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先進事例2016.03.22

Beacon活用の見守りサービス実証実験【自治体(秩父市)の取組事例】

Beacon活用の見守りサービス実証実験【自治体(秩父市)の取組事例】

埼玉県秩父市 の取り組み

安全な社会を守る新しいICTシステム

Beacon活用の見守りサービス実証実験【自治体(秩父市)の取組事例】

秩父市立南小学校 校長 倉澤 俊夫
秩父市役所 総務部 危機管理課 セーフコミュニティ担当 主席主幹 山田 省吾

13歳未満の子どもが被害者となった刑法犯の年間総数は3000件前後。子どもを狙った犯罪がなくならない背景には地域コミュニティの希薄化があるとされる。こうした現状の打開に挑戦した画期的な実証実験が秩父市(埼玉県)で行われた。その結果などを同市の南小学校校長の倉澤氏と危機管理課の山田氏に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.4(2016年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

埼玉県秩父市データ

人口: 6万5,311人(平成28年1月1日現在)世帯数: 2万6,360世帯(平成28年1月1日現在)予算規模: 279億円(平成27年度当初)面積: 577.8 k㎡km²概要: 周囲に山岳丘陵を眺める盆地を形成。市域の87%は森林で、その面積は埼玉県の森林の約40%を占めており、ほとんどは秩父多摩甲斐国立公園や武甲・西秩父などの県立自然公園の区域に指定されている。自然環境に恵まれた地域。

■全国の実証実験の取組まとめはコチラ

―今回の実証実験を開始した経緯を教えてください。

 秩父市は安全安心なまちづくりを目指すセーフコミュニティの国際認証を昨年11月に取得し、当校においても(※)インターナショナルセーフスクール(ISS)認証を昨年12月に取得しました。その具体的な活動の一環として実証実験を実施しました。

 当校が実施したアンケート調査では約30%の児童が「不審者に遭って怖い思いをしたことがある」との結果でした。児童が犯罪に巻き込まれない対策の一つとして実施したいという想いもありました。

※インターナショナルセーフスクール(ISS)認証 : 安全な学校づくりのプログラム・体制が確立され、機能していることが国際的に認められた学校に与えられる認証。世界保健機関(WHO)が提唱。

―実証実験のスキームを教えてください。

 小学校の昇降口に定点スポットとしてのスマホを設置し、Beacon端末をもった児童が登下校時にそこを通過すると、保護者に位置情報を通知します。

 また、同時に地域の人たちに、同サービスのアプリを手持ちのスマホにインストールして「見守り人」となってもらうことで、広範囲にわたって子どもの位置情報を保護者に通知します。

 子どもたちの安全を地域ぐるみで守る仕組みを作ることができ、実効性のある対策を講じることができたと感じています。

 実際、5年生の児童の保護者から「子どもが遊びに出かけてどこに行ったのかわからなくなったが、Beaconで位置を特定できたので安心した」といった声が寄せられました。見守りサービスがなければ友だちの家に1軒ずつ電話をかけて探さなければならなかったということで、非常に助かったというお話でしたね。

―子どもの安全を守るために、小学校としては今後どのようなスタンスで臨むべきですか。

 学校だけでなく、地域を巻き込んで児童の安心安全を守る取り組みを推進することが必要だと思います。

 そこに今回のようなICTを活用したよい機器や仕組みがあれば、活かしていくべきです。

 駅や保育園や幼稚園、その他の公共施設など地域全体で定点スポットを設置し、見守り人も増やすことができれば、いっそう画期的な仕組みになると思いますね。

―市はどのような部分で実証実験に関わったのですか。

「見守り人」の募集を中心にした協力を行いました。市役所の危機管理課を通して、町会や保育所の保護者などに募集チラシを配って呼びかけ、市役所での会合や市役所の窓口でも実証実験に対する告知を行うなど、地域における「見守り人」を増やしていくお手伝いを積極的に実施しました。

―実証実験に対する評価を聞かせてください。

 犯罪対策に対する市民の満足度が下がっているというアンケート結果もあり、Beaconを用いた子ども見守りサービスというツールを活用することが市民の不安軽減につながったと感じています。同時に南小の保護者や地域住民の皆さんを中心に、防犯に対する意識を喚起することができました。

―どのようなメリットがあると感じましたか。

 市の調査結果では「機会があれば防犯活動に参加したい」という気持ちをもっている人は、39歳以下の若い世代では6割を占めます。一方で「気持ちはあるけれど時間がない」などの理由から、実際に参加している人は6%程度。それが、今回のような仕組みであれば、だれでも気軽に「見守り人」となれるので、負担をかけずに地域参加型の防犯対策を進められるきっかになると感じました。また、認知症の高齢者対策としても利用価値が非常に大きいと思います。

―その理由を聞かせてください。

 徘徊など、お年寄りが行方不明になる問題への対策は近年の新たな行政課題の一つとなっているからです。こうした問題でも位置情報をリアルタイムで把握できるBeaconを用いた見守りシステムが応用できれば、新たなモデルになる可能性があります。地域全体で見守る仕組みができれば、関係者の負担を軽減できるだけでなく、行政コストの低減にもつながる可能性があるでしょう。

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