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先進事例2017.03.30

防災啓発活動を全住戸・全事業所に周知させた方法【自治体(高知県 )の取組事例】

防災啓発活動を全住戸・全事業所に周知させた方法【自治体(高知県 )の取組事例】

高知県 の取り組み

防災啓発活動を全住戸・全事業所に周知させた方法【自治体(高知県 )の取組事例】

高知県知事 尾﨑 正直

南海トラフ地震は「今後30年以内に70%程度の確率で起きる」とされており、高知県ではその対策に全力で取り組んでいる。このようななかで昨年11月、全国で初めて別冊『防災タウンページ』を県内全域に配布した。そのねらいや今後の展開などについて、尾﨑知事に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.8(2017年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

避難路・避難場所の整備で「命を守る」

―高知県の災害対策における課題を教えてください。

 課題のひとつは県民の方々への意識啓発です。本県では南海トラフ地震への対策を着実に進めるため、トータルプランとなる「南海トラフ地震対策行動計画」を策定し、地震・津波から「命を守る」対策、助かった「命をつなぐ」対策などに取り組んでいます。

 なかでも「命を守る」対策に最優先で取り組んだ結果、津波からの避難路・避難場所、津波避難タワーといった津波避難空間の整備はおおむね完了しました。しかし、県民の方々の防災意識を高めなければ、十分な効果は期待できません。

 平成28年度の県民世論調査では「津波からの早期避難の意識率」は向上したとはいえ、74%にとどまっています。このため県では防災意識のさらなる向上にむけて、防災啓発用DVDや防災啓発冊子の改訂版を作成したところです。

―NTTタウンページと「防災啓発情報等の発信に関する協定」を締結し、別冊『防災タウンページ』を県下全域に配布したねらいはなんですか。

 やはり防災意識の向上を図りたいということです。本県はこれまでも民間事業者との協働・連携を重視し、さまざまな協定を結んでいますが、今回はNTTタウンページの「全住戸・全事業所への配布」というネットワークに大きな魅力を感じました。

 実際、県の防災啓発冊子は各家庭に配布していますが、事業所には届いていません。職場で被災する可能性もあるので、全事業所への配布の意義は大きいと思います。

 また、「誰もが知っているなじみ深い媒体だから、読んでもらいやすく、防災意識の向上に役立つ」とも考えています。

―今回の取り組みについて、知事の評価を聞かせてください。

 まず、都道府県内全域の全住戸・全事業所への配布は全国初と聞いており、うれしく感じています。そして、誌面には地域ごと、災害の種別ごとに避難所の位置や、公衆電話の位置情報などがわかりやすく掲載されています。災害時には道路が寸断される危険性もあるので、近くの避難所を複数把握できることは非常に有意義ですね。

 また、備蓄が望ましい食料品や日用品、住宅の耐震化を担当する市町村役場の窓口、災害用伝言ダイヤルなど、防災情報が網羅されており、すばらしい啓発媒体と評価しています。おそらく全国的にもこのような媒体を求める潜在ニーズはたくさんあるでしょうね。

タウンページを活用して 高知の魅力を全国に発信

―それはなぜですか。

 昨年の熊本地震が示唆するように、日本全国どこでも大規模な災害が起こりえます。タウンページは全都道府県に存在するので、『防災タウンページ』のコンセプトは非常に魅力的だと思います。

―NTTタウンページとの今後の連携について聞かせてください。

 やはり第一は防災意識向上のための継続的な周知ですね。今後、避難所が増えたり、場所が変わったりする可能性もあります。対策が進むほど、県民の方々に届けたい情報も増えてくるので、情報を随時更新してほしいと思います。

 また、全国にあるネットワークを活かして、高知県のPRをサポートしてほしいですね。大政奉還から150年の今年、本県では「志国高知 幕末維新博」という博覧会を県内全域で開催しています。

 メイン会場である高知城歴史博物館では、このほど新たに発見されて話題となった、坂本龍馬が暗殺される5日前に記した書簡を本邦初公開するほか、武市半平太や中岡慎太郎など偉人ゆかりの貴重な歴史資料を県下各地の22会場で展示しています。

 本物の「歴史」の迫力に触れ、当時の人々の「志」に思いをはせてもらいながら、偉人を育んだ自然の美しさ、食の多様さを楽しんでもらうことのできる高知の魅力を多くの方に発信していただきたいですね。

尾﨑 正直(おざき まさなお)プロフィール

昭和42年、高知県生まれ。平成3年に東京大学経済学部を卒業後、大蔵省(現:財務省)に入省。在インドネシア日本大使館書記官、財務省主計局主査、理財局計画官補佐などを歴任する。その後、内閣官房副長官秘書官を経て、平成19年に高知県知事選挙に立候補し、当選。独自の産業振興計画に基づき、地方の活性化を進めている。平成23年に再選、平成27年に三選。ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会委員なども務めている。

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