事例を基に、新規企業への提案を強化します
- 継続的な改善とサポート体制を整備します
デジタル連携を成功に導くためのポイント
フロントヤード改革における民間企業とのデジタル連携を成功させるためには、以下の点に注意を払う必要があります:
1. 推進体制の整備
デジタル化の取り組みを効果的に進めるためには、強力な推進体制が不可欠です:
- デジタル人材の確保・育成:専門知識を持つ人材の採用や、既存職員の育成を計画的に進めます
- 庁内横断的な推進体制:関係部署間の連携を強化し、統一的な取り組みを推進します
- 民間企業との協力関係構築:システムベンダーや地域企業との協力体制を整備します
2. 記録管理と情報共有の徹底
デジタル化の利点を最大限に活かすためには、適切な記録管理と情報共有の習慣づけが重要です:
- 議事録のデジタル化:企業との打ち合わせや相談内容を確実に記録し、関係者間で共有します。これにより、後任者への引継ぎもスムーズになり、長期的な関係構築が可能になります。
- 情報共有プラットフォームの活用:庁内外の関係者がいつでも必要な情報にアクセスできる環境を整備します。特に企業誘致では、複数の部署や外部機関との連携が必要となるため、情報共有の仕組みづくりが重要です。
- ナレッジの蓄積と活用:過去の交渉経緯や成功事例、企業からのフィードバックなどを体系的に記録し、組織の財産として活用します。これにより、担当者が変わっても一貫した対応が可能となります。
今後の展望
フロントヤード改革における民間企業とのデジタル連携は、今後さらなる発展が期待されます。
- ワンストップサービスの拡充:企業向け各種手続きのデジタル化と一元化
- AI・RPAの活用:定型業務の自動化による業務効率のさらなる向上
- データ連携基盤の整備:企業と自治体間のシームレスな情報連携の実現
- クラウドサービスの活用:柔軟で効率的なシステム運用の実現
まとめ
自治体フロントヤード改革において、民間企業とのデジタル連携は新たな可能性を開く重要な要素です。電子契約や企業誘致活動のデジタル化は、その一例に過ぎません。今後も、住民サービスと企業連携の両面でデジタル化を推進することで、より活力ある地域づくりが可能となるでしょう。
NTT東日本は、これらの取り組みを支援するための豊富な経験とソリューションを有しています。フロントヤード改革における民間企業とのデジタル連携について、お気軽にご相談ください。

設立 | 1999年7月1日 |
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資本金 | 3350億円 |
代表者名 | 澁谷 直樹 |
本社所在地 | 〒163-8019 |
従業員数 | 5085人(2021年3月31日現在) |
事業内容 | 東日本地域※1における地域電気通信業務※2及びこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務 |
URL | https://www.ntt-east.co.jp/ |
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